06 事件と謎
明日実とおばあちゃんは遺体を確認しに行き、竜也は部外者なので外で待っていた。30分ぐらい過ぎて、2人は戻ってきた。
警察に呼ばれて、事情聴取もされたらしい。明日実は泣きじゃくている。おばあちゃんの方も呆然として、何もできない様子だった。
警察の人から殺害したのは、西田幸次だと教えてくれた。警察の人からコテージに行ったら、西田幸次が明日実の母親は死亡して、石川真帆と中島亜美は命に別状ないらしい。父親の達郎の生死に関しては、何も教えてくれなかった。でもなんで、コテージに西田の父親と明日実の母親が戻って来たのだろう。
「竜也、どうしよう。ママいなくなった。」
「うん」
返す言葉が見つからない。
「なんで、ママだけが死んじゃったのかな?」
「ごめん」
「なんで謝るの?」
明日実は俯いて泣き疲れて顔で、母親が殺害されたことを受け入れられなくてもがいている様子だった。竜也は何もしてあげれなかった。
「竜也」
お母さんの声だ。
「ごめん、迎えに来てくれたの?」
「そうだけど、あなたは何もしてないよね?」
こんな時に何を疑われないといかないのか。こんな時にそんな言い方しかできないのだろうこの人と思いながら、母親を失っている明日実の前で話すのは申し訳なかった。
「何にも、してないよ。ちょっと向こう行こう」
「そう、分かった」
お母さんも明日実の母親が亡くなっていることは聞いているようだった。
「俺は何もしてないし、コテージにもいなかった」
「どういうこと?」
「なんか、昨日は明日実のおばあちゃんの家に泊まった」
お母さんはどこかしっくりしてような顔をしている。
「どういうこと?」
竜也もどう説明したらいいのか分からない。とりあえ自分はその場に居なかったことだけは伝えたつもりだ。
「東芝くんは何も関与してませんよ。今日は、帰っていただいもよろしいですよ」
お母さんは警察官が来てくれて、関与していないことでわかったことでため息ついた。
「明日実に帰ること伝えてくる。」
「そう、分かった。待ってるわ」
竜也は明日実に、家に帰ると伝えてその場を離れた。お母さんが運転する車に乗って、警察署を後にした。
「あの、明日実ちゃんのお母さんだけが亡くなったの?」
「そう、聞いてる」
「まあ、詳しくは教えてくれないか。でも、そこに居た人って他に誰がいたの?」
「分からないけど、俺と同じ年の女子が2人いて、殺害した男と、たぶんその父親の5人だと思う」
「ふーん。巻き込まれなくてよかったね。なんでコテージから出たの?」
「殺害した男と同部屋で、しんどかったこともあるし、明日実も女子3人で同じ部屋が嫌だったみたいでその兼ね合い」
「うん、良かったわね。殺されなくて」
「死んでほしかったてこと」
「違うわよ。そんな言い方してないわよ」
お母さんの言葉はよく分からない。どこかいつも素っ気ないから、わからない。でもあの明日実の母親とか、西田の父親のような竜也に非があるような言い方ではないことだけはわかる。
「ごめん、なんか疲れた。」
「そう、じゃあ寝なさい」
竜也は助手席にもたれ切って、眠りにふけた。




