新たな人生
俺が目を覚ますと、二つの顔が俺の目をじっと見つめる。
「目を...覚ましたぞ!!」
この人達は...?ああ、俺の母さんと父さんか。
どうやら、転生は成功した様だ。
「ええ、心臓の病気で医者様も駄目と言っていたのに...ぐすっ」
母さんは涙を大量に流しており、その涙で俺の顔が濡れる。
「泣くな、お前。今は俺達の子供が生まれた事を喜ぼう」
「うん、ぐすっ、分かったわ」
母さんは涙を拭いたが、その目は涙で潤んでいる。
「よし!じゃあこの子の名前を決めよう!」
不味い。今此処で本来の名前と違う名前にされると俺の仲間に疑われてしまうかも知れない。
声を出して俺の事と名前を理解して貰おう。
「ルババ..ルババーン!」
「はは、変わった泣き声だな」
クソッ、赤子だからかまともに話せない。
ならば、字を書いて俺の名前をわからせる!
俺はハイハイ歩きでずっと見てくる親の元を離れ、机に向かう。
「あらあら、余り動き回っちゃ危ないでちゅよー」
と、母さんが猫撫で声で俺を持ち上げ、俺を元いた場所に戻す。
「活発な子ね〜出会った頃の貴方みたい」
「はは、俺と付き合ってたお前みたいだ」
「あら貴方...」
こんな会話をしている両親は置いといて、このままでは非常に不味い。
かと言ってこれと言った解決策は無いし...
ああ、もう!俺は全てを天に任せる事にする!
「よし、それじゃあ名前を決めるぞ!!」
そして母と父は数時間話し込み、再び俺の前に来るのは日が落ちる頃だった。
「じゃあ、私達の可愛い子。あなたに名前をつけます!」
そう言う母には汗が出ており、相当緊張している様だ。
「あなたの名前はーー」
頼む!前世と同じ名前!!神でも誰でも良いから俺に運を!!!!
「ルバスです!!」
よっっしゃあ!!!何とか同じ名前になったぜ!!
俺は幸運を噛み締めながら今後について考える事にした。
「お前、良かったな、気に入った様だぞ」
「そうね、貴方...」
それから16年の時が経ち...
「ハー、ルバス、お前も今日で16かー、あの変な泣き声であっちこっち動き回ってた奴がだぞ?なあ、シロル」
「そうね、本当に...振り返って見ればあっという間だわ...」
「ははは、父さんと母さんは誕生日の度にそれなんだから」
俺が転生してから16年、遂に独り立ちの日だ。
16年生きてきて分かった事は、俺達が敗北してから魔王の支配が加速した事。
勇者パーティは俺達の後も編成されたが、悉く敗北した事。
そして俺のいる村はオジレールと言う名の村であり、近場にある王都に守られ、この辺の村ではかなり安全なんだとか。
クソッ、俺達が魔王に負けていなければこんな安全安全じゃないとか言って無かった筈だ。
今の現状を考えれば考える程魔王に負けた事が悔やまれる。
まあ、過ぎた事を悔やむより今と向き合おう。重要な会議...将来何をするかについて話している。
此処で親の同意が得られなければ駄目だ。
「それで、お前はこれから何をするつもりだ?やっぱ、夢は大きく、王都にでも行くのか?」
父さんが直球で聞いて来る。
「俺は、強くなる為の修行を兼ねた世界巡りをする」
「大丈夫なの?だって、安全が保障されているは隣の町と王都だけなのよ?それに、お城の兵士になった方が世の為にならない?」
母さんが心配そうに言う。
「うん、分かってるよ母さん。だけど俺は俺の守りたい物を自信を持って守れる様になりたい。城の兵士よりも」
それに逸れた仲間達と合流しなければいけないしな。
「...うん、分かったわ。あなたはあなたの選びたい道を選びなさい」
「ありがとう母さー」
俺がそう言おうとすると、母さんは強い意志を込めて言った。
「でも!これだけは守って。必ず、帰ってきてね」
「うん、約束する」
そう言う母さんは安心した様な素振りを見せた。
「よし、話も決まったし、今日はもう寝ろ!明日からは大変だぞ!」
そうして話も纏まり、この家で出来る最大限の準備を済ませ、来たる明日に向けて就寝した。
優しい両親。




