84. もう少し
「おい、レオ。それは一線流だぞ。」
「おす。」
風流と一線流の混合は上手くいっている。
これは結構使えるんじゃないだろうか。
まあ、本当は型なんていらないんだけど。
混合にさせたら、まずは状況判断が難しくなってくる。
どのタイミングでどっちを使うのか。
それを体に覚えさせる必要がある。
これが一番難しいと思っている。
ただ、使いこなしたら一番強い剣術になると思うから
ワクワクしている。
「自由戦だ。今日はD組だけだ。成長を感じてくれ。」
いよいよ、その時が来たようだ。
俺の混合剣術が火を吹くぜ。
「あの...」
タタタタタタタッ
「おい...」
タタタタタタタッ
駄目だ。
誰も俺と戦ってくれない。
俺から話しかけても逃げていく。
なんて無慈悲なクラスなんだ。
俺は地面に寝転がった。
寝たふりをしよう。
俺は寝ているから誰も誘ってこなかったんだ。
俺は寝ているからしょうがないんだ。
「...なにをしている。」
ステラ先生が話しかけた。
だが俺は無視だ。
なぜなら俺は寝ているからだ。
「おい、私と対戦するぞ。」
「え?はぁ〜あ。」
俺はあくびをしながら背伸びをした。
なぜなら俺はさっきまで寝ていたのだから。
「かかってこい。」
ダッ
攻める。
ガキンッ
「おりゃぁ!!」
ガンッ
先生は無理やり受け流した。
ヒュッ
先生が隙をついて剣を振る。
キィィ
俺は受け流し、再度攻める。
ガキンッ
「おっしゃぁぁ!!!」
ガンッ
先生は後ろに少し飛ばされた。
ダンッ
レオは先生が飛ばされた瞬間に踏み込んで剣で突く。
ギィ
先生は、なんとか受け流し、剣で突く。
ドンッ
レオは思いっきりかがみ、下から先生の剣を蹴る。
そして、蹴った体勢のまま体をひねり、剣を先生の
横腹めがけ振る。
ダンッ
先生はバク宙をして避け、剣先をレオに向けたまま、剣を投げる。
「うおっ!」
カキンッ
レオはなんとか弾くが、その後に先生が投げた砂が
目の前に現れる。
レオは目をつぶり、剣を構えて防御の姿勢になる。
ヒュッ
先生は剣を拾い、素早く剣を振る。
ガギギギギキキキンッ
先生が攻め、レオは防ぐ。
「くっ。」
この状況を変えなければ。
次で大きく弾く。弾くぞ〜。
ここだ!
ガキンッ
先生が剣で思いっきり弾かれ、少しのけぞる。
「おりゃぁぁぁ!!」
レオは一線流の動きで、思いっきり斬りかかる。
キィッ
トンッ
先生は見事に受け流し、首に剣を当てる。
「はぁ、はぁ、私の勝ちだ。」
「はぁ、はぁ、はぁ、」
負けた。
でも、いい線はいったんじゃないか?
