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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第11話 貴族社会の怒り

王都アルトリア。


王城の一角にある円形会議室。


重厚な扉が閉ざされると、外の喧騒は完全に遮断された。


円卓を囲むのは、王国を支える貴族たち。


公爵。侯爵。伯爵。


王国の政治と財力を握る者たちだった。


 


しかしその場の空気は、いつになく荒れていた。


 


「ふざけた話だ!」


 


机を叩いたのは老侯爵だった。


 


「学生が貴族を裁くなど!」


 


別の貴族が新聞を叩きつける。


 


「見ろ!」


 


紙面の大見出し。


 


断罪アカデミー開校!

貴族も裁かれる時代へ


 


会議室の空気がさらに重くなる。


 


「誰がこんな記事を書かせた!」


 


「王国の威厳が失われる!」


 


一人の伯爵が低い声で言った。


 


「問題は記事ではない」


 


全員が彼を見る。


 


「問題は」


 


「内容が事実だということだ」


 


沈黙。


 


断罪アカデミー。


 


レティシア・グランベルが創設した学校。


 


そこで教えられているのは――


 


断罪。


 


つまり。


 


権力者を裁く技術。


 


ある公爵が言った。


 


「もし学生たちが卒業すれば」


 


「何が起こると思う?」


 


誰も答えない。


 


公爵は静かに言う。


 


「貴族社会が監視される」


 


その言葉は重かった。


 


侯爵が低く唸る。


 


「冗談ではない」


 


「我々は裁かれる側ではない」


 


「裁く側だ」


 


別の貴族が頷く。


 


「断罪は王族の特権」


 


「学生に教えるなど狂気だ」


 


そのとき。


 


扉が開いた。


 


宰相が入ってくる。


 


室内の空気が少し変わった。


 


宰相は深く礼をした。


 


「皆様、お集まりいただきありがとうございます」


 


老侯爵が言う。


 


「宰相」


 


「説明してもらおう」


 


「なぜこの学校が存在する」


 


宰相は一瞬だけ黙った。


 


彼の脳裏には、あの光景が浮かんでいた。


 


卒業パーティー。


 


王子の断罪失敗。


 


そして。


 


三時間の説教。


 


宰相は小さく咳払いした。


 


「……教育的必要性です」


 


会議室が一斉にざわめく。


 


「教育!?」


 


「冗談を言うな!」


 


宰相は落ち着いた声で言った。


 


「近年」


 


「証拠のない断罪が増えています」


 


「冤罪も多い」


 


「それを防ぐため――」


 


侯爵が机を叩く。


 


「そんなもの必要ない!」


 


宰相は言葉を止めた。


 


会議室の空気は完全に敵意だった。


 


公爵が静かに言う。


 


「宰相」


 


「我々は理解している」


 


宰相は顔を上げる。


 


公爵


「これは教育ではない」


 


「革命だ」


 


その言葉は重かった。


 


貴族社会を変える可能性。


 


それが断罪アカデミーだった。


 


公爵は続ける。


 


「だから」


 


「潰す」


 


会議室が静まり返る。


 


「方法はいくらでもある」


 


「予算停止」


 


「規制」


 


「政治圧力」


 


侯爵が笑う。


 


「学校一つ消すのは簡単だ」


 


宰相の背中に冷たい汗が流れた。


 


 


その頃。


 


断罪アカデミー。


 


王子アルフレッドは校舎の廊下を歩いていた。


 


ふと足を止める。


 


掲示板。


 


新聞の切り抜きが貼られていた。


 


見出し。


 


貴族社会に波紋

断罪教育は危険思想か


 


王子は眉をひそめた。


 


「……始まったな」


 


そこへレオンが来る。


 


「王子?」


 


王子は新聞を指さした。


 


レオンは読んで顔をしかめる。


 


「政治記事ですね」


 


王子はため息をつく。


 


「貴族社会が怒ってる」


 


レオン


「当然です」


 


「この学校は」


 


「貴族の権力を弱めます」


 


王子は天井を見上げた。


 


「レティシア」


 


「また面倒なこと始めたな」


 


そのとき。


 


廊下の向こうから足音。


 


カサンドラだった。


 


彼女も新聞を見ている。


 


そして微笑んだ。


 


「面白くなってきた」


 


王子は嫌な顔をした。


 


「面白くない」


 


「絶対めんどくさい」


 


カサンドラは静かに言った。


 


「政治は」


 


「いつも面倒よ」


 


遠くの講義室では。


 


レティシアがいつも通り授業をしていた。


 


まだ誰も知らない。


 


この学校が――


 


王国の政治を揺らすことになると。

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