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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年三月
110/252

三月三日 練習

六四日目、五分の四です

 移動しつつ概要(がいよう)だけは()いておきたいんで説明して(もら)う。


 とは言っても、リニアチューブの移動はモノの数十秒なんで、(もつぱ)ら通路を歩きながらなんだけど。


 ぶっちゃけ、人それぞれなんで、決まったやり方は無いんだそうな。


 かおりみたいに、異空間と(つな)いだ境界面を足場にする人が居れば、ミュラ姫やさつきみたいな飛行能力だったり、ミュウのようにレビテーションと念動の組み合わせだったり。


 (ちな)みに、龍神(りゅうさん)は、どうやってるの?


〝天龍は元々空を泳いでおるからな。どうやっているかなんぞ気にした事もないな〝


 役に立たないな。


〝我の扱い、酷くないかの?〟


 とかやってる内にクラブルームに到着。


「「お早う」」


「あら、起きたのね」


「授業を受けに来た格好じゃないみたいだけど?」


 声を掛けて室内に入れば、サリーとミュラ姫がいた。カミーラは不在。


「カミーラちゃんはお家で休んでるわね」


 姫から情報が。


「まあ、大変ではあったからねー。トレーニングルームに行ってるねー」


 ユリカが答えて別の扉へ向かう。


「いつもの部屋じゃないんだ」


 入り口が違うんで確認。


「高さが有った方が良いでしょー? そうゆーお部屋があるのさー」


 付いていけばエレベーター。


 下へと向かって降りた先に訓練場。


 中に入ったら、天井が高い…何メートルだ?これ。


「天井まで五十メートル位だよ。降下訓練とか登壁(とうへき)訓練が主な用途だねー」


 確かに四方の壁はいろんな素材で出来てるね。


 やにわに、ぴょん、と数メートル飛び上がり、其の儘空中に立つユリカ。


「あたしはこうやって、空間をちょっとずらして足場を作るのが基本かなー」


 ユリカ! それよりスカート! 中が丸見え!!


鹿乃子(かのこ)しかいないんだし問題ないでしょー」


 本人が良いならまあ気にしないでおくけど。


「へーきへーき。後はミュウみたいにレビテーションで浮いておいてずらした空間を()って移動とかー」


 一瞬ふわりとした直後、何もない場所を蹴り飛ばして横に移動するユリカ。


「放出系の能力を使うついでに反動で移動とかー」


 壁の直前で、右(てのひら)から遠当ての気のようなモノを放出し、反動で戻ってくる。


「って事でー、先ずは浮き上がるとこからかなー」


 さて、どうやれば浮き上がる事が出来るんだい?


”重力の頸木(くびき)から外れれば落ちる事はないがね…〝


 なるほど、重力を遮断…こうか?


 ふわりと浮き上がったと思ったら、其の儘天井に向けて加速、五十メートルを一分程掛けて落下した。


 おかしいな、空中で止まらないぞ?


「なんで天井に向かって落ちてくの?」


 ユリカが(あき)れ顔でやってきた。


 ああ、龍神(りゅうさん)が声も無く笑ってるよ… 酷い奴だ。


「重力を相殺(そうさい)したら浮くかと思って…」


 と、状況を説明したらユリカがぽつりと。


「自転の遠心力」


 …あ。惑星って自転してたっけね。


「あはははははははははははははははははははは」


 ユリカも爆笑。


 重力に換算したらたいした大きさじゃ無いらしい。天井に立てるって言っても、ほとんど重さが感じられないんだけどな。


 それでも外に向かって放り出される事に変わりは無いと。完全に遮断したらダメだったのか。やれやれ。


「遠心力の加速度ってー、赤道でも百分の三G位じゃなかったかなー」


 そうかー、じゃあ、微妙に影響を残して。


 軽く天井を蹴ったら少し進んで空中に止まる。


 空気に邪魔(じやま)されて動けなくなったのか。じゃあ、地球(仮)上でなら重力の遮断はこのぐらい、と。


 でもなー。これ、全然自由が利かなくて、戦い向きじゃ無いよね。


 重力の遮断を解除すると同時に、床面へテレポートして着地。


 ユリカの言う、空間をずらすってのが良く理解出来ないんで、代わりに空間に固定したシールドを作ってみる。


 一メートル位の位置に立てる程度の大きさで。


 ぴょんと飛び乗ってみた。


 立てるじゃん。


 足場にしたシールドを消すのと同時に重力制御。更に右横に垂直な、左の壁際辺りに斜めのシールドを展開して、右のシールド、左のシールドの順に蹴り直ぐに消す。


 そして、移動先の天井付近にシールド、重力制御をマイナスに変更。シールドを足場に、天井を下に見て着地する。


「こんな感じで良いのかな?」


「速度さえ確保出来るなら充分じゃないかな…」


 じゃ、後は練習有るのみだね。


「あたしなんて空中に立つだけで年単位の練習したのにー! これだから天才君はまったくもーっ!!」


 ユリカがぼやいてる。


 ごめん。聞かなかった事にする。


 そしてひたすら反復(はんぷく)練習。


 少しずつ速度を上げていく。


 足場のシールドを作るのに一秒かからなくなってきた辺りでユリカに止められた。


「お昼だよー」


 了解した。何処(どこ)で食事?


「食堂行けばいいんじゃないー?」


 ()の格好で?


「へーきへーき」


 と言う訳で食堂へ移動。したら、案の定超目立った。


 高校の食堂に私服の小学生が混じれば目立つよなあって、痛い!


 脇腹(わきばら)にパンチは勘弁(かんべん)して。ユリカ。


 まあ、周りではNINJAコンビや重役コンビ達が爆笑しているわけですが。


 今日はお休みと割り切って、午後も空中機動の訓練。


 シールドを展開するタイミングが、方向を変える一瞬に出来るようになってきた。


 まあ、変える位置をあらかじめ決めておけば、なんだけど。


 そろそろユリカが邪魔(じやま)をしに来るんじゃ無いかな? と思った瞬間に移動方向にユリカが出現。


 (あわ)てて向きを変えようとしてシールドが遅れ、其の儘ユリカに突っ込んだ。


 ぶつかる寸前にユリカが消える。


 やはり、慌てると制御が乱れる。


 その後も、ランダムに進行方向に現れては消える、を繰り返すユリカを、なんとか回避が可能になり始めた頃、今度はわたしに向かって突っ込んでくるような動きを取ってくる。


 やはり最初は焦って回避を失敗。


 それにも慣れた頃、今度は攻撃を仕掛けてくるようになり、回避や防御を選択し、対処を要求される。


 中々にハード。


 夢中で繰り返し練習を続けていたが、やがてユリカに止められた。


「休憩だよー」

五分の五に続きます

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