回想-聖都【後編】
短いですが宜しくお願いいたします。
そう、会見は終わった
少女はユッタと仲良く過ごしている
ユッタは親戚が多いためか子供の扱いに手慣れているのだろう
いや、ユッタの人徳かもしれない
二人の仲の良さは他者から見ても年の離れた姉妹と思えるほどだ
二人の笑顔が浮かぶ
二人の笑い声を思い出す
傍に来ては何度も雪山の話を聞いてくる
傍に来ては何度も海へ行かないのか尋ねてくる
そんな顔を思い出す
一緒に海へ行きたいと言う希望を承諾した日
ユッタに抱き着いて喜びを伝え
輝く笑顔を見せたことを思い出す
俺たちの指輪を見て自分も欲しいと言われたのを思い出す
ユッタに海に行く途中で村に寄って頼んでみようと告げられ喜ぶ顔を思い出す
そして俺は思い出す
ユッタが家族になる予定だと話した日のことを
一瞬戸惑った表情を浮かべた少女は微笑んで俺を見返した
少女からの返事はない
ユッタの困惑した顔が視界にはいる
身分の違いを知った時にユッタが見せた表情を思い出す
俺が再度ユッタと家族に成ることを伝えて
「祝福してくれないのか」と尋ねたことを思い出す
「あなたの幸せはそこにはない」
と少女が断言したことを思い出す
立ち去ることも出来ずに声を押し殺しユッタが泣いている
毅然とした態度を保ったままの少女も泣いている
俺はユッタの手を握り
「俺の幸せはユッタと共にある」と告げる
「じゃあ、海には連れて行ってくれないの?」
と間髪入れずに少女から問いが返る
なんと答えたか思い出せない・・・
だがユッタの俺を見上げる顔と少女の戸惑う顔は憶えている
俺を呼ぶ声が聞こえる
俺は目を覚ます
俺は寝ていたのか・・・
夢を見ていたのか?
目の前でユッタが泣いている
手にはユッタの温もりがある
女の笑い声が響く
「あはははははは」
俺はまだ夢の中なのだろうか・・・
お読みいただきありがとうございました。
無断転載禁止。翻訳も禁止。




