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85. いじめ


「自由戦だ。始めろ。」


遂に、遂に完成した。

完璧な混合剣術。

今までは不完全だったが、遂に完全体になったのだ。


俺はもう、誰にも負けない。

負けを知らない男になったんだ。


「先生、俺とやろう。」


「ああ、望む所だ。」


俺は華麗に剣を構える。


「いくぞ。」


タタタタタタタタッ


先生の方へジグザグに進む。


ダッ


隙だらけだぜ、先生。


「わちゃぁぁぁぁあ!」


キィィ


トン


「「......」」


先生は見事に受け流し、レオの首に剣を当てた。


キンッ


レオは先生の剣を弾いた。


「まだまだ!」


タタタタタタタッ


レオは後ろに下がり、先生の周りを走り始めた。


ダッ


「わとぉぉぉぉお!」


キィィ


トン


レオは剣を振るが、見事に受け流され、首に剣を当てられた。


「「......」」


「お前は何をしているんだ。」


「...」


「今までは凄い良かったじゃないか。」


「...」


「何があったんだ。私はいつでも話を聞くぞ。」


「...」


キンッ


首に当てれた剣を弾いた。


「まだまだ!」


「...」


その後、ボコボコに負け続けた。


くそっ!完成したと思ったのに。

剣術というのは難しいものだ。

状況判断を全て間違えてしまった。


これでは完成していても意味がない。

もっと判断を正確にしなければ。


最後の方は先生が泣きそうな目になっていた。

あんな顔した先生を、もう見たくはない。

少し、可愛かったけど。

駄目だ...思春期のせいで全員が可愛く見えてしまう。

本当に思春期のせいだよな?

思春期が過ぎても、こうじゃないよな?

心配でならない。


まあいい。絵画部の所へ行こう。

そしたら全ての悩みがなくなるはずだ。

なんてったって、そこには友人がたくさんいるからな。 


たまには外で絵を描いてもいいかも知れない。

部長に提案してみようか。

外で描いたら、部屋の中では描けないようなものが

描けるに違いない。


「おい。取ってきたか?」


壁のない、廊下を歩いていたレオは足を止める。


遠くから声がする。

これは、外からの声だ。

どこだ?偉く怖い雰囲気を感じた。


いた。見えにくい所に人がいる。

耳に魔力を集中させよう。


「取ってきました。取ってきましたから、もういい

でしょ?」


「なんだ、その言い方。馬鹿にしてるよなー!!」


ドンッ


怒鳴った男は、相手を蹴った。


ドンドンドンドンッ


「痛い、痛いよ、止めてくれ。止めてください!」


「うるさい、騒ぐんじゃねえ。」


蹴られていた男は持っていた剣を渡した。


「それでいいんだよ。」


男は乱暴に剣を取り、蹴るのをやめた。


俺、助けた方がいいのかな。

でも、助けても一時的な解決しか出来る自信ないぞ。

そんなの意味ないよな。

なんなら、前より激しくなるかも知れない。

どうしよう、迷うな。


「お前!やめるんだ!」


赤髪の男が叫んで男に近づいた。


「お前、特別生の...」


蹴っていた男が驚いた顔をしている。


赤髪?魔人か?


「人をいじめて楽しいか!」


「止めてください!あの人の親は偉い人で、僕たちの生活が...」


蹴られていた男が赤髪の男を止める。


「大丈夫だ。お前、親を盾にして、好き勝手するな!」 


「お前...大貴族の...お前、」


「親を利用するんじゃない!」


ドンッ


「ぐはっ!」


赤髪の人がいじめていた男をぶん殴る。


ドンッ

ドンッ

ドンッ

ドンッ


「止めてくれ!止めてくれよ!」


「いじめは駄目なんだ!」


ドンッ

ドンッ

ドンッ


「止めてください!止めてください!」


いじめていた男は許しを請う。


「止めてください。本当に止めてください!」


蹴られていた男もお願いする。


う〜ん、この赤髪の人の親も偉いんだよな。

だったら、コイツも親を盾にしてないか?

それで好きなだけ殴って、好き勝手にしているぞ。

いじめてた男と同じように思ってしまう。

殴りたければ冒険者になって、魔物と戦えばいいのに。 

あと、いじめてた男も剣が欲しいなら買えばいいのに。 

貴族なのに買えなかったのか?

事情が分からないから、なんとも言えないな。


そうだ、事情が分からないのにあの魔人、適当に介入しちゃって大丈夫なのだろうか。

いじめられていた男の人の今後は、どうなってしまうのだろうか。


まあ、死ぬよりはマシだろ。

俺は死ぬ方がツライと思う。

目の前で死なれるのもキツイな。


絵画部へ向かった。


「...なあ、この学校に魔人の生徒はどれぐらいいるんだ?」


レオは、セルロスの方を見て質問する。


「少ないぞ?かなり少ない。」


セルロスは真顔で答える。


「それはなぜだか分かるか?」


「...?」


「それは冷戦が起きているからだ。魔族 対 人族のな。 

魔族は人族に嫌われているんだ。そして、人族も魔族に嫌われている。だから、この怒りの沸点を超えた時、 

世界大戦が再び起きるんだ!」


「いや、普通に人族語が分からないから少ないんじゃないか?」


「...」


「私もレオ様と同じく、そう思います。」


「...」


「私もよ。」


「私もです。」


「私もです。」


「...」


部長以外の女性全員が、俺の意見を支持した。

セルロスはだんまりを決め込んでいる。


「...確かに、それもあるだろう。」


おっ!セルロスが少しだけ認めてくれた。

気持ちがいい。

これが、王様の気持ちか。


言語が分からないのなら、その場所に行きたくはないよな。

さっきの赤髪の人は人族語を話せていた。

分からない人は間大陸に来ないだろう。


俺達も魔族語を理解してない状態で、間大陸から出ることはないだろう。

行くとしても空大陸ぐらいだ。


「なあ、サクナ。この学校にもいじめはあるんだな。」


「もちろんよ。どこにでもあるわ。上下関係のある

世界ならどこでもね。」


俺が魔物を殺すのもいじめなのだろうか。

一瞬で殺せたらいじめじゃないはずだ。

魔物が苦しくなければ、損をする奴はいない。

まず、魔物に苦しいとかあるのだろうか。

よく分からないが、苦しそうな魔物もいた気がする。


それはいじめだろう。

そしてそれは良くないのか。

良くは...ないよな。


まず良いことってなんだ?

完全に良い行いなんて、存在しないだろう。

絶対に、誰かにとっては悪いことなんだ。

ということは、完全に悪い行いも存在しないだろう。


じゃあ、なんでもよくね?

結局、誰かにとっては悪い事だし、いい事なんだ。

何をしても肯定されるし、否定される。

あれ?なんでも良くなっちゃった。


「セルロスは、いじめを許すか?」


「絶対に許さない。いじめは良くないことだからな。」


「なんで、良くないことなんだ?」


「なんでって...良くないだろ。」


「私は、傷つく人がいるから駄目だと思います。」


アルシアが話した。


「魔物はいいのか?」


「...?いいと思います。」


「僕も魔物はいいと思うよ。」


「え?なんでだ?」


「魔物ですから。」


「ああ、魔物だしな。」 


「...」


そういうもんなのか。

まあ、魔物は人を殺そうとしてくるしな。








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