97. 2年生
ガンッ
ガンッ
ガンッ
ガガガガガキンッ
アルシアが色々な箇所や角度を攻撃をするも、
ストーンタートルに効いている様子はない。
「俺が...」
「駄目です!危ないから自分の事だけを考えていてください。」
ズズズズズズズッ
「うぉ!」
なんだこれ!?
地面が動いている。
ストーンタートルは自分の接している地面だけを
上に盛り上げた。
「今がチャンスです!全力で攻めましょう。」
ダンッ
そういい終わるやいなや、アルシアは柱のように高くなった地面の所までダッシュし、登り始める。
「待て!まだチャンスでもなんでもないぞ!」
まだコイツは攻撃すらしていない。
何が起こるか分からないんだ。
攻めたら死んでしまう。
ズズズズズッ
土の柱の上の方から柱の側面がトキントキンに変化していく。
「!?、アルシア!」
レオは魔力を一瞬で下半身に集中させ、地面を思い切り蹴ろうとする。
ズズズ
「!?」
レオの足が地面に沈んでいく。
どういう事だ!?
さっきまで硬い地面だったじゃないか。
ギギギギンッ
アルシアは柱のトゲを剣で正面から受け、地面に落ちていく。
「...」
アルシアが自分で攻撃を防いだ。
良かった。
だが、油断は出来ない。
魔物から離れている俺の所にも魔法を使えた。
絶対に、もっと凄い魔法を使えるだろう。
「ぐっ。」
レオは地面から抜け出そうとするが、一向に抜ける気配はない。
「アルシア!着地には気をつけろー!」
アルシアも随分と高い所まで登ったな。
ズドンッ
アルシアは受け身を取るわけでもなく、少しの段差から降りるかのように着地をした。
「レオ様!私は強くなったんです。これからは一緒に戦っていきましょう。...レオ様!?大丈夫ですか!?」
アルシアはレオを見つけ、急いで向かおうとする。
ドドドドドドッ
柱が一気に崩れ、アルシアの周りを囲うドームが出来た。
「!?」
なんだこれは!?
オークの時みたいじゃないか。
アルシアが危ない。
俺が助けなければ!
俺が!
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
レオは必死の形相で、もがき暴れる。
アルシアが死んでしまう。
アルシアが死んでしまう。
アルシアが...
「ォ゙ォォォォォー。」
ズズズズズズ
ストーンタートルはうるさくないが、妙に響く声を出しながらドームの中に沈むように入っていった。
俺の感が言っている。
これは人が死ぬ時の雰囲気だ。
感が働き始めている。
レオは変な汗をかきながら、とにかく必死にもがく。
ああ...
俺が氷魔法とか使えたらな。
遂にレオは鼻下まで沈んだ。
まずい。
息ができなくなる。
「ふ〜...はぁっ!」
レオは落ち着いて息を止めた。
俺には何ができる。
剣をぶん投げたらドームが壊れないかな。
やってみるか。
「くっ!」
駄目だ。
手がそこまで動かない。
何もできないのか。
レオは頭上まで沈んだ。
最後にアルシアの裸をもう一度見たかった。
...ん?
足先に硬いものを感じる。
石?木の根っこか?
落ち着け、これが最後のチャンスだ。
足に、いや下半身全体に、魔力を集中させるんだ。
身体強化もしっかり使う。
バキッ
ドンッ
「うっ!」
レオは地面の中から飛び出し、硬い地面にぶつかった。
「はあ、はぁ、はぁ、ごほっ!ごほっ!や、やった。」
出られた。
生き残れた。
よし、次はアルシアだ。
ドームはまだ壊れていない。
中でアルシアが戦っているのだろう。
アルシアが倒せていても死んでいてもドームを解除しているはずだからな。
ドンッ
レオはドームを殴ってみた。
硬いな。
中は暗くて何もわからないんじゃないか?
ドンッ
ドンッ
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!
