表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年三月
106/252

三月二日 お泊まり会

六三日目 後半です

 ユリカ、顔を真っ赤にして全身がプルプルプルプル…


「く~~…わっ」


 (みよう)な声と共に、「びよん」と言う微妙(びみよう)な音がして、矢が数メートル先にポテッと落ちる。


「弓が固くって引けないー…」


 がっくりと項垂(うなだ)れるユリカ。


「じゃあ、弓、ちょっと弱くしてみるよ」


 ミュウが何か設定を(いじ)る。


「はい。もう一回」


「ほーい」


 ユリカ、二度目の挑戦。


 今度は引き分ける事が出来た。


 まあ、腕はプルプルしてるけど。


 ぱん。という音と共に矢が放たれて、的の手前で着陸成功…


「…届かない…」


 再び項垂れるユリカ。


「もうちょっと上に向かって放てば届くよ」


 簡単にアドバイス。


「あ、そっかー」


 三度構えて矢を放つ。


 山なりの軌道で的の横に刺さった。


「…当たらない…」


 又々項垂れるユリカ。


 そっから先は頑張(がんは)って練習だね。


「照準装置もスコープもないんだもんー! どーやって狙えってのさー」


 だから、頑張って練習だね。


「え~~?」


 いや、和弓に照準装置なんてないよ。だから、頑張って練習だね。


「ミュウー」


「はいはい…」


 又ミュウが何か設定を弄ってる。ユリカの手にしている弓に、ポケットライト位の円柱状の何かがくっついた。


「レーザーサイト付けたからやってみて」


「ありがとー」


 四回目の構え。


 引き分けを始めると、的にレーザーの赤い点が自動的に現れて、ユリカの腕のぷるぷるに合わせてプルプルと。


 ぽん という音がして、矢が的に当たった。


「あたったー」


 万歳(ばんざい)をして嬉しそうなユリカ。


「どれどれ」


 いつの間にかユリカの後ろに近寄ったさつきが、ユリカの手から弓を(うば)い取る。


「わ! びっくりー」


 言葉だけで、全く驚いた様子もないユリカ。


 ユリカを追い払って射位(しやい)に立つさつき。


「あら、軽い!」


 ものすごーく等閑(なおざり)な構えで弓を引き、矢を放つ。


 矢が、レーザーの当たってる位置から(はる)か右へ命中。


「当たらないよ!?」


 そりゃ、弓をがっちり持ってるし、手が其の儘(そのまま)動いてないもん、右に飛ぶよ。


 ユリカは、(つる)から手を離した反動で左手が外に逃げてたからな。プルプルな腕が良い具合に()まった感じ。


 さつきは、弦を引き始めたら弓を(にぎ)るのを()めて、曲げた指で弓を囲むようにして(てのひら)で押し出す感じにしてみれば良いよ。


「こう?」


 構えは適当だけど、先ほどは握りしめていた掌から力が抜けた。


 其の儘放ってみて?


 再び矢が放たれる。 今度は、その反動で、さつきの手の中で弓がくるりと回る。


 矢は、今度は狙ってた近辺に当たった。


「おお!当たったよ!」


 お見事です。


 まあ、構えや作法はどうとでも。遊びだしね。


 やり方が判ったみたいで、その後みんなが順番に一巡(ひとめぐ)り。


 気が済んだらしく、カミーラを残して全員で帰宅です。


 戸締まり、よろしくね。


「明日おひな様じゃ放課後しか時間取れないし、土曜日にしない?」


 と、道中ミュウから提案が、


 三日に(こだわ)りがあるわけじゃないので同意。ゆっくり楽しみたいしね。


 クラスの女子全員参加だし、かなり時間が必要だと思う。


 多分、ついでにお泊まり会になだれ込みそうな予感。


「それ!採用!!」


 しまった。さつきに独り言(ひとりごと)聞かれてしまった!


「良いねー。宿泊用のお部屋用意しとくよー」


 ユリカも便乗(びんじよう)


鹿乃子(かのこ)。グッジョブ」


 ルミが親指立ててる。


 迂闊(うかつ)な一言だったよ。深く反省…


 かおりとメグがお腹抱えてるしな。


 やれやれ。


 公園出口で(ツイツギー)と戯れ、お家に到着。黒猫(ウイー)のお出迎えにみんなで挨拶(あいさつ)


「オカエリナサイマセ」


「ただ今」×十一人


 早くも慣れている自分が居る。


 一度、各自の部屋で着替えてリビングに集合。


 直ぐにウイーが夕飯の準備を(ととの)えてくれる。


 ダイニングへ移動して夕飯です。


「戴きます」×十一人


 いつもの通り、大変美味(おい)しゅうゴザイマス。有り難う。ウイー。


 ごちそうさまの後はひとまず課題を片付ける。


 翌日の登校準備まで終えてリビングに戻れば、ユリアの課題をまる写すさつきが。いつもの光景。


 本番以外で頭を使うのがいやなんだとさ。


 何を持って本番なんだかな。


 まあ、所詮(しよせん)他人事(ひとごと)、他人事。


「何だか(ひど)い事を言われてる気がする!」


「気がするんじゃなくてまんまだよ。はぁ」


 わたしを見ながら騒ぐさつきとそれを見て溜息(ためいき)なユリア。


「鹿乃子ちゃん、境内(けいだい)のデザインなんだけど…」


 と、ミュウがタブレット型の端末を手にやってきた。


 えーっと、この辺はぐるっと紅白の幕で囲んで、反対側に見学席かな。


「じゃあ、こっちは?」


 此所(ここ)にひな(だん)。飾り付けはこっちのひな壇と同じで良いと思うよ?


「こんな感じになるよ?」


 バッチリだ。後は、的はもっとおっきくしてね? 未経験者でもそれなりに当たるように。うん、そのくらいでOK。


 それ以外はよく見てなくって記憶にないから適当で。それっぽく見えればいいんじゃないかな。


「じゃあ、後はそれなりに仕上げとくね」


 お願いします。


 そして、パタパタと走り寄ってくる足音。ユリカだ。


「鹿乃子ー。ジーナ達が待ってるよー」


 はいはい。


 と言う訳で、モンスター狩りの旅ですよ。


 あ、さつきの書き写しペースが上がった。


 そして今夜は二十二時までの三時間。


 頑張った。頑張って周りのペースに合わせましたよ。()めて? 誰かわたしを褒めて下さい。


 あとは、お風呂で温まって就寝の準備を。


 それでは、おやすみなさい。

六四日目に続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