76. 入部
絵画部という文字が刻まれた板を見つけた。
この教室で行っているのか。
まあ、案内図に書かれているから知っているけど。
ワクワクしていて、変な感じになっているな。
ギィ
そこに1年生らしい人はいなかった。
その室内には人が3人しかいなかった。
...人気ないんだな。
みんなの絵画への興味のなさに驚いた。
なんか1人は絵を描かずに立っているだけだし。
全員女だし。
どうなっているんだ。
「...来てくれたんですか?ああー!!!ありがとうございます!!」
部活動紹介の時の人だ。
おそらく、見学に来た人は俺だけだろう。
絵画への興味のなさに悲しくなると同時に、感謝されて嬉しい。
学校で初めて感謝してくれた。
どうやら、俺の心は決まったようだ。
「えっと、ここは...ですね、絵を描くんです。」
「そうなのか!最高じゃないですか!」
「!?はははは、」
そうか、この部活は絵を描くのか!
いい部活もあるもんだな!
「絵の内容は自由です。ははははは。」
「自由!?最高ですね!」
そうなんだよ!
絵は自由なんだよ!
探せばあるもんだな!いい部活!
「入部する。」
「!?いいんですか!?」
「入部させてください。」
「...やったよ!やったよサクナちゃん!」
「どうでもいいわ。」
金髪女はつまらなそうに答えた。
この女...特別生だ。
バッチを付けているのもあるが、服が豪華過ぎる。
分かりやすい奴だな。
ということは、立っている人は護衛だろう。
コイツも特別生だし。
絵に興奮したら周りが見てなくなるな。
良くない特徴だ。
治さなければ。
「では、失礼する。」
「はい!ありがとね。」
俺はもう一つ行きたい場所がある。
魔物研究部だ。
案内図には雑に書かれていた。
おそらく、自分で勝手に書き足したのだろう。
そんなにも熱意のある人物に会ってみたい。
ギィ
「おおー!!!ようこそ〜!!!」
男が1人、ポツンといた。
教室も勝手に使っているのだろう。
最高の男だな。
「この部活は何をするんだ?」
「おお!そうだな!説明しよう!」
男は一息つき、冷静になった。
「この部活は魔物や魔力などの世界の謎を解明する部活だ。と言っても、3人いないと部活にならないけどね。デュフ、デュフ。君は気にならないかい?魔物がどこで生まれるのか。」
男は初めてこっちを見た。
たしかに、俺は魔物が生まれる所を見たことがない。
人が生まれる所も見たことないけど。
謎ではあるが、みんなも見たことがないのか。
「デュフデュフ、そうだろ〜、謎だろ〜。
では、魔力とは一体なんなのか、分かるか?」
「...分からないな。」
「そうだよな。それを、調べるんだ。」
「どうやって?」
「頑張って。」
「「......」」
「「デュフ、デュフ、デュフ、デュフ!」」
何だこいつは。
凄い魅力的な人だ。
俺の心を揺さぶってくる。
それに、本当に謎で気になるな。
「入部する。」
「おおー!!素晴らしいよ!」
複数の入部は駄目だとしても、ここは部活になってないから関係ない。
楽しくなりそうだ。
「僕はセルロスだ。」
「俺はレオ。よろしく。」
「ああ!よろしく!」
友人を見つけた。
見学時間は終わり、一線流の授業だ。
魔術の理論は教室で習ったりもするが、剣術の理論は動きながら習うため、庭か体育館でしかやらない。
雨の時は体育館だろう。
一線流の授業が多いことから、学校は一線流剣士に
なってほしいのだろう。
一線流剣士の方が活躍しているからな。
そういえばソラ隊長も一線流だったし。
ペラッ
昼だ。
今日も魔族語の勉強だ。
もちろん右手にはパンがある。
硬いパンだ。
これを口で引きちぎるのが楽しいんだ。
昼が過ぎても図書館にいる。
今日は鐘が鳴っても動かない。
なぜなら次の授業が魔術だからだ。
何が火だ。何が水だ。
くだらない。
ゴーン
俺は動かないぞ。
俺は動かないからな。
管理人が一人残った俺を見ていても気にしないからな。
鐘が鳴っても、しばらく魔族語の勉強をしていた。
「あっ、レオじゃないか!」
「...!セルロス!」
セルロスが図書館に来た。
黒髪なのは分かったが、誰かはすぐに思い出せなかった。
セルロスからしたら、俺は小さいから分かりやすいだろう。
「セルロス、お前、授業は?」
「ん?サボった。」
「...特別生なのか?」
「ん?違う。」
「そうか...」
大丈夫なのだろうか。
特別生でも授業はある程度受けろと言われていたのに。
「何をしていたんだ?」
「ああ、魔族語の勉強だ。」
「凄いな!面倒くさいだろうに。」
セルロスは図書館の静かな雰囲気に負けず、元気に
話す。
「セルロスは何年生なんだ?」
「俺はレオと同じ1年生だ。」
「俺はD組なんだが、セルロスは?」
「C組だ。これから自由戦を合同でやるぞ?」
「そうなのか。」
学校に友人がいるぞ。
なんて楽しい会話なんだ。
魔族語の勉強が疎かになるほど楽しい。
「レオ、いいか。この世界は魔力に依存しているんだ。
だから、この世界は進歩しない。魔力はない方がいいんだ。」
「そんな事はないんじゃないか?魔力の発展は進歩
じゃないのか?」
「いいや!まったくもって進歩じゃないね!」
「じゃあ、なんなんだよ。」
「...チンポだ。」
「「......」」
「「デュフ、デュフ、デュフ、デュフ!」」
なんて楽しい時間なんだ。
俺は今、友人と笑い合っている。
幸せだ。
ありがとう、セルロス。
「セルロスも魔族語、覚えるか?」
「俺はいいかな。」
「なんでだ?」
「魔族語は人族語のパクリだからだ。」
「人族語が先に生まれたのか?」
「いや、それは知らないが、人族語の方が凄いという事だ。」
どっちが先に生まれたのかは関係ないのか。
ということは、魔族語が先だとしても、人族語を真似て変化させたと言うことだろう。
「なんで人族語の方が凄いんだ?」
「それは、俺が人族に分類されるからだ。」
「...そうか。」
なるほど!冗談か!
俺の理解が足らなかった。
セルロスは俺と同じで、ふざけるのが好きなのか。
いい友人を持った。
ゴーン
「レオ、自由戦だぞ。行ってこい。俺は用事があるんだ。」
「分かった。後でな。」
そして、自由戦が始まった。
本当にC組と合同だった。
凄い人数だ。
けれど、俺の相手は結局、ステラ先生だった。
ボコボコに負けた。
周りを見ても、最後までセルロスの姿は見えなかった。
ギィ
「おかえりなさいませ、レオ様。」
「リリ、俺は弱いんだ。」
「そんな事はありません。レオ様はお強いと思います。」
「リリ、その言葉が聞きたかったんだ!」
ギュ
「!?」
流れに任せてハグをした。
人肌が欲しかったんだ。
次こそ勝つ。