身体強化を使わないと、すぐ疲れるな。
やはり身体強化魔法は偉大だ。
崇めなければ。聖神フローラ様のように。
みんな大好き、絵画部の時間。
俺はもう先生並みの剣の腕前があるんだ。
つまり、ほぼ先生という事だ。
超級剣術使いなんだ。
「いや〜、強くなったな〜、俺。」
もう剣術だけでA組の奴らをボコボコに出来ると思う。
俺は拳でも剣でも強いというわけだ。
もう、俺に勝る者はいない。
「この学校は駄目だな。もっと強い先生はいないのか?このまま行くと、すぐに越してしまうよ。」
「いきなりどうしたんだ?レオ。」
セルロスが絵を描きながら喋る。
「この学校は本当に人族一凄いのか?」
「当たり前じゃない。こんなに紙を使う学校なんて、
この世界にはないと思うわ。凄い貴族の学校なのよ。
ここの生徒ってだけで、みんなは貴族なのよ。」
サクナが答えた。
そうなのか。紙ってそんなに高価な物だったのか。
知らなかった。
「おいレオ、見てくれ。」
セルロスがレオを見て話しかける。
どうやら、絵が完成したようだ。
「おお!素晴らしいな。」
いつも通りのえっちな絵を描いていた。
今回は表情が凄い。
これが、上目遣いという奴なのだろう。
「今回は貧乳にしてみた。」
俺達は女の人に聞こえないよう、小声で話した。
貧乳で上目遣いだからか、自然に上目遣いを受け入れてしまった。
貧乳は下の存在という無意識の偏見を肯定してくれているのだろう。
つまり、この作品は素晴らしいという事だ。
だが、女の人に見られてはいけない。
「セルロス、隠すか?壊すか?」
「う〜ん、どうしようかな。」
いい出来だからな。
悩むのは当然だ。
「ん?何か用?」
サクナが俺達の後ろを見ている。
振り返ってみると、アルシアがいた。
「「うああっ!」」
「あははっ、驚きすぎ。」
俺達は手で必死に絵を隠す。
だが、多分もう見られているだろう。
「そ、そうだアルシア。そんな感じでタメ口を使ってくれ。」
「え?あっ、すみません!つい敬語を忘れてしまいました。」
「だからタメ口でいいんだって。」
「それより、なんの用で来たの?」
サクナが真顔で話す。
俺とセルロスはニヤニヤとしている。
「私も絵画部に入れてくれ。」
「私もです。」
「おっ!」
びっくりした。
近くにアルシアの側近の人もいた。
アルシアを視線を意識するあまり、見えていなかった。
「え?いいんですか!?」
部長がアルシアと側近の所に気持ち悪い速度で近づいた。
「え、ええ。」
「ようこそ!絵画部へ〜なんちゃって、はははは。」
部長は笑いながら元の場所に戻った。
「じゃあ、生徒会長に伝えてくるわ。」
「「え?」」
アルシアの発言に俺とセルロスが顔を見合わせる。
生徒会長に伝えなきゃいけないの?
だったら、俺達...まだ部員じゃないじゃないか。
「もう終わりの時間だし、俺達もついて行くよ。」
おお、セルロス!いい言い訳だ。
「レオ様もついてきてくださるのですか?」
「もちろんだ。」
俺達は生徒会室に向かった。
コンコンコン
「アルシア・クイーン。」
「入れ。」
ギィ
側近の男の声が聞こえ、俺達は生徒会室へ入る。
「貴様ら!」
「やめなさい、レド。」
ヘレナが側近を止めた。
「なんの用ですか?4人で来て。」
「絵画部に入部するわ。」
「そうですか。分かりました。みんな入部するという事でいいのでしょうか?」
「ああ。」
セルロスが答える。
俺は何食わぬ顔でヘレナを見る。
「分かりました。伝えてくれてありがとうございます。
伝えてくれない人もいますからね。少数ですけど。
それよりいいのですか?アルシアさん。
絵画部でぬくぬくと過ごして。
そんな事では、なんの支持を集まりませんよ?」
ヘレナが微笑みながら話す。
「別にいいわ。関係ないもの。それより生徒会長さん。
あなた、たるんでるんじゃないの?
この学校、な~んにも変わってないわ。
あなたが生徒会長になった意味ってあるの?」
アルシアも微笑みながら話す。
お前達...対決してないんじゃないの?
バチバチなんだけど。
側近同士で睨み合っているんだけど。
ヘレナの側近は2人で、アルシアの側近は1人だけ
だから、アルシアの側近は顔をずっと動かして、
頑張って2人に睨みをきかせてるんだけど。
知り合いなのか、お互い。
「では、もうここに用はないので。行きましょう、
レオ様。」
「お、おう。」
「あら?もっといても良かったのに。」
「結構だわ。」
ギィ
セルロスがビビり散らかしている。
こんなんで怖がっていたら魔物には勝てないぞ。
俺はそのまま、家に帰った。
ギィ
「おかえりなさいませ、レオ様。」
「おう。」
アルシアが美しいなら、リリは可愛いな。
疲れがなくなっていく。
別にそこまで疲れてないけど。




