三月二日 おひな様
六三日目 前半です
年明け最初の投稿です
本年も、よろしくお願いします
星暦二千百十一年三月二日 水曜日
お早うございます。
又々、一緒に寝た三人で、早朝ランニング。
そう言えば、明日は三月三日だよ。
イベント事が無いって言ってたけど、雛祭りだけはやりたいなぁ。
ちょうど十六歳の年回りだし。
じいちゃんと一緒に見に行ってから、憧れなんだよな。
と言う訳で、ユリカに相談。
「おひな様ー? 出来ない事はないけどー…ひな壇作って五人囃子とか三人官女とか並べるあれでしょー?」
「そう。ちっちゃい時見てからやりたかったんだ」
「あり? あれってちっちゃい時からやるんじゃないのー?」
「わたしの記憶じゃ、十六になった最初の節句でやるモノだったから」
「へー、変わってるねー。じゃあ、覚えてる所、後で詳しく教えてー」
「判った」
昨日、散々文句言われたんで、走行距離は半分に減らしたよ。
「まだ多いよー。フルマラソン約四回分…」
「わたしは始めから付いて行けてないよ」
ミュウは一キロ位で脱落してたっけな。そう言えば。
「クランクカーブ、曲がりきれなかった…」
ああ、まだ、あの速度だとコースアウトしちゃうんだ。飛行練習、頑張れ。
一階に戻って部屋で着替え。
ダイニングに移動して、ウイーに朝食をお願いする。
ユリカがやってきて、雛祭りの相談を再開。
その前に、ウイーが持って来てくれた朝食を戴く事に。
「「戴きます」」
で、食べながら相談。
「ひな壇は何段で? 五段ー? 七段ー?」
「五段だろ? 七段なんて有るの?」
「三、五、七の三種類が基本だよねー?」
へー。わたし、五段しか知らないや。
「じゃあ、上から内裏、官女、お囃子、矢大臣、仕丁で合ってるー?」
え? 呼び名があるんだ。それも知らないや。
「じゃあ、上から二人、三人、五人、二人、三人の順ー?」
そう、確かその順番。
「で。お供えするのは白酒、菱餅、雛あられー?」
ぼんぼりとかお花なんかもあったような。
「んーと、…こんな感じだったかなー?」
何やら携帯端末を弄って此方に見せてきた。
其処には五段のひな壇に並べられたお人形や小物。
良く出来たミニチュアだな。
「はいー?」
え?
何か変な事言った?
「ミニチュアじゃなくて、これがおひな様ー」
あれ?
女雛の座を賭けた、弓技大会だよね?
「えぇー? そんな事するのー?」
優勝者から順にひな壇に上がって祝って貰う…じゃないんだ?
「こうやってひな人形を飾ってー、女の子が健やかに育ちますようにって願掛けするのが此の世界の雛祭りだよー」
そうなのかー。あの白衣、緋袴に千早を羽織って弓を引く姿、格好良くって憧れだったんだよなー。
残念。
「それも楽しそうだねー。ミュウにソフト組んで貰ってやってみるー? 何なら、弓道場借りて弓引いても良いしー」
「やる! 頑張って作るよ。鹿乃子ちゃん」
おや、ミュウ。いつの間に? って、全員揃ってた。
あれー? そんなに集中してたっけ? わたし。
「キラッキラなお目々だったわよ」
とユリアの指摘が。
のめり込んでたんだ…周囲への注意が散漫だったよ。失敗失敗。
「そんな、常に緊張してないで、家で位ノンビリすれば良いのに」
いやー、家に居る時が一番緊張してたんで、くせになってるんだよねー。
「不憫な娘」
いきなり抱きしめられたんですが…ご飯溢れるから止めて? ミュラ姫
ユリカとのお話は其処までにして、朝ご飯の続き。
食べ終えたら登校の準備です。
「鹿乃子ちゃん、射場は普通の弓道場?」
ミュウに聞かれたんだけど、えーっと、確か、神社の境内に特設だったと思う。
紅白の幕で的と射場を囲ってあって、両脇が観客席で。
「かなり大きな神社だね?」
社殿の前が百メートル四方ぐらい有った気がする。
でも、何で?
「ソフト組むのに必要な情報だよ」
ああ。 って、ホントに作ってくれるの?
「頑張る」
お願いします。
「任して」
そして、学園。
ユリカがみんなに話しちゃったんで、クラスの女子、みんなで弓技大会開催が決定したよ。
その後、ミュウは授業そっちのけで一日中、小型端末叩いてるし。
先生が何故か見逃してくれてるから良いようなものの。
あれ? なばちゃんも参加するって言ってなかったか?
それでか? それがミュウの内職見逃しの理由なのか?
直接、訊いてみた。
「大丈夫ですよー メンバーズの急なお仕事ですって言っておけば問題ありませんからー」
いいのか!? それで!
なばちゃん先生、恐るべし。
放課後、クラブルーム。
ミュラ姫、サリーにカミーラも待機してた。
いつの間にかラン…もとい、ゲームマシンも設置してあったし。
ユリカん家の地下にあるのより、かなーり小型化された奴が。
十センチ厚位の一メーター半四方の板とスタンドにセットされた小型端末が一台。
板は折りたたみが出来て、畳めば五十センチ×四十センチ×一点五メートルに。
一般家庭でも、部屋の隅っこに、辛うじて置いておけるサイズかな?
エネルギーパック一個有れば一日遊べるそうですよ? 一般人なら。
販売価格も、VRゴーグルよりちょっとお高めに納める事が出来そうだとか。
なんか、色々規格外過ぎやしませんかね? 姫野グループ。
VRゴーグル借りて、とりあえず乗ってみる。
視界に射場と的場が見えてくる。境内なんで、矢道は玉砂利。
射位に立つと、目の前に、弓と矢が浮かぶ。
それを手にして、構え、引き分けて放つ。
カンッと言う小気味よい音と共に矢が飛び、的へと吸い込まれる。
「おおーー」×十一人。
まあ、ぎりぎり的の外いっぱいに当たっただけなんだけどね。
「それなりに鍛錬してたのか?」
カミーラに訊かれた。
「じいちゃんの指導で小さい時に、結構覚えてるもんだね」
と、答える。七、八歳の頃じゃなかったかなあ。
ほぼ違和感はなし。充分楽しめるよ。
「了解。後は細かいとこを仕上げとく」
ミュウ、ご苦労様。有り難う。
「あたしもやりたいー」
ユリカがいそいそと台に上る。
そして構えて引き分け……られない?
六三日目 後半に続きます




