薬品調合キット
少々長くなってしまいました。
ご了承下さい。
「うーむ、これ、意外に難しいな...」
俺は今絶賛休憩の時間を使って薬品を調合しているのだが、さっきから便秘薬しか出来無い。最初に適当に飲んでみた時、一気に便秘の分が出そうに大変だった。
だから今はヤケクソで作っているのだが...
クソッ!なんかメモとか無いのか?と思い、探してみたら...
ありました。
まともに探さずに作るのを優先した過去の自分が悔やまれる。
まあ良い。そんな事を悔むよりも新たな調合行おう。
・・・
そうしてメモに書いてあったレシピの様に調合する事三時間。
調合の結果はこれだ。
下位回復薬……十五個。
毒消し薬……十個。
麻痺消し薬……八個。
便秘薬……三十個。
初めてにしてはかなり良い方では無いだろうか。
これを売れば薬品調合キットの元も取れるだろう。
だがしかし、少し熱中し過ぎてしまったな。
もう日が沈みそうだ。仕方ない。今日は後少し進んだら野宿にしよう。
これは予定外の出来事だがまあ良いだろう。
そうして少し歩いた後、野宿の準備をし、後は飯を食って寝るだけなのだが...
不味い。飯を草と果実にしたのが駄目だったか?
どちらにせよ、健康の影には常に美味い食事が付き物だ。
どうにかしたい所だな。とりあえず焼いてみるか。
うん。不味い。それどころか味が抜けて更に不味くなっている。
駄目だ。この草共はまともに食えそうに無い。
今日の飯は我慢して明日に期待しよう。そう思って俺は就寝する事にした。
………
寝れない。寝れないどころかどんどん俺の腹が悲鳴を上げて目が覚めて来る。
かといって、あんなクソ不味い草共は食いたく無い。
仕方が無い。外に出て動物共を狩りに行ってくるか。
俺はノロノロと起き上がり、外に出た。
外はもうかなり暗くなっており、肉眼では数メートル先の光景も見えない。
「点灯」
簡易呪文と言われる専用の装備や適性が無い者でも使える初歩中の初歩の呪文だ。
かなり使い勝手が良く、今も殆どの人が日常的に使っている。
俺が使ったのは指先に魔法の火を灯す呪文だ。
俺は木の枝に点灯の火を移す。
そして俺は食事を求めて動き出す。
探す事一時間。ようやく狩りやすい獲物(鹿)を見つけた。
俺は点灯の籠った木の枝に魔力を込め、火力を上げる。
お前は可哀想だが、全ては俺の為だと思って許してくれ。
覚悟!
「どおおおおりいやあああああ!!!!俺の美味い飯になれえええええ!!!!」
俺の全力の叫びともに投げられた木の枝は獲物の腹に突き刺さり、倒れた。
良し!飯確保!ようやくこれで俺の腹が満足するぜ!
そうして俺が飯を貪る為に狩った獲物を回収しようとした時、事件は起こった。
「ヒヒヒ!」
そう、クソゴブリン共が俺の飯を取って行ったのだ。
あまりの突然の出来事に俺は呆然となったが、直ぐに正気を取り戻し、一声。
「ふざけるなああああ!!!俺の飯を返せええええ!!」
俺の叫びがゴブリン共に届くはずも無く、ゴブリンは逃げて行った。
クソッ、一刻も早くあのクソゴブリン共を追わなければ。
そうして俺は形振り構わず、全力でゴブリン共が消えて行った方向へ全力で走り出す。
あのゴブリン共、逃げれられると思うなよ?俺が見失うと思ったら飛んだ間違いだ。
反射的に便秘薬をゴブリン共に振り掛けておいたのだ。
そうして俺は馬車をも超えるかの様な速度で便秘薬の後を追いかける。
お前らは俺を怒らせた。絶対に追いついたらこの世に生まれ落ちた事を後悔させてやる。
人間の三大欲求を舐めるなよ?
俺は便秘薬の後を追いかけ、遂にあのクソゴブリン共の巣窟を見つけた。
「おら!クソゴブリン共!よくも人様の飯を奪ってくれたな!さっさと返せやゴラァ!!」
「キキ!?」
ゴブリンは俺を見るなり巣窟の奥へと逃げて行く。
「そう易々と逃げれると思うなよ?」
俺は食欲により限界を超えた脚力でクソゴブリン共に追いつき、麻痺消し薬をクソゴブリンの脳天に叩きつける。
その衝撃で瓶が割れ、中に入っていた麻痺消し薬が出る。
麻痺消し薬が麻痺を消せる原理は、元々麻痺する草を使っており、麻痺で麻痺を打ち消すと言うかなりの荒療治で治しているのだ。
なので麻痺状態になっていない奴に使うとーー
「ギギ!?」
この様に麻痺状態となるのだ。
まあ、水で薄めているのでそこまで効果は弱めなのだが、ゴブリン程度の魔物ならば十分だろう。
そして飛び掛かってきたゴブリンの口に便秘薬を入れ込む。
「ギ…ギ…」
入れ込まれたゴブリンはスタコラサッサとどこかへ逃げて行った。
魔物にも便秘ってあるんだな。いや、この便秘薬の効果が強過ぎるだけか?
そうしてクソゴブリン共を殲滅し、奪われた飯を探そうとした時だった。
ワイルドゴブリンが現れ、俺の目の前に立ち塞がった。
食の暴力。




