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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第17話 観察者

夜。


断罪アカデミーの寮。


学生たちはそれぞれの部屋で過ごしていた。


 


リリスの部屋では本が山のように積まれている。


 


「悪役令嬢史大全…」


 


彼女は真剣に読みながら呟く。


 


「やっぱり断罪シーンは劇的じゃないと」


 


 


レオンの部屋。


机の上には資料と紙が散乱していた。


 


「証言矛盾パターン…」


 


彼はひたすら書き込んでいる。


 


「まだ分析が足りない」


 


 


フィオナの部屋。


 


「断罪舞台構成案!」


 


彼女は模型を作っていた。


 


「ここで照明が落ちて…」


 


 


王子アルフレッドの部屋。


 


彼はベッドに倒れ込んでいた。


 


「なんで俺」


 


「この学校にいるんだろう」


 


天井を見つめながら呟く。


 


「王子の人生ってこんなはずだったか…」


 


 


そして。


 


寮の一番奥の部屋。


 


そこは静かだった。


 


机の上には


整然と並んだ紙。


 


カサンドラ・ヴァルメリアは椅子に座っている。


 


手にはペン。


 


彼女は一枚の書類を書いていた。


 


それは――


 


帝国への報告書


 


彼女は淡々と書き進める。


 


 


断罪アカデミー調査報告


 


目的

王国における断罪制度教育機関の分析


 


カサンドラは少し考えた。


 


そして書く。


 


 


総評


 


教育水準

高い


 


学生の能力

優秀


 


社会影響

未確定


 


 


彼女はさらに書く。


 


 


中心人物


 


レティシア・グランベル


 


ペンが少し止まる。


 


カサンドラは目を細めた。


 


そして書く。


 


 


評価


 


危険思想家


 


 


その理由も書く。


 


 


理由

断罪を国家から独立させようとしている


 


現在の断罪制度は


王権


貴族


政治


すべての力の上に存在する。


 


しかし。


 


レティシアの思想は違う。


 


証拠。


 


手続き。


 


正義。


 


それらを基準に


断罪を成立させようとしている。


 


カサンドラは小さく呟いた。


 


「危険ね」


 


もしそれが完成すれば。


 


断罪は国家の道具ではなくなる。


 


政治は介入できない。


 


貴族も守られない。


 


純粋な裁きになる。


 


それは――


 


国家にとって


極めて危険な制度だった。


 


カサンドラはペンを置く。


 


そして報告書の最後に書く。


 


 


結論


 


断罪アカデミーは


将来的に王国政治へ影響を与える可能性あり


 


継続監視を推奨


 


 


彼女は一度深呼吸した。


 


窓の外を見る。


 


夜のアカデミー。


 


静かな校舎。


 


学生たちの灯り。


 


カサンドラは小さく笑った。


 


「でも」


 


ペンをもう一度持つ。


 


そして。


 


報告書の余白に小さく書く。


 


 


個人的感想


 


面白い


 


 


彼女は椅子にもたれた。


 


帝国では。


 


こんな学校は存在しない。


 


断罪は命令で行われる。


 


裁きは速く。


 


政治は絶対。


 


しかしこの学校は違う。


 


学生が議論する。


 


正義を考える。


 


証拠を探す。


 


そして。


 


国家すら疑う。


 


カサンドラは静かに呟いた。


 


「変な学校」


 


だが。


 


彼女は気づいていた。


 


この場所には。


 


ただの教育機関ではない何かがある。


 


それは――


 


革命の芽


 


もしこの思想が広がれば。


 


断罪は変わる。


 


貴族社会は変わる。


 


国家すら変わる。


 


カサンドラはゆっくり立ち上がった。


 


窓の外を見ながら言う。


 


「レティシア」


 


小さく笑う。


 


「あなた」


 


「何を作ろうとしてるの?」


 


 


遠くで鐘が鳴った。


 


断罪アカデミーの夜は――


 


まだ静かだった。

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