終わらない夏祭り㉓
姉を失ったあの日から、理斗は地獄のような日々を送ることになる。
呪いで腫れた部分は、どんな医者、陰陽師に診てもらっても治す方法は見つからず、常時、針を刺したような痛みがあった。
その痛みは夜寝る時だって、おさまることは無い。3年間、彼が熟睡できたことは1度もなく、やっと寝れても夢には姉の死体が現れ、すぐに目覚めた。
痛みを感じる度に、彼の中では復讐の炎が燃え上がっていた。
……そして今、ずっと復讐したかった相手が目の前にいる。
理斗はしばらく息を止め、体を落ち着けることで過呼吸をなんとか抑えた。
「……ふぅ。アンタは今日、俺が殺してやる!絶対だ!!」
彼の言葉で、琉音は更に口角を上げた。
「あっはっは!本当に愚かで可愛いわね。……だから3年前、生かしてあげたんだけどねぇ。」
「黙れ!」
挑発に耐えきれなくなった理斗は、琉音の心臓に向けて弓を構えた。
「15番ちゃん、17番ちゃん。出てきなさい。」
琉音がそう言うと、鬼火が出現し、その中から2体の妖怪が出てきた。
片方は体が蛇、顔が人のキメラ、
もう片方は体が狼、顔が人のキメラだった。
「ここじゃ、妖怪の召喚ができないんじゃ…!」
「向こうの世界の妖怪はね。ここで作った妖怪なら召喚できるのよ。…お前たち、あの少年を食い殺しなさい!」
彼女の一言で、一斉に2体が飛びかかってきた。
「そんな簡単にやられてたまるか!」
理斗は足の速い狼型の方を先に仕留めることにした。……が蛇行するように走ってくるため、狙いが定まらない。
ある程度近づかれると弓を当てられなくなるため、姿を目で追いつつ、距離を取りながらスキができるまで狙いを定め続けた。
しかし、狼型の動きを注目している間に、蛇型が背後を取っていた。
「…しまった!」
気づいた時にはもう遅く、足に巻きつかれてしまう。
理斗は体勢を崩し、ヨロッと倒れてしまった。
そしてそのスキを狙っていたかのように、グルグルと蛇の身体で全身に巻き付いてくる。
「あなたはね、この子達を見くびりすぎたの。見た目はただの動物に近いけれど、人間と同じ思考で動くことができる。……ふふっ、この光景、三年前と同じね。」
理斗が尻もちをつき、それを琉音が見下ろす構図。三年前と同じく絶対絶命だ。
そして勝利を確信したかのように、狼型の妖怪が涎を垂らしながら、ゆっくりと近づいてくる。
「…どうすれば……!」
理斗は一瞬、三年前の姉の姿を思い出し、静かに絶望した。……が、、、
バン!!!
扉が乱雑に開けられる音がする。
「ま、間に合ったぁ〜!」
どこか拍子抜けする声がする。
扉の前にいるのは、茉莉花と、、角がはえた20代くらいの男性。
おそらく、剣人という鬼だろう。
「…………遅いですよ。」
理斗が気の抜けた顔でボソッとつぶやいた。




