82. 混合剣術
ペラッ
お昼。
今日も今日とて魔族語の勉強だ。
この図書館の管理人の所へ毎回移動するのは面倒くさいと言うことで、管理人の近くで勉強をする事にしている。
「!?レオ様。」
「!?」
アルシアが来た。
相変わらず美人になりやがって。
くそっ、俺を見下げて楽しいか!
「なんの用だ。」
「いえ、別に...用があるわけではなく...」
用がないのに図書館に来たのかよ。
まあ、俺もなんとなく図書館に来ていた気がする。
図書館があったら、なんとなく行きたくなるよな。
「あっ、そういえば。アルシアってヘレナと王様になるための対決をしてるんだろ?ボコボコに負けてないか?」
「いえ、対決はしておりません。私は王様にならないです。」
「...諦めたのか?」
負けていても、これから巻き返せばいいんじゃないのだろうか。よく分からないけど。
もう取り返しがつかないぐらいに負けているっぽいな。
というか、学校での対決なのて関係あるのか?
「その...私は冒険者に憧れているんです。」
「ん?冒険者?」
「はい。なので、王様にはなりません。」
マジか...
王様の方が凄いと思うのだが、冒険者になりたいのか。
ということは、戦ってみたいんだな。
森での生活で、何かを目覚めさせてしまったらしい。
これは、俺の責任だ。
「俺は王様の方が凄いと思うぞ。」
「冒険者はカッコいいです。」
「王様は国を動かしていてカッコいいぞ。」
「魔物を倒す方がカッコいいです。」
「王様は頂点だぞ?」
「関係ありません。」
「...」
無理そうだな。
そんなに冒険者になりたいのか。
冒険者になるだけだったら、ギルドに行けばいいだけなんだけど。
たぶん、超級とか都市級冒険者になりたいんだろう。
「アルシアよ、聞いて驚け。こう見えても、俺は超級冒険者なんだ。」
「!?凄いですね!」
「だろ?」
「はい!その若さで超級冒険者なんて、凄く少ないと思いますよ?」
そうなのか。
少しはいるんだ、この歳で超級冒険者の人...
勝手に俺だけだと思っていた。
少し恥ずかしい。
「と言うことは、いじめっ子ってレオ様のことだったんですね。」
「なに?」
「超級冒険者のいじめっ子って人が学校に来るって、
一部で噂されていました。」
「そうなのか。皆はどんな反応だったんだ?」
「怯えていました。」
「そうか...」
入学する前から嫌われていたのか。
教頭の野郎が、噂したんじゃないだろうな?
もしそうだったら、あの頭の布を奪ってやる。
「記者とも言われていました。それもレオ様だったのですね。」
「ああ。」
記者よりもいじめっ子の方が広まっているというのか。
まず俺は誰もいじめていないぞ。
誰が広めやがったんだ。
そいつをいじめてやる。
チラッ
ああ、いかんいかん。
気を抜くと、アルシアの胸を見てしまう。
前は尻を見ていたっけか?
懐かしいな。
今はどこを見ても危ない体になっている。
なんで俺は成長していないんだ。
多少は成長したけど、ここまでの成長はしていない。
「あっ!アルシア様!なんで逃げるんですか!」
黒髪の女が走ってきた。
アルシアの友人か?
でも、友人を様って言う人は少ないはずだ。
側近か!
そうだよな、アルシアって王族だもんな。
特別生だし。
側近の1人や2人、いないわけがない。
「さあ、次の授業場所に行きましょ。」
「誤魔化さないでください!あと、なんで敬語なんですか?」
アルシアと側近であろう女は図書館から出ていった。
側近と遊ぶの、楽しそうだな。
俺もリリと遊ぶのは楽しいから、気持ちは分かる。
「ここでは、重心移動が大切だ。疲れないからな。
一線流は疲れやすいのが難点だ。重心移動を多用していけ。」
「「はい。」」
なんとか先生が教える。
一線流も風流も、なんか物足りないんだよな。
俺からしたら一線流は攻め過ぎだし、風流は守り過ぎだ。
なんか、極端に思える。
もちろん、一線流にも守ってカウンターを決める技があるし、風流にも攻める技がある。
だが、それらの技の数が少ない。
ちょっとだけある感じだ。
あと、それらの技は元をたどったら一線流であり、風流なんだ。
つまり、一線流に風流の技があり、風流に一線流の技があるんだ。
それに凄い違和感を感じる。
なんか、どちらかをマスターするだけでは完璧になれない気がする。
時には攻めがいるし、時には守りやカウンターがいるんだ。
やっぱそうだよな。
この剣術は混ぜて使うことができるはずだ。
より高度な技術を必要とするだろうが、俺になら出来るはずだ。
出来なくても、別に損はない。
やってやろうじゃないか。
「なあ、レオ。俺は、モテたい!」
「またかよ。」
放課後の絵画部で、セルロスがまた何かを言っている。
大体、セルロスはモテるための努力をしていない。
いや、しているのかも知れないな。
俺に分からないだけで。
「なんか作戦でもあるのか?」
「ああ!よくぞ聞いてくれた!」
作戦を考えていたのか。
努力してんだな。
友人の頼みだ、協力は惜しまない。
「まずは、レオがアルシアに僕の魅力を伝える。
そして、アルシアが全校に伝えるんだ。」
「なんで俺がアルシアに伝えなきゃいけないんだよ。
自分で伝えろよ。」
まず、なんでアルシアの事を知っているんだ。
アルシアは知っていたとしても、なんでアルシアと俺が友人だって知っているんだ。
まさか、さっき図書館にいたのか?
「僕は、伝えない!」
「なんでだよ。」
「怖いからだ!」
「...」
じゃあ、しょうがないか。
だって、怖いんだもんな。
俺も怖かったら何も出来ない。
「でも俺は伝えないぞ?どうせ、アルシアも全校に噂してくれないと思うからな。」
「じゃあ、どうすればモテるんだよ。」
セルロスが路頭に迷っている。
剣術か魔術を極めたらモテると思っているのだが、
自信がないから話せない。
「だったら、レオが女を脅して、セルロスが助けたらいいんじゃない?」
サクナが割って入った。
俺が脅さなきゃいけないのかよ。
「いい案じゃないか!流石だよサクナさん!」
セルロスはノリノリで、手をサクナの方へ伸ばした。
どうやら、握手をしてほしいのだろう。
「...」
サクナはセルロスの手を見て、絵を描き始めた。
無視をしている。
「ははっ、ははは。」
セルロスは伸ばした手で、頭をかいて誤魔化した。
セルロス、頑張ってくれ。
この世界に負けないでくれ。
「なんで俺が脅さなきゃいけないんだよ。」
「あら、友人の望みを叶えてあげないの?」
サクナがニヤリと笑ってこっちを見る。
「そうだ!そうだ!」
セルロスが便乗する。
「俺がヤバい奴って思われるだろ。」
「あ〜、分かった。身長が小さくて脅すことが出来ないから拒否しているのね。」
「なに?」
「ごめんなさい。そこまで気づいてあげられなかったわ。」
「セルロス、俺に任せろ。」
そんな事はない。
うん、そんな事はない。
俺は小さくない。
俺はデカい。
そうだろ?ドーテルちゃん。




