81. 休日
「美味い。」
「ありがとうございます。」
今日は学校がない。
クエストを受けようと思っていたが、今日はリリに
ついて行きたい。
買い出しに行くと言っているんだ。
俺は家事とかやったことないからな。
多少の知識を入れなければ。
リリにはいつかメイドを辞めさせるつもりでいる。
そうなった時に、自分でなんでも出来るようになっておきたい。
いつまでもリリに頼るわけにはいかないんだ。
「リリ、買い出しは俺と一緒に行こう。」
「え...分かりました。」
今、嫌そうな反応したよな。
もしかして、食材のためのお金を別の目的で使っているのだろうか。
別にいいんだけど。
そういう時は俺に言って欲しいな。
「では、さっそく行きましょう。」
「おお。」
朝食を食べたばかりだと言うのに、やるな。
すぐに買い出しを終えて、午後は自分の時間を作っているのか。
いい時間の使い方だ。
俺はダラダラするのが好きだから、こうはいかないだろう。
リリと俺は商店街に向かう。
リリは大きな布を持っている。
そこに食材を包むのだろう。
あっ、そうか。
商店街までの道のりが長いから早くに出かけるのか。
そういえば、かなり遠かった。
俺はいつも走っているから意識してなかったな。
「...レオ様、走ってもよろしいでしょうか。」
「え?いいぞ?」
ダッ
リリは結構速い速度で走り出した。
まあまあ速いぞ。
リリの奴、ちゃんと身体強化魔法を使いこなしているのか。
この速度なら買い出しとかすぐに終わるだろ。
朝早くに行く必要ないんじゃないか?
今日は何か用事があるのかも知れないな。
リリとゆっくり過ごしたかった。
商店街に近くなったら、また歩き出した。
人が多くいるからな。
商店街に着いた。
あれ?
意外と人が少ないな。
まだ朝早いからか?
それでもルベリア王国だからか、賑わってはいる。
ルベリア王国にしては人が少ないと言うことだ。
「あっ!リリちゃん!今日は新鮮な野菜が取れたよ。」
「本当?」
「え...。」
リリが、タメ口を使っている。
俺には使ってくれないのに。
一体どういうことなんだ。
リリが俺の知らない野菜を手に取り、よく見る。
「う〜ん、いい感じね。」
「値段も安くしちゃうよ!」
「いくら?」
「なんと、1つ鉄貨3枚だ!」
「...鉄貨1枚に出来る?」
「え?いやいや、鉄貨3枚だよ。」
「1枚。」
「...じゃあ、鉄貨2枚だ。これ以上は駄目だ。」
「2つ貰うわ。」
「まいど!」
「...。」
リリの奴、鉄貨ですら安くしようとするのかよ。
どんだけ自分のお金にしたいんだ。
そんなに高い物を買いたいのだろうか。
結構、給料はあげているはずなんだが。
足りないんだ。
リリは買った野菜を布に入れた。
「リリ、俺が持つよ。」
「いえ、仕事ですので。」
「そうか。」
持つのに...
リリはスタスタと歩き、肉を売っている店に来た。
鳥みたいな生物がいる。
コイツら元気に生きてるぞ。
「おっ、リリちゃん!見てってくれ!いい肉があるよ!」
リリは色々な鳥をじっと見る。
めっちゃ真剣に見ているな。
真面目なやつだ。
俺には違いとか分からない。
というか、羽毛がついてるから何を見ればいいのか分からない。
リリには分かるのだろう。
凄いことだ。
「この肉をください。」
「あいよ。」
ドンッ
店の人はリリが指さした鳥をぶっ叩いた。
叩かれた鳥は気絶したのか、死んだのか、倒れて動かなくなった。
なるほど、鮮度のために生きたままにしておくのか。
確かに殺さないほうが鮮度がいい。
思いつかなかったな。
だったら野菜も成長途中のものを売ったほうがいいんじゃないのか?
シュッ
店の人は小さい剣で、倒れた鳥の首あたりを斬り、鳥は血を出した。
とどめを刺したのか?
