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バハムート宇宙を行く  作者: 珈琲ノミマス
お掃除開始。クロの清掃大作戦!

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降り注ぐ終焉

 バハムートへ向け、一斉に攻撃が始まった。


 戦艦から放たれたビーム砲の豪雨が、容赦なく黒い巨体へ降り注ぐ。


 いつものように意に介さず進もうとした、その瞬間だった。着弾と同時に、今まで受けてきた攻撃とは比べものにならない重い衝撃が全身を貫き、思わずその足が止まる。


「……重い」


 わずかに動きを止めた、その隙を逃さなかった。今度はドローンが次々に突っ込み、自爆攻撃を仕掛けてくる。


 炸裂のたびに、鈍く重い衝撃が全身へ叩きつけられた。巨体の内側まで揺らすような威力は、先ほどの砲撃と同じく、明らかに底上げされている。


「でかいだけの案山子がっ!」


「ユウタ様に向かった罪! その身に受けろ!」


「その声は、テンダーとアンガー……」


 視界の先では、巨大な粒子キャノンを構えたテンダーのRF部隊と、全身に棘をあしらい金棒を振るうアンガーのRF部隊が前へ出ていた。


 それだけではない。その他の席持ちたちが率いるRFの軍勢までもが、四方から一斉にバハムートへ襲い掛かってくる。


 セフィレイムと同等以上の火力を持つ攻撃が、動きを止めたバハムートへ容赦なく叩き込まれた。


 撃たれる。


 叩かれる。


 斬りつけられる。


 爆発と閃光が黒い巨体を絶え間なく包み、激しい衝撃が連続して宇宙へ広がっていく。


「……」


 それでも、バハムートはただそれを受けながら、静かに思う。


(なるほど。あの光は、戦艦やRFの性能を向上させる力があるのか)


 視界の先では、セイクリッドラゴンから与えられた光を纏い、まるで遊んでいるかのようにRFたちが次々と攻撃を仕掛けてくる。その様子を見つめながら、バハムートはマスクの下で面白そうに笑みを浮かべた。


(色々と面白い。どうするか……)


「オラオラッ! どうした! この案山子野郎!」


「見掛け倒し。つまらん奴だ」


「ユウタ様の御業。素晴らしい! 死ね、この悪魔め!」


 口々に浴びせられる罵詈雑言。その声に勢いを合わせるように、RFたちはさらに攻撃を重ねてくる。


 だが、そんな声も、そんな攻撃も、バハムートにはまったく届かない。


(う~~ん。一気に終わらせてもいいが……せっかくだ。新しい技を試すか)


 黒い巨体はなおも沈黙したまま、どう倒すべきかを静かに考える。


「……これでいきますか」


 その言葉とともに、バハムートの周囲に嵐が吹き荒れた。


 荒れ狂う風は攻撃を加えていたRFをまとめて吹き飛ばし、陣形を強引に崩していく。味方機が戦艦からの射線上に入り込んだことで、戦艦側も攻撃の手を止めざるを得なかった。


 そして今度は、逆に戦場が沈黙する。


 あれだけの猛攻を浴びたはずなのに、バハムートの体に損傷は一切ない。ただ、変わらずそこに在るだけ。その事実が、じわじわと恐怖となって戦場へ広がり始めた。


 その時、クロの声が響く。


「死にたくなければ避けて下さい」


 その言葉とともに、バハムートは両手に黒い球体を生み出した。


 ただ現れただけのはずなのに、その禍々しい光景だけで空気が張り詰める。


 それを防ごうとドローンが次々に突撃する。だが、効果はない。触れようとした機体から消し飛ぶように崩れ、黒い球体へ届くことすらできなかった。


 バハムートは生み出した球体をゆっくりと掲げ、二つを重ね合わせるようにして、さらに一つの大きな球体を生み出す。


「オムニディレクショナルフレア」


 静かな宣告とともに、バハムートはその球体を潰すように縮めていく。


 瞬間、圧縮された黒が限界を超え、全方位へ向けて無数のフレアが一斉に放たれた。


「レインフレアは正面。オムニディレクショナルフレアは全方位。避けないと死にますよ」


 それは、無慈悲に周囲へ撒き散らされる死だった。


 宇宙と同化するように放たれたフレアに、RFが次々と塵になっていく。


 ある者は避けようとして味方機に激突し、その一瞬の遅れでフレアに呑まれ、跡形もなく消えた。


 ある者は神に祈りを捧げながら、避けることすらせずに消えていく。


 ある者は味方を盾にして生き延びようとする。だが、それで逃げ切れるはずもない。盾にした味方が消えた次の瞬間には、自らもまた塵となった。


 そして、ある席持ちはユウタに助けを懇願しながら死んでいく。


 そうしてフレアが消えたころ、周囲に残っていたのは、わずかに生き残ったRFだけだった。


 セイクリッドラゴンに乗るユウタも、その周囲にいた戦艦も、ただ沈黙することしかできない。


 動かないのではない。動けないのだ。


 ユウタには、クロの機体が異常な事は分かっていた。だが、これは想像のはるか上を行き過ぎている。


「そこでのんびりしていていいんですか? 死にますよ」


 バハムートの言葉とともに、今度は赤い光が集まり始める。


「バハムゥ~~ト! ブラスタァーーーーー!」


 バハムートの胸部へ赤い光が収束していく。咆哮が空間を裂き、次の瞬間、胸部から放たれた真紅の閃光が一直線にセイクリッドラゴンへと向かった。


 反応できたユウタは、なんとかそれを回避する。


 だが、射線上にいたRFや戦艦は、閃光に呑まれ、爆発することすらなく塵へと帰っていった。


 あまりにもあっさりと。


「降伏するなら今ですよ」


 唖然としたまま周囲を見るユウタに、クロの声が響く。


「命だけは助けてあげなくもないです」

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