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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第19話 初めての事件

断罪アカデミー講堂。


朝の光が高い窓から差し込み、広い講堂の床に長い影を落としていた。


学生たちはいつものように席についているが、どこか落ち着かない空気が漂っている。


リリスが小声で言った。


「今日はなんだか雰囲気違わない?」


レオンはノートを広げながら答える。


「何か新しい授業かもしれません」


フィオナは腕を組んでいる。


「断罪舞台演習とか?」


王子アルフレッドは椅子に座りながら大きく伸びをした。


「もうこれ以上変な授業は増えないだろ…」


そのとき。


講堂の扉が開いた。


静かに入ってきたのは――


レティシア・グランベル。


講堂の空気が一瞬で引き締まる。


彼女はゆっくり教壇の前に立った。


そして学生たちを見渡す。


「本日から」


一度、言葉を区切る。


「断罪実習を開始します」


講堂がざわめいた。


「え?」


「実習?」


リリスが立ち上がりそうになる。


王子も眉をひそめた。


「実習?」


レティシアは続ける。


「これまで皆さんは」


「断罪の理論を学びました」


黒板に三つの言葉を書く。


証拠

弁明

審理


「しかし」


振り返る。


「断罪は教室で完結するものではありません」


静かな声。


「現実で使われて初めて意味を持ちます」


学生たちの表情が変わり始める。


レティシアは一枚の書類を机に置いた。


「最初の事件です」


講堂が静まる。


レオンが身を乗り出す。


「事件…」


レティシアが読み上げる。


「王都南区」


「商会詐欺事件」


黒板に書かれる。


商会詐欺事件


レティシアが説明する。


「小規模商人が」


「ある貴族の名前を使い」


「投資詐欺を行っています」


フィオナが目を輝かせた。


「詐欺!」


王子は呟く。


「いきなり犯罪か…」


レティシアは続ける。


「被害者は多数」


「ですが証拠が不十分」


「王都警備隊はまだ動けません」


学生たちが互いを見る。


レティシアは言う。


「そこで」


「あなた達が調査します」


講堂が騒然となった。


リリス


「本当に捜査するの!?」


レオンは立ち上がる。


「最高です」


フィオナはすでにメモを書き始めていた。


「状況再現できる!」


王子は頭を抱える。


「大丈夫かこの学校」


レティシアは冷静に言った。


「班を分けます」


黒板に名前を書いていく。


レオン

証拠担当


レオンは頷く。


「任せてください」


次。


リリス

人間関係調査


リリス


「社交界調査ね!」


フィオナ

状況再現


フィオナ


「舞台作れる!」


クラリス

心理分析


クラリスは少し緊張している。


「が、頑張ります…」


最後にレティシアが言った。


「監督役」


そして名前を書く。


カサンドラ


教室の視線が一斉に向く。


カサンドラは椅子に座ったまま微笑んだ。


「楽しそうね」


レティシアは言う。


「あなたは観察しなさい」


「必要なら助言を」


カサンドラ


「了解」


王子が小声で言う。


「監督役が一番怖い」


学生たちはざわざわと話し始める。


しかし。


レティシアは手を上げた。


講堂が静まる。


彼女はゆっくり言った。


「勘違いしてはいけません」


その声はいつもより低い。


「これは遊びではありません」


学生たちの動きが止まる。


レティシアは続ける。


「これは実習ですが」


「扱うのは」


少し間。


「人の人生です」


講堂が完全に静まった。


レオンも。


リリスも。


フィオナも。


誰も言葉を発さない。


レティシアは最後に言った。


「あなた達は」


「これから」


「人を裁く側になります」


視線が学生一人一人に向けられる。


「だから」


「責任を持ちなさい」


長い沈黙。


その空気の中で。


学生たちは初めて理解した。


この学校が何なのかを。


ここはただの学校ではない。


断罪アカデミー。


それは――


人の運命を扱う場所だった。

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