◆天地総一郎の手記(一)
拓也が殺されました。きっと、これは始まりに過ぎません。
こんな日が来るのではないかと覚悟はしておりました。
『地の底に沈め。罪人は地獄に落ちなければならない。』
『天国と地獄の処刑人より』
既に私達は地の底に沈んでいます。何処にも逃げることは叶いません。
手紙の差出人は■■でしょう。
■■とはまだ、この件について話せておりません。それに、私には■■を責める資格がありません。問い質す立場にもありません。
然し、■■が拓也まで殺めたならば、何故、今になって?
これが私達に下される罰であると云うなら、私は受け入れるつもりでおります。ですが先の手紙一つで、一方的にそれが開始されたことに戸惑いを覚えているのもまた事実です。唐突な展開ばかりを指して云っているのではありません。
私のことはよいのです。
然し、他の家族は赦して貰えないのでしょうか。
拓也は家族に加わって、まだ半年程でした。■■■■■■■■■命まで奪われる程の責任が、彼にあったのでしょうか。
私が躊躇しているうちに拓也が殺されてしまったことを、今、私は深く後悔しております。次に誰かが殺される前に、■■と話さなければなりません。そして私を罰するだけで赦して貰えるように乞うのです。
私には最早、恥も外聞もありません。ただ家族のことを想うのみです。他の家族には、決して一人で行動しないように云いました。■■に反抗している訳ではありません。
ただ話したいのです。心から詫びたいのです。
拓也にも本当に申し訳ないことをしました。可哀想な拓也。彼は何も悪くありませんでした。たった半年間、この家で暮らしたばかりに、これ程の罰を受けることになってしまうなんて不釣合です。彼もまた私を恨んでいる筈です。
嗚呼、まさか潔白である彼が、手紙のとおり本物の地獄に落ちた訳はないでしょう。
せめて天国に導かれたであろうことを祈ります。
そして、そうであるならば、私はこれから彼に面と向かって詫びることが出来そうにありません。罪人である私が死後に行く先は、きっと本物の地獄でしょうから。
拓也の遺体は、一先ず彼の部屋に運びました。土の下に埋まっている私達だと云うのに、遺体を土葬も出来ないというのは、何とも悪い冗談のようです。




