敗北と転生
「油断するな!まだまだ来るぞ!」
俺の掛け声と同時に俺達の周囲を中位飛行獣が囲んだ。
「なに!?中位飛行獣は一つの国に数体いれば相当というぐらいの希少種だぞ!何故こんな所に数十体も居るんだ!」
ドダックが目の前の光景を目にして叫ぶ。 それも無理も無いだろう。
ドダックが言った様に、中位飛行獣なんて一つの国に数体いれば相当なのだ。
それに、一個体だけでもかなり強力で、それを数十体相手にするなんて自殺行為に等しかった。
「クッ、こうなったら玉砕覚悟で行くぞ!」
「ッ、解りました!」
「やるしか無いか!」
そうして俺達はそれぞれの最も強い攻撃を打ち出した。
「消し飛べ!素子爆破ッ!!!」
「いかなる攻撃もこの壁の前には全て無駄です!!
属性強化障壁!」
「私達の強さを教えてあげるわ!!聖強魔絶結界!!」
「一撃で仕留めてやるよ!!!秘技、魔族絶斬!!」
俺達の最大の技を放ち、周りを囲んでいた中位飛行獣共はなす術なく消えて行った。
「何とか倒せましたね...」
「ああ、だがしかし魔力の殆どを消費してしまった」
「まあ、良いじゃねーかよ、魔物共も倒せたし」
「そうだな。さーて、帰って報告しに行くぞ」
そうして俺達が国へと帰ろうとした時だった。
「その程度の雑魚に殆ど力を使い果たすとは、期待外れだ」
突如興味を失った様な声が響き渡り、勇者パーティ全員がその声がする方へ視線を向けた。
それは、俺達が討伐する目標、魔王であった。
その左右には中位飛行獣の更に上位存在、上位飛行獣を並べていた普通、上位飛行獣は百年に一度程度しか現れ無いと言われており、上位飛行獣が現れた国は一日で滅ぶと言われている。
「上位飛行獣二体程度なら一人でも一瞬で殺せると思っていたが、貧弱な人間ではその程度が限界か」
そう言い、魔王が片手を上げると上位飛行獣が一斉に此方へ牙を向けた。
「捕食はするなよ、死体が無いと無駄にしつこい人間共を降伏させられ無いからな」
「クソッ!止めろーー」
「やれ」
そう魔王が言うと、上位飛行獣達は俺達の体を一瞬にして凍らせた。
そうして、俺達の視点が暗闇に包まれる。
何とか、何とか出来ないのか?
俺達は、俺達は魔王に向かって立つ事すらも出来無いのか?
クソッ、探せ、この状況を少しでもマシに出来る方法を!
確か、俺が昔師匠に最終手段として自我転生と言うのを教えて貰っていたはずだ。
それを使えば、今魔王を倒せなくても、いつかは倒せるかも知れない。
だがしかし、この少ない魔力で仲間達全員を巻き込めるか?
もう良い!どっちにしろ今成功させなかったら後は無いんだ!
余計な事を考えるな!やる!やってやるさ!
俺は出無い声を出し、魔力を振り絞った。
「自我転生!」
そして俺の視点が暗転し、俺の意識は途切れて行った。




