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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年三月
115/252

三月四日 増設

六十五日目 五分の四です

 そして、立派なトイレットルームも完成だよ。


 どこぞのホテルかって言うよーな(やつ)。化粧台から洗面台、便座他、一式がセットになったコンパクトな個室が、十室も並んでる。


 続けて、(さら)に工事の音が。


 和室より広い面積がタイルで(おお)われていく。部屋の半分近くが湯船に…


 でけーよ! デカすぎるよ!! 一階のお風呂の四倍は有るよ!


 はー。まあ、家主のやる事だからな、好きにしたら良いんだよ。


 やれやれ。


「あれ? どうしたの? 鹿乃子(かのこ)。疲れ切った顔してるよ?」


 思わずユリカの頭を(わき)に抱え込んで、脳天に(こぶし)でもってぐりぐりぐりぐり…


「痛い痛い痛い痛い。何でー? あたし、なんで怒られてるのー!?」


「やり過ぎだ」


 お仕置きされて、望陀(ぼうだ)の涙、なユリカと共に、一階へと戻る。


 ダイニングで、ウイーにお茶をお願い。ユリカと二人、小休止。


 疲れたよ。精神的に。


(てつ)(ぺん)、はげちゃうよー」


 頭をさすりながら、涙目なユリカ。


 ()()へ、ウイーが顔を出す。


「オカエリ ノ ヨウデス ヨ」


 同時に、玄関からは


「ただいまー」×(たく)(さん)


「お(じや)()しまーす」×沢山


 声が聞こえた。


「「お帰り」ー」


 と、答えながら玄関へと迎えに。


 住人は良いとして、その後ろが中々に(すご)かった。


 荷物、でっか!


 何処へ旅行にお出かけなんだ?


 全員がボストンバッグやらトラベルバッグやらリュックサックやら引き()ったり背負ったりって。


 一人当たり二つ以上… どんだけ荷物が必要なんだ?


「いらっしゃいー。入って入ってー」


 ユリカがみんなを案内して地下一階へ。


 流石(さすが)に、一般家庭用にしては大型なエレベーターでも、一回じゃ全員運ぶの、無理だったよ。


 最大定員三十人らしいんだけど… それ、(すし)()めになるんじゃね? とか思ったのは内緒だ。


「ひっろーい!!」×十七人


 NINJAペア始め、住人一同の視線がユリカに注がれる。


(がん)()って、用意しましたー」


 得意げな顔のユリカ。何故かイラッとする。


 押し入れの半分がロッカーになってるんで、みんなの荷物を其処にしまって、先ずは制服を着替えようか。みんな。


「隣に化粧室があるからねー」


 ユリカの言葉にぎょっとする一同。


「すっごーい!」×いっぱい


 バタバタと走っていって、トイレットルームが個別になっているのに大騒ぎの一同。


「ユリカ(ちゃん)!やり過ぎ!!」×七人


「えぇー??」


 みんなに(しか)られて、(なつ)(とく)いかん。と言う表情のユリカ。


 やっぱり怒られた。でも、まだ有るんだよな…


 七人を手招きしてお隣の部屋へ、ご案内。


「あぁぁ…」×(くず)れ落ちる七人の皆様。


 大浴場を見て呆然となっております。


 (すで)に、お湯も満たされて何時でも入浴可能な状態。いつの間に…


 まあ、お客様方には大好評なんですけどね。


 其処へ、


「オチャ ノ ジュンビガ デキマシタ ヨ」


 と言う声が掛かって、振り向けばウイー。


「有り難う。今行くね」


 そう答えれば、にっこりした表情を浮かべた後、ユリカの元へ。


「オーナー、オーナー」


「何かな?」


「ダレガ オソウジ スルト オモッテ ラッシャル ノカナ? コノ ポンコツムスメ」


 ビシッとユリカを指差して、こう(のたま)ったよ。


 ()(まま)、ぷいっと去って行く。


 後に残されたユリカは、両手、両膝を床に付けてダウン寸前。


「ウイーが正しいと思うなー。わたし」


「ちょっと、計画性が足らないんじゃ無いでしょうか?」


「ユリカちゃん、再起不能です?」


「好感度、爆下げ」


 メグ、かおり、アルファ、ルミから連続攻撃。


「まあ、ウイー一人じゃ、ちょっとキャパオーバーになっちゃうでしょうね」


 ミュラ姫が追撃。


 あ。ユリカが(すす)けた。


 多分、思いつくのと行動するのが同時進行ってのが、ダメな原因じゃ無いのかな。


 まあいいや。みんな、お茶にしよう、お茶。


「はーい」×十七人


 ユリカはどうしよう…


 ()()に其の儘置いといてもなあ、という事で、肩に担いで連れて行く事に。


「ユリカ、ハウスキーパー追加だな」


「…はい」


 リビングに集合してティーブレイク中。


 ユリカは涙目の(まま)、携帯端末でハウスキーパーの発注作業中。


 お高いらしいですよ? この前の改造費以上なのかな?


