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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年三月
118/252

三月五日 スナップショット

六十六日目 四分の二です

「逆に(すご)い」


(しぶ)い」


 誰の声だ?


 大木が立ち並ぶ森の中。


 小さなお(やしろ)と、その前の一角が一直線に幅三十メートルほど、長さ五十メートルほど切り開かれている。


 そのスペースを使って設置された、弓道場と観客席と観客が場違いすぎて、違和感が半端ない事に…


 何故(なぜ)ここまで落差があるの?


「今手に入る資料だと()の中間が無いの」


 んー。そう言えば、(これ)まで神社も寺院も教会も見た記憶が無いな… 此の世界。


 神様もどきはいっぱいいるのに…


 いや、それよりもだ。


 さつきが秘蔵してる映像資料を探せば、色々出てくると思うんだけど? 結構ネタ扱いされてたはずだよ?


「ああ! そう言えば見かけた気がする!」


 ハッとした表情で、(てのひら)(こぶし)をポンッとするミュウ。


 今から修正じゃ時間掛かるし、大きな神社の方にしようか?


「有り難う」


 最初の(けい)(だい)に戻った。しっかし、(ごう)()だなー。


 後、観客席に居る人たち、誰?


「無観客は(さび)しいので用意したの。データは適当」


 そうですか。


 なんか、適当にお話してたり、カメラ構えてたり、お弁当広げてたりと、かなり自由なんですが…


 そういう物だと思っておこう。


「じゃあ、(しよ)(たい)(けん)のみんなに弓の引き方、覚えて(もら)おう」


 ユリアが声を上げて、みんなで(しや)(じよう)に向かう。


 って言うか、(それ)(ぞれ)適当なマシンに乗っかって、バーチャルな射場に移動なんだけどね。


「んじゃー、本格的な作法なんて知ってる人居ないよねー?」


 と言う、ユリカの質問に


「知らないー」


「始めてー」


「何するのかも(わか)んない」


 等など。だよね。


「まー、弓引いてー。矢を飛ばしてー、(いく)つ的に当たるかってゲームかなー」


 うん。間違ってはいないな。


 しかし、ホントならゴーグル掛けた面々が、各マシン毎にに均等に散らばってるはずなのに。


 視覚情報からは、素顔のみんなが、わいわいと固まってる状況だよ。


 (さわ)ればちゃんと感触あるし、触られた方にも伝わってる。


 ホント、謎な機械だよなー。


鹿乃子(かのこ)ちゃん…今さら」


 隣に居たミュウに(あき)れられた。


 映像に合わせてシールド技術で形状を作り、表面の(しよつ)(かん)も映像の物体に合わせてるって説明は聞いたし、体験もしてる。


 でもな。改めて考えると、謎しか無いというか…理解出来ん。


 むむむー、と考え始めたら背後からメグの声が。


「鹿乃子ちゃん。考えるな!感じろ!!だよ?」


 そだね!


 使えれば良いんだよ。使って楽しめれば。


 作ってくれた人。有り難う!


 なんか、背後から笑い声が凄い事に。


 じゃれ合っている間に説明が進んで、順番に弓を引いてみる事になった。


 始めはお試しで、弓力(ゆんりき)十二キロ。


 引けたのは、なばちゃんだけ。


「もうちょっと強くても良いですねー」


 との事で、最終的に、十五キロ。


 他のメンバーは、ユリカが引いてた七キロから十キロ位に落ち着いた()(よう)


 弓の長さも身長に合わせて決定。


 全員、レーザーサイト(とう)(さい)。だよねー…


 (まと)()までの距離は、わたしとなばちゃんは、六十メートル。わたし達以外が二十八メートル。


 的の直径はどっちも一メートル… (ひど)くない?


 次に、的に向かって矢を放ってみる。


 まあ、想定通り、まともに飛んだ人は居なかった。


(むずか)しいよー」


「ゲームの弓と、全然違うしー」


「痛いー」


 なばちゃんなんか、矢の真上に視線を持ってった()()で、弓と(つる)に頭を(はさ)まれてたしな。


 超、受けてた。心配する声が無いのがなばちゃんらしいと言うか何というか…


「鹿乃子ー。お手本ー」


 いや、わたしも()(りゆう)だぞ?


 細かい(しよ)()を一切(はぶ)いて矢を放つ。


 あー。()たらないや。


 的の右下へ的一個分ハズレ。残念。


 どっと(はく)(しゆ)()き上がったのに吃驚(びつくり)した。


 外れたよ?


「矢が飛ぶだけでも凄い!」×いっぱい


 改めて、練習開始。


 なばちゃん。的は弓の左側から狙ってね!


 ユリカ始め、経験済みの(めん)()で簡単にアドバイスしつつ、約一時間。


 みんな、的に届く様になってきた。


 そろそろ、いっぺん休憩しようか? みんな。


「はーい」×(たく)(さん)


 さっきから、服の端っこをツンツン引っ張られてまして。


 ウイーが、休憩の準備が出来たと呼びに来てたんだよ。


 なんでわたしの所? 君のオーナー、ユリカだよね?


「ショウヒン ガ オーナー ヲ エラブ コト ハ デキナイ ノ デスヨ」


 (うつむ)いて(こぼ)すウイー。


 なんかごめん。


「ひーどーいー!!」


 ユリカが(わめ)いてる。


 他の皆様? そりゃもう、爆笑中。


 一息入れて、それじゃあ本番だって事に。


 さっき調整したマシンに、夫々乗って、ゴーグルも装着。


 ソフトが起動した。


 弓道場が展開されて、みんなの姿も表示される。


 全員、白衣(びやくえ)緋袴(ひばかま)千早(ちはや)の姿。


「おおお!」×全員


()(れい)!」×沢山


()(わい)い!」×沢山


 (そう)(かん)です。


 体操服でって、このためだった模様。


 みんな、お互いに姿を見せ合ってわいわいキャッキャと大騒ぎ。


 ミュウ、有り難う!


「「ミュウちゃん!此の姿でスナップショット、()れる?」」


 ジーナと麗華がミュウに声を掛ける。


「出来る。みんな、並んで?」


 おー。と言う声と共に、みんなで整列する場所を決める。


 (ほん)殿(でん)と的場がバックに来るよう、()(みち)(たま)(じや)()の上に降りて整列する事になった。


 みんなが並ぶとミュウの掛け声。


(はと)が飛んでくるからそれを見てね」


 鳩? 何処(どこ)から?


 あ。観客席の上から降りてきた。


 地面から二メートル位の高さの止まり木がいつの間にか立てられている。 


 ()()に止まった鳩が、カメラを取り出して構える。


「あははははは。(なに)(これ)、可愛い」×沢山


 その瞬間、パチリ。


 ()ぐに、目の前に、今のスナップが表示された。


「キャー。目つぶっちゃってるー」


「横向いちゃったよー」


「顔が隠れちゃってるー。いやーっ」


 ()(たん)に大騒ぎ。


「ミュウちゃん! やり直し!! やり直しを要求するよ!!!」×沢山


 結局五回、取り直したんだよ。

四分の三へ続きます

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