レオは1点を集中して殴りまくる。
ピキピキピキッ
ドーム全体に亀裂が走る。
おっ!
いけるぞこれは。
スパッ
レオは剣で近くにあった木を斬った。
「ふんっ!」
ズンッ
レオは斬った木をドームの高めの位置に直線的に投げ、
ドームに刺さった。
まだ壊れないのか。
大した硬さだ。
ダンッ
レオは投げられた木よりも速い速度で、木が刺さったところまで飛ぶ。
いま助ける。
「アルシアー!!!」
ドンッ
バキバキバキバキッ
飛んだ勢いのまま木を蹴り飛ばし、ドームが壊れ、
木はストーンタートルに直撃した。
ドーム内に光が差し、傷だらけのアルシアが目を細めてレオを見る。
「レオ様!!」
「ォ゙ォォォォ!!」
ドドドドドッ
ストーンタートルは尖った石をレオとアルシアに
飛ばしつつ、ストーンタートルが触れている地面が高く盛り上がっていく。
タタタタタタタタッ
レオは石を避け、上にあがっていく柱に向かう。
ズズズズズズッ
柱から凄い速さでトゲが出てきて、レオの方向に伸びていく。
「おらぁぁぁぁぁぁ!!」
バキバキバキバキッ
レオはトゲごと柱を殴り、柱が一瞬にして崩壊する。
「ォォォォ!」
ストーンタートルは柱が壊れ、バランスを崩し、地面に落下する。
ダンッ
レオはストーンタートルの真下に行き、上に向かってジャンプする。
「おっしゃぁぁぁ!!」
グチャ
ストーンタートルの腹から背中の甲羅まで貫いた。
手が、手が痛い。
最後の最後まで硬くしやがって、この野郎。
ずっと痛かった。
着地した時には近くにボロボロのアルシアが来ていた。
「...レオ様、ありがとうございます。助かりました。」
「おう。」
「勝手に攻めてしまって、申し訳ありませんでした!」
「それより、アルシアは傷、大丈夫なのか?」
「はい、出血もそこまで酷くないです。」
「良かったよ。」
俺もアルシアも無事に終わった。
ドーム内でも深い傷はついていないみたいだから、
どうやら俺は、嫌な感が外れたらしい。
とても良いことだ。
やっと帰る事が出来るな。
もう動きたくない。
「あっ、そう言えば両目を取らなければ。」
目をギルドまで持って帰らないと、クエストを達成したことにならないからな。
当たり前だが忘れている人も中にはいるんじゃないだろうか。
レオは剣を取り出し、目ん玉を頭から切り離すため、
皮膚との境界線を狙って剣を刺した。
ガンッ
「なに!?」
コイツ...目まで硬いとは。
いい防具になりそうだな。
絶対ギルドの奴ら、防具にして売るだろ。
ギルドの闇は深そうだ。
いや、俺はいい人達だと信じているぞ。
「レオ様、私にやらせてください。」
「アルシアは休んでろ。」
「いえ、これだけでもやらせてほしいです。」
「じゃあ...」
レオはアルシアと位置を交代して、アルシアが剣を取り出した。
ボアッ
アルシアの持っている剣が、手元から剣先にかけて、
炎を纏っていく。
「すごっ!」
高級な剣の能力なのかアルシアの能力なのか分からんが、凄いことにかわりはない。
俺は絶対にできない芸当だしな。
「アルシアの力は凄いな。」
「いえ、これは剣の能力です。」
ザクッ
ジュー
アルシアは軽々と目ン玉を取り出し、魔物の目ン玉は
地面に転がり落ちた。
「もう1個もやっておきます。」
「ああ、ありがとう。」
「はい!」
アルシアはご機嫌になり、もう一つの目ン玉のある方へ移動した。
「よいしょ。...重いな。」
レオは巨大な目ン玉を抱え、凝視する。
なんか...魔物が寄ってきそうな代物だな。
早くに帰ったほうがいいのかも知れない。
もう夜だしな。




