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90. 知識不足


レオは図書館で勇者についての本を手にかけた。


よしっ、読もう。

魔族語の本は飽きた。

久しぶりの全然違う本だ。

胸の高鳴りが止まらないぜ。

誰か、誰か俺を止めてくれ。


「あっ、レオ。ちょっと来い。」


「ん?」


目の前にはステラ先生がいた。


なんで止めるんだ。

今から読もうとしているじゃないか。


「...来なさい。」


「はい。」


なんでステラ先生が図書館にいるんだよ。

まるで俺を探しに来たみたいじゃないか。


先生の後をついて行き、空き教室に入った。


本当に何をするつもりだ?

まさか、魔術の授業に出なすぎて退学だと言いに来たのか!?

怖くなってきたな。


「まあ座れ。」


「...」


レオは適当に近い席についた。


「では、これから口頭テストを始める。

レオは教室に来ないからな。探したぞ。」


「口頭テスト?」


「ああ、私がいくつか質問するから、それに答えればいいだけだ。他の生徒はもう受けたぞ。」


「はあ、」


つまり俺の知識レベルを測るってわけだ。

俺の戦闘についての理論は完璧に近いと言ってもいい。 

俺の身体がもっと自由に動けるなら、誰にも負けないと思う。


「お願いする。」


「よし、では始める。」


どんと来い。


「火属性魔法の基本魔法、ファイアーボールはどのような魔力操作をしたら発生する?」


「え?」


火属性魔法だと、そんなの知るわけないじゃないか。

はめたな先生。

剣術の先生のくせに、俺に魔術について問いてきやがって。


「...手のひらに、集める。」


「え、次だ。」


絶対違うじゃねえか。

露骨な反応しやがって。

俺を煽っているのか?


「水属性魔法で氷を発生させるには、どうすればいい?」


「どうもこうもない。才能だ。」


「...次だ。」


これも不正解か。

才能じゃないのかよ。

俺は才能だと思うね。

だって俺は魔術全般を全然使えないわけだし。


「魔物との戦闘で気をつけることは?」


「そんなの決まっているだろ。周りの環境だ。

予想外の状況を陥ることもあるからな。

そして、圧倒的なやる気だ。」


「おめでとう、不正解だ。次へ行く。」


違うのか!?

俺、経験者なんだけど。

違うのか...

なんだったんだろう。


「対人戦で大切なことは?」


もういい、どうせ不正解なんだ。

早いとこ終わらせてしまいたい。

こんなのは俺も先生も幸せにならない。


「うんち。」


「...対人せ」


「うんち。」


「......」


とても変な空気が漂っている。

2人しかいないのに、変な空気になるもんだな。


「口頭テストを終わる。」


「ありがとうございました。」


レオは軽く礼をした。


いや〜、終わった。

やっと読める。

早く図書館に行かなければ。


「あっ、レオさん。ちょっといいですか?」


ヘレナが話しかけてきた。


「なんだ?」


ヘレナから話しかけるなんて初めてだな。

部活で卑猥なことをしているからセルロス共々退部になるのではないだろうか。

俺が退部になるのは嫌な気分になるが、セルロスが退部になるのなら、甘んじて受け入れよう。


ヘレナは周りを見る。

周りにはパラパラと人がいた。


「ここではなんですし、生徒会室に来てくださる?」


「ああ...」


一体なんなんだ?

