74. サボり
タタタタタタタッ
これから何回隠れながら家に帰ることになるんだろう。
泥棒になっても捕まらないぐらいの能力は得られると思っている。
帰る前に教室の場所をステラ先生が案内してくれた。
そして、小さく丸い黄色のバッチを貰った。
先生いわく、特別生は付けなければいけないらしい。
特別生と区別したい時があるのだろう。
俺の予想では先生がする生徒への対応の仕方だろう。
特別生は王族とか貴族とか強い奴だ。
つまり、先生より上なんだ。
だから、ムカつかせたら損害が出るのではないだろうか。
俺も今は思春期だと思うから、ムカつかないとは言い切れない。
他の人もそうだ。
バッチを付けさせるのは正しい対策だろう。
ギィ
「おかえりなさいませ、レオ様。」
「リリ、お前は俺のたった一人の友人だよ。」
「いきなりどうしたんですか?」
「いや、なんでもない。」
今日は人と全然喋ってないな。
リリも学校に行ければいいのに。
いや、駄目だ。
リリには家事がある。
正直、こっちの方が大切だもんな。
リリが夕食を作り出した。
俺は華麗に寝転がる。
我ながらとても自然だ。
疲れたから寝転んだという理由もあるにはあるのだ。
なにも理由は1つじゃない。
チラッ
リリはいつもと同じパンツを履いている。
リリのパンツの柄って全部同じなのか?
「レオ様、夕食が出来ました。」
「ありがとう。...リリ、お前に給料を与える。」
「...え?いいですよ!私はレオ様の奴隷なんですから。」
「いやっ!そういう事じゃないんだ。」
「...?」
「代わりと言っては、なんだが...ハグしていいか?」
「!?」
なんか...お金でハグを買っているみたいで気持ち悪いな。
だが、いい。
奴隷なんだから、俺の羞恥なんて関係ない。
拒否しても罰はないけど。
普通に給料あげるし。
「...いいですよ。しょうがないですね。」
ギュ
人肌が欲しかったんだ。
これなら友人が作れなくても我慢出来そうだ。
リリはいい奴隷だな。
ただ、俺のものと思ってはいけない。
そう思ってしまうと、リリに嫌われて結局、俺が悲しくなることは目に見えている。
リリから離れた。
「さあ、夕食を食べよう。」
「...そうですね。」
これ以上、リリには成長して欲しくないな。
俺が間違えてしまう可能性がある。
これが本能という奴なのだろう。
「いってらっしゃいませ。」
「おう。」
タタタタタタタタッ
今日も隊長は...いないようだ。
まあ、ルベリア王国の隊長はお偉いさんと言う扱いになっているだろう。
そんな偉い人が普段、町の警備はしないだろう。
安心して屋根の上を移動できる。
たまに空を見上げてる人がいるけど。
それは気にせず移動している。
どうせ兵士に報告なんてしないんだ。
俺なら面倒くさいから兵士に報告はしない。
スタッ
着いた。
今日も凄い人だ。
多分、他の学年の人も混じっているだろう。
何年生まであるんだ?
早く友人を作りたい。
ペラッ
魔族語は人族語と似ている。
俺としては覚えやすいので助かるのだが、似てるなら言語を統一してほしい。
皆は今、魔術を習っていることだろう。
俺に魔術は使えない。
だから、その時間は意味を成さない。
だったらこの図書館と言う場所で魔族語を覚えた方が意味があるというものだ。
ここもクイーン家と同じぐらいに本がたくさんある。
魔族語を覚えた後が楽しみだ。
魔族語の発音は分かってないけど。
誰か知らないかな。
「やあ、君たち。俺は一線流を教える。バッシュだ。
よろしくな!」
金髪のムキムキ先生だ。
これから本格的に一線流を習えるらしい。
出来れば俺は、風流も一線流も身につけたい。
一線流は普及しているから簡単に覚えられると思うんだよな。
「ん?君、身体強化は?」
「出来ない。」
「そうか!でも大丈夫だ!技術が身につけば、身体強化がなくともいい勝負はできるだろう!」
その通りだ。
技術を身につけるには身体強化は少し邪魔なんだ。
俺、身体強化できるし。
一線流は本当に攻めが大好きだ。
カウンターの事はあまり考えていない。
相手に攻撃をさせない戦い方だ。
そのせいで、凄い疲れる。
技術もすぐに身につけられるものではなかった。
今は理屈を理解するのが精一杯だ。
体は思い通りに動かない。
まあ、考えながら練習していれば大丈夫だろう。
「風流を教えるぞ。」
ステラ先生がニコニコでやって来た。
ニコニコと言っても、少し怖い感じの笑みだ。
美人だからそこまで怖がってないけど。
風流は攻められるのが前提の技だ。
守りながら相手の隙を突いたり、隙を作ったりするらしい。
あまり動かなくていいから楽だと思ったが、技術が必要で大変だ。
当然、一線流も技術は必要だが、身体強化で誤魔化すことも出来る。
その点、風流は身体強化での誤魔化しが効かない。
そりゃあ普及してないわけだ。
あと、あまりカッコよくない。
俺も攻めたほうがカッコいいと思う。
先生はずっとニコニコだったけど。
「レオ。お前、身体強化なしでやっているのか。
いい姿勢だ。」
「どうも。」
褒められちゃった。
この嬉しさを伝えたくて周りを見るが、誰も俺を見ていない。
なんで俺は嫌われてるんだ?
あと、ステラ先生。俺が身体強化使えないって忘れてる。
ペラッ
昼だ。
この時間に帰る人もいる。
残ってもいいから、俺は学校にいる。
一応、この後も授業はあるみたいだし。
というか、帰る人は強くなれるのか?
学費とかを自分で稼いでいるのだろうか。
今も、パンを噛じりながら魔族語の本を見ている。
この時間は図書館に来る人もいるみたいだ。
サボっていた時は人がいなかったから安心していたが、
今は人がいるせいか、ソワソワする。
図書館は一階だ。
そして、俺の教室は4階だ。
だが、教室は魔法の授業を行うときに使うらしい。
俺は魔法の授業は受けないから、一階にしか用はない。
図書館には頻繁に行く予定だから、管理人と仲良くなるべきだろう。
ゴーン!
鐘が鳴った。
次の授業がもうすぐ始まる。
本を元の場所に戻し、庭に向かう。
次は魔法の授業じゃないらしい。
魔法の授業じゃなければ、俺は参加する。
魔法の授業だったら、何があっても参加しない。
俺は特別生なんだ。
強気でいかなければ。
庭に来た。
D組の人が集まっているが、人数が少なくなっている。
昼に帰った人がいるみたいだ。
遠くには他の組の人が集まっている。
「この時間は自由戦だ。防具をしっかり着けたら、剣術と魔術を駆使して戦ってくれ。相手と話し合い、何人で戦うかを決めてくれ。お勧めは一対一だ。寸止めとかして殺さないようにしろよ。先生が見張っているからな。」
ステラ先生だ。
よく会うな、この人。
そして、殺すなとか言っている割に楽しそうだ。
300人近くいるのに、見張れるのだろうか。
まあ、防具を付けさせるなら多少は安心だろうが。
自由戦か...面白そうだ。
だが、身体強化は使わないでおこう。
俺は剣術で倒せるようになりたい。
身体強化使ったら面白くないし。