初めから斬れば良かったんじゃ...
鳥を逆さにして吊るした。
血がどばどば出ている。
「リリ、長いな。」
「はい。この鳥は血の量が凄いんです。」
リリ、俺にもタメ口を使ってくれ。
仲を深めたい。
店の人は水を持ってきて、火属性魔法で水を温めている。
急にお風呂に入りたくなったのだろうか。
この場で全裸になるんじゃないぞ?
リリにはまだ早い。
ん?
早いんだったら、変なことを思わないから別にいいのか。
だったら、ちゃんとそういう事を覚えた時のほうが
見てはいけないのではないだろうか。
よく分からなくなってきたな。
ジャバンッ
鳥から血が出なくなると、鳥をお湯に投げ込んだ。
わざわざ投げなくてもいいんじゃないか?
手慣れていると、そうな感じになるのだろう。
ブチブチブチブチッ
お湯から出し、羽毛をちぎり始めた。
肉屋の人も大変だな。
毎回こんな事をしているのか。
羽毛をちぎり終わると、肉の部分を斬り、リリに見せた。
「これでいいか?」
「うん。」
リリが布から、ちょうど肉を包めそうな布を取り出し、
肉を包んだ。
「お願い。」
リリがそう言って、布に包んだ肉を置いた。
店の人が肉の方向に手を向けた。
「フリーズ。」
カチカチカチッ
凍った!
やっぱ魔法はいいな〜。
で、何してんだ?
おそらく、鮮度に関わるんだろう。
めっちゃこだわるな。
「はい、銅貨1枚と鉄貨5枚ね。」
「銅貨1枚だけ。」
「またかい、リリちゃん。銅貨1枚に鉄貨2枚にしてあげるから。許してくれ。」
「まあ、いいわ。」
よく来る店なんだな。
奴隷じゃなくなった時には、俺にもタメ口を使ってくれるだろうか。
その後も、よく分からない調味料を買って、買い出しは終わった。
帰りも走った。
時間にせっかちなようだ。
「レオ様、昼食を作りますね。」
「ああ、頼む。」
リリは調理を始めた。
隣には俺が立って見ている。
「......レオ様、休んでいてください。」
「俺もやる。」
「いえ、仕事ですので。」
「俺も...やる。」
「レオ様は学校へ行って疲れています。休んでいてください。」
なんでやらせてくれないんだ。
ガッツリとパンツを見てやるぞ。
俺は少しムカつきながら寝転がり、ほぼリリの足の下に頭を移動させた。
目茶苦茶パンツが見える。
リリは嫌じゃないのか?
もしかして、ずっと前から気づいていたと言うのか。
そうだったら、恥ずかしい。
俺はリリから離れた。
「出来ました。」
「美味い。」
「まだ食べてないじゃないですか。」
「リリは夢とかないのか?」
「...ないです。」
「...」
絶対あるじゃねえか。
凄い間を感じたぞ。
「学校に行きたいとか?」
「行きたくありません。」
「冒険者になりたいとか?」
「なりたくありません。」
「男になりたいとか?」
「なりたくありません。」
なるほど、現状維持が夢ってことか。
でも、いつかは自分で生活してほしい。
友人も2人はいてほしいな。
1人でも悪くないんだけど、何があるか分からない。
学校に行けば、色々と解決すると思う。
学校に行かせようかな。
俺達は昼食を食べ終わり、リリが掃除を始めたので、俺も一緒に掃除をした。
初めはリリも拒否したが、しつこく掃除をしたいと
言ったら、ほうきをくれた。
どこから取ってきたのだろう。
掃除の後半は俺が楽しくなってしまって、リリと遊んでいた。
もう掃除はしていない。
そうして、気づいたら夜になっていた。
俺達は夕食を食べて、お風呂に入って寝た。
これが幸せと言うやつか。
掃除の途中でドーテルちゃんが起きた時には焦った。
ドーテルちゃんの事だけはバレないようにしなければ。