コイツは考えていることが分からない。

他の人の考えてることも分からないけど。

ただヘレナは、俺が頑張って推理しても当たる気がしないな。

完璧なオーラが漂ってきてムカつく。

まるで姿で自慢しているみたいだ。

口に出すよりムカつくな。


レオとヘレナは生徒会室に入った。

室内には、ヘレナの側近2人がいた。


そういえば、話しかけられた時は1人だったな。

珍しい事もあるもんだ。

いつも側近といなきゃいけないと思っていた。

アルシアは逃げてるからな。


「レオさん、あなたはもしかすると退学になるかも知れません。」


「え?」


「あなたは魔術の授業に参加してないそうじゃないですか。それが主な原因で退学の話が進んでいます。」


「マジかよ...」


主な原因って...まるで他にも原因があるみたいじゃないか。

魔術の授業を休む以外に悪いことなんてした覚えないぞ。


しかしどうすればいいんだ。

魔術の授業を受ければいいのだろうか。

俺、魔術使えないんだけど。


ギィ


「ちょっと待って、今の話は本当なの?」


見ると、アルシアが扉を開けていた。

何か用事があったのだろう。


「あら、アルシアさん。ご機嫌よう。」


「そんな事どうでもいいわ。レオ様が退学するって聞こえたわ。」


「レオさん、この話をアルシアさんにもしていいですか?」


「ああ。」


聞かれて困ることではない。

もうすでに困っている。

でも学校でする事がもうほとんど残されていないような気がするな。

いや、絵画部がある。

あとは読書か。

この2つはデカい。


ヘレナはアルシアに俺の事情を話した。

そして、なんか俺に話した時より長く話していた。

おかしくね?

俺と話した時と比べて、ヘレナが出している情報量が違うぞ。


ヘレナは、成績が悪いのが原因の一つでもあると言っていた。

俺の顔色を気にしながら。


俺は、成績が悪かったのか。

魔術の授業に出席していないからか?

剣術の方に問題があるのなら、とても悲しいことだ。

俺は強いはずなのに、強くなったはずなのに成績が

低いなんておかしい。


全てを聞いたアルシアは逞しい顔をしていた。


「分かったわ。私に任せて。」


「な、なに!?それは本当かアルシア!」


実は、少し期待していた。

アルシアならなんとかしてくれるんじゃないかと思っていた。


「はい...どうなるか分かりませんが、やってみます。」


「アルシアさん、いいのですか?そんな事をされたら、 

アルシアさんの立場を少し危なくなりますよ?」


「え?」


「そんなの全然大丈夫だわ。」


アルシアの立場が危なくなるの?

そんな問題だったのか...

なんとなく期待していた自分が恥ずかしい。

危ないのなら、アルシアに何かをさせるものじゃない。 


「アルシア、やめとけ。」


「やめません。」


「俺は大丈夫だ。」


「大丈夫じゃありません。」


「「......」」


譲る気はないようだ。

しかし、どうしたものか。


「大丈夫ですよ、レオ様。危ないと言っても、少しだけですから。王族の力は凄まじいのです。」


「本当か?」


「はい!では、任せてください!」


ギィ


アルシアは、颯爽と退場した。


アルシアは笑顔を作っていたが、ヘレナはとても心配そうな顔をしている。

少しだけ危ないと言うのは、本当なのだろうか。

信用できないな。


「こうなったら、歯止めは効かないでしょう。

レオさんは期待して待つことしか出来ないと思います。 

目茶苦茶な事はしないと思うので、大丈夫だと思います。」


「そうか...」


それが本当なのかも分からん。


「用事は済みました。帰ってもらって結構ですよ?」


「ああ。」


ギィ


色々と思いながらも、解決してくれる事を願ってしまっている。

本当に俺という人間は酷い奴だな。

アルシアになにもなければいいのだが。


レオは下を見ながら絵画部の所へ来た。


「...アルシアは?」


「ん?来てないぞ?」


セルロスが眉をひそめて答える。


どこにいるのかも分からん。

一旦置いておこう。

アルシアのいる場所すら分からないんだ。

悩んでいても、いい事はない。

絵を描こう。


レオはセルロスの描いている絵を見た。


「レオ、これは凄いだろ。」


「なんだ?この服。」


肩を出している女の人の絵だ。

これでは防御力が皆無と言ってもいいだろう。


「おしゃれって奴さ。」


「おしゃれ...」


「レオ、気づかないのか?」


「なにがだ?」


セルロスは少し驚いた反応をした後、周りを警戒しながらレオに耳打ちをした。


「これ、ブラジャーを着けてないんだ。」


「あっ...」


言われてみればそうだ。

確かに、ブラジャーを着けてない。

隠れえっちな絵だ。


「凄いな。」


「だろ!」


セルロスは急に元気になった。


でも肩の骨格がゴツい。

男って感じだ。

やはり、実際の女の人をよく観察する必要があるようだ。




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