三月三日 依頼
六四日目、五分の一です。
星暦二千百十一年三月三日 木曜日
お早うございます。
すっかり恒例の早朝ランニング。
今朝のお供はミュウとアルファ。
ユリカはお寝坊さんかな?
アルファ、どうやって付いて来るんだろうと思ったら、重力コントロールとやらの改良をしたんだそうで、浮き上がるだけじゃなく、移動も可能になったんだって。
落下する方向を横にすれば移動が可能。とか言ってたけど、横に落下ってどうゆう事だ?
まあ、理屈はどうあれ、見事にミュウと同程度以上には飛行してる。
寧ろ、アルファの方が上手かも。
「自動運転です。前方の障害物は自動回避します」
「ミュウもそれ欲しい」
「了解です」
ミュウ、練習しないと上手になんないぞ?
「やっぱ、いい」
「用意だけはしときます」
「有り難う」
話は纏まったらしい。
でさ? アルファ、それ、運動になってるの?
「障害物回避の時に振り回されるんで、バランス取るのが結構大変です」
なるほど。因みにバランス取りしないとどうなるの?
「こんな感じです……うみゃー! 目が回るー」
実演してくれた。
進路が変わる度にぐるんぐるん振り回されて、大変な事になってた。
「…こうなります…」
判った。アルファ。悪かった。
小一時間走って今日の日課、終了。
ミュウ達のペースに合わせるために、わたしだけ四Gの重力掛けてたのもあって、三人とも薄ら汗ばんでます。
一度部屋に戻ってシャワーかな。
汗を流し、着替えて朝食を摂るためにダイニングへ。
テーブルに突っ伏した毛玉が一つ。
「何かあったのか? ユリカ」
「ちょっと日付変わった辺りで呼び出されたのー」
「午前中寝とけば?」
「うんー。食べたら寝るー」
どうやら、お仕事だったらしい。
ウイーの作ってくれた朝食を、ユリカと食べ始めた所へミュウとアルファ、重役コンビの四人がやってくる。
さつきに視線を向けて、ゆらゆらしながら朝食を頬張ってるユリカを示して何があったのか問い掛け。
「姫野の用事じゃないよ! メンバーズっていうか、連邦からの依頼だよ!」
それは、断れない系? ユリカじゃなきゃ系?
「後の方!」
なるほど。ユリカ、ご苦労様。
何が有ったのかは知らないけど。かなりのやっかい事だったんだろうと推察。
解決に必要な時間はともかくとして。
何せ、これまで顔を合わせた事の有るメンバーズ、二十人ほどの中で、底が、と言うより天辺が見えないの、ユリカとユリア、後は弥生ちゃんの三人かな。
他のメンバー、凄いんだけど、テクニックや経験の違いで追いつけないって感じなんだよね。多分限界は見える気がする。
カミーラは、掴み所がなくって判断不可。
そんなユリカがダウン寸前、となればねえ。
「ユリア、お手伝いしてあげたら良かったんじゃ?」
と、訊いてみれば、
「わたし、放射線耐性が無いからねぇ。ユウジ君とカミーラが手伝ってたはずだよ?」
なんとも、危ないお返事が帰ってきたり。
ユウジ君はともかく、カミーラ、手伝ってたのか。見てみたかったなあ。
「今度、機会があったらお手伝いよろー」
ユリカ。わたし、見たいだけ。お手伝いは遠慮する。
「そんな事言わないでさー。一緒に行こうよー」
ダメだ。ぐずって抱き付いて来た。
ユリカ、朝食は食べ終わってるんで、其の儘抱き上げて彼女の部屋へ。
ベッドに転がしたら、直ぐに寝息が聞こえてきた。
ベルトが窮屈そうなんで外す。他は割とゆったりした服だからまあ良いだろう。
シワシワになっちゃうだろうけど。
後は布団を掛けて、ダイニングへ戻る。
残り五人も食事を始めてた。
わたしは、カップに半分残ったコーヒーを飲み干して、食器をキッチンへ持って行…こうとしたらウイーに取り上げられた。有り難う。ウイー。
全員が食べ終わって、テーブルの上の片付けをウイーが初めてくれたので登校の準備…
「鹿乃子。ユリカ一人になっちゃうんで待機よろしく」
ユリアから唐突に。
「ユリカちゃん、目が覚めたら一人じゃ淋しいでしょうから、お願い出来ますか?」
かおりからも追撃が。
判ったよ。起きるまで待ってる。
「お願いね!」
さつき。サリーとかミュラ姫とか、生徒じゃないんだから学園に行かなくっても良いんじゃね? と思わなくもないんだが?
まあ、懐き具合の問題なんだろうなと言う自覚はあるんで承っておこうか。
みんなが登校準備を終えて玄関へ。
わたしとウイーがお見送り。
「行ってきます」×九人
「行ってらっしゃい。気をつけて」
「イッテラー」
一瞬全員で固まった。 ちょっと? ウイー?
「カノコ サン ハ ゴザイタク デスカラ オミオクリ レベル ハ コノクライ デ OK?」
其の儘奥へ引っ込むウイー。
いやいやいや。何処から出てきた? その理屈。
「鹿乃子、愛されてる」
ルミ!?
そして玄関の扉が閉じられる。
閉まると同時、外から笑い声が多数。そして、遠ざかる。
何だか、とっても居たたまれない…
五分の二に続きます




