91. 感謝
遂に、遂に出来た。
俺流拳も組み込んだ、完璧な技術。
これでステラ先生をボコボコに出来る。
先生だからって上から目線で話しやがって、今に見てろよ。
「自由戦だ。やれ〜。」
F組と混合のようだ。
D組が、A組とやる時よりも怯えている。
対するF組の生徒達はニヤニヤしている。
これは、ボコボコにされるな。
俺がステラ先生をボコボコにするようにね。
「グヘヘヘへへ、デュフ、デュフ。」
F組の生徒は俺と戦おうとしない。
俺に怯えた顔を見せているわけではないが、意識して遠ざけているのを感じる。
俺はF組にも嫌われてしまったようだ。
なんてことだ。
「レオ、今日も1人か。」
「俺とやろうぜ。」
「お?自信満々だな。私は嬉しいよ。」
レオと先生は戦闘態勢に入り、相手をよく見た。
相手をよく見るんだ。
そして、最終的な動きを予測する。
これが戦闘で始めにすることだ。
もし予想が当たっていて、完璧に対応できたら戦闘は終わる。
身体強化魔法をしていた特に。
だが、予想していた動きに完璧な対応をするよう動こうとしたら、予想外の動きをしてきたときに痛い
しっぺ返しが来る。
だから、普通は微妙な対応が全ての動きに対して出来るようにしている。
だが、今回の俺は一味違う。
予想外の動きをされた時でも対応が出来てしまう。
それが、俺流拳を取り入れた完璧な技術だ。
究極混合技術だな。
つまり、俺が今一番しなければいけないのは相手の動きを予想することだ。
相手を見ることだ。
じー
先生...胸、あるな。
ダンッ
「!?」
ガキンッ
先生がレオの隙をついて一気に詰め寄り、剣を腰めがけて振る。
それを、レオはなんとか防ぐ。
油断していた。
危ない危ない。
だが、これでも対応出来てしまうのが究極混合技術。
負けたら恥ずかしいくらいだ。
「まだまだー!!」
先生は体を回転させ、レオに蹴りを入れようとしたが、
レオが先生の蹴った足に蹴りを入れ、先生の蹴りは
逸れた。
ドンッ
今度はレオが回転し、先生に蹴りを入れた。
ガキンッ
ドンッ
「ぐはっ!」
先生は剣を振ってレオの足に当てようとしたが、剣で防がれ、さらに蹴りを入れられた。
ダンッ
ガキンッ!
レオは流れで思いっきり先生に突っ込み、防御のできないような体勢で、攻撃した。
「おりゃぁぁ!」
先生はギリギリでレオの剣を防ぎ、後ろに飛ばされた。
ダンッ
トン
先生は着地と同時に斬ろうとして来るレオに気づき、
体をひねって着地し、またジャンプした。
レオはそれと一緒にジャンプし、先生の首に剣を当てた。
「え?」
「負けですよ。」
ステラ先生は困惑した表情で着地し、レオをじっと見つめた。
勝った...
これが、究極混合技術。
だが、実は俺流拳とそんなに強さは変わらない感じがするんだよな。
なんなら俺流拳だけの方が強いかも知れない。
ただ、俺流拳は身体強化魔法ありきだから、身体強化が使えないのなら、これが一番だな。
「私は疲れもせずに負けてしまったのか。」
「すぐに終わりましたね。」
レオはニヤリと笑う。
「やめろ!急に敬語を使うな!気持ち悪い。」
「デュフ、デュフ。」
「きも...」
今、ボソッとなんか言ったよな。
本気で嫌がられてないか?
どうしよう...先生に嫌われたら、自由戦で何もできなくなってしまう。
「いや〜、今回はたまたま勝てましたね。」
「いいや、そんなことはない。自分を誇りなさい。」
「...」
なんだコイツ、急にいいこと言いやがって。
まさか、俺を惚れさせようとしているのか?
なんという奴だ。
その後、3戦したが全てレオが勝った。
全て俺が勝ったのに、全然悔しそうじゃなかったな。
先生が強く見えてしまった。
なんか、俺の方が負けた気分だな。
いや、そんな事はない。
ちゃんと嬉しい。
次はアルシアとかヘレナを倒さないとな。
あれ!?
アルシアがいる。
最近見かけなかったから、めっちゃ心配だった。
先生にも言おうと思ったが、ヘレナがアルシアの邪魔になるからと止められていた。
見た感じ、アルシアは大丈夫そうだな。
良かった。
「アルシア、何をしていたんだ?」
「!?レオ様!」
なんだその反応は。
心配になってきたな。
「詳細は言えませんが、レオ様は退学にはなりません!」
「アルシアは?」
「私は何もありませんでした。王族の権利というのは私が思っている以上に強かったみたいです。」
「本当か?」
「マジです。」
無理に明るくしている様子をない。
凄く自然に感じる。
と言うことは、一旦大丈夫だと思っておこう。
そしてありがとう。
アルシアに救われてしまった。
「アルシア、ありがとう。」
「はい、良かったです!」
王族の力と言うのは怖いものだ。
でも、全ての王族が出来ることではないのだろう。
アルシアが優秀だったから成せたことだと思う。
やっぱり、王様になったほうがいいのではないだろうか。
冒険者なんかよりも絶対に難しいはずだし、アルシアにはその才能がありそうだ。
「アルシアは冒険者がいいのか?」
「はい!もちろんです!」
これは、俺のせいなんだろうか。
仲間が死ぬのは怖いことだと教えてやりたい。
でも、口では伝わらないよな。
実際に体験しないと、分からないことだと思う。
俺は家に帰り、リリを観察していた。
リリも日々成長している。
それは、心身ともにだ。
つまり、体も成長している。
リリをちょっとアレンジしたら、それはもう大人の
女性だ。
リリを観察すれば、俺は大人の女性を正確に描けるようになるということだ。
直接的なえっちな絵は描けないが、見る人が見たら分かるような絵であれば、日常の観察だけで事足りる。
「リリ、やったーって言って。」
「やったー。」
可愛い。
この命令は奴隷のような扱いとは違うよな?
これは命令じゃないと信じている。
毎回、そういう事を思ってしまう。
奴隷を家族のように扱ったら、それは奴隷のように
扱う事と、似ていると思うんだ。
俺は家族とか友人に、命令のような口調でお願いをしてしまう時がある。
それは奴隷にやったら、ほぼ奴隷の扱いと分からないように見える。
これはリリがどう思っているかによって変わってくる。
リリは俺を家族と思っているだろうか。
「リリは成長が早いな。だが、俺の身長だけは越さないでくれよ?」
「大丈夫です。」
「...リリ、えっへんって言って。腰に手を当てて。」
「えっへん。」
可愛い。