 唐突に、わたしの携帯端末に着信音が。


「はい? どちら様?」


《ああ、鹿乃子ちゃん? わたし、()()()。ユリカちゃんからハウスキーパーの注文が来たんだけど、何かあった?》


 ウイーがケットシーに化けた原因の人だ。


 改造しちゃったハウスキーパーに、不具合があるのかと心配になったらしい。


 何故、オーナーのユリカで無く、わたしに連絡してきたんだろう。


 ユリカじゃ、正直に理由を話さないとでも思ったのかな?


 まあ、(ない)(しよ)にする必要も無いんで、事の()(だい)を説明してみた。


《あはははははははははははははははははははは。何やってんのよユリカ。うけるー! うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ》


 大爆笑だったよ。


「小百合ちゃん、(ひど)いー」


 笑い声が聞こえたらしく、(がく)(ぜん)とした表情のユリカは、望陀の涙。


 流石に、哀れになってきたよ。


 ユリカの暴走を止められなかった分、わたしも責任を感じて来ちゃったんで、おまけしてくれないかお願いしてみた。


《じゃあ、この間払わせちゃった代金分、割引するわ。それでも良い?》


 どの位の割合になるのか判りませんが、お願いします。


《了解よ。明日には届けられるから、ユリカちゃんに伝えといてね》


 有り難うございます。


「鹿乃子ー!! 有り難うー!」


 ユリカー。おまっ、又その顔で抱き付くんじゃ無いよ!


 うわーっ。服がー!!


 ああ。間に合わなかったよ。


 私とユリカの二人以外、お(なか)抱えて(ころ)げてるんだけど?


 みんな、爆笑って、酷くないですかね!?


 なんてこったい。


 ユリカが落ち着くのを待って、着替えるために自室へ移動。


 着替えてリビングへ戻ったら誰も居ないって、どっかで見た光景だな。


 テーブルの上に書き置きが。


『シューティングゲームやってます』


 やっぱりだー。


 ユリカの着替えを待って地下へ。


 又、ゾンビ退治で大騒ぎかな? と思ったら、違ってた。


 (こう)(はい)した市街地で、ロボット兵士相手の市街戦だったよ。


 何時開発したの? ミュウ。


「ユリアちゃんの発案で少しづつ」


 一人、色々調整していたミュウが答えてくれた。


 ゾンビ戦よりは良いな。見た目に(やさ)しい。(なん)()()、高めみたいだけど。


 そんな事よりも。だ!


 何故増えている!?


 クラブルームに設置してあった小型軽量タイプが三×四列、十二台。増設されているんですが!?


 ミュウ、説明、プリーズ!


「ミュウが、クラスメイトみんなとお(ひな)(さま)やるんだって、ケイちゃんにソフト見せた()()かも? お部屋に来たら増えてたの。試験運用しろって事だと思う」


 そうかー。姫野の関係者って、自由人ばっかなんだなー。きっと。


「否定、出来ない」


 そんな会社の最高責任者やってるさつきって、実は凄い人なんじゃ無いかと一瞬思ったりしたけど… 無いな。きっと大きな(かん)(ちが)い。そうゆうことにしておこう。


「鹿乃子ちゃん、なにげに酷い?」


 ミュウにバッチリ()かれてました。内緒でお願いします。


「間違ってないと思うので、公表しても大丈夫」


 ミュウも、(たい)(がい)じゃ無いかな?


「だって、さつきちゃんだよ?」


 こてん、と小首を傾げるミュウ。


 うん。そうだね。さつき、強く生きてね。


 ゲームに夢中なさつきを見ながら(つぶや)くわたし。


 ミュウが横向いてプルプルし始めた…


 ユリカ? ミュウの「否定出来ない」って所から爆笑中ですが、何か?

五分の五に続きます

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