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妖魔大戦  作者: 香織
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終わらない夏祭り⑲


……ドクン、ドクン



心臓が拍動するたびに、頭がズキズキと痛む。



「……いたたた。」



どうやら長い時間横になっていたようだ。



茉莉花の体の上には剣人の来ていたジャケットがかけられていた。



「…!目が覚めましたか!」



そばで座っていた剣人が意識を取り戻した茉莉花に気づいた。



紳士的な洋装をしていた彼は、いつの間にか武士の様な和装に着替えていた。



「…その格好は?」



「ああ。乗っ取られてた間にハイカラな服に着替えさせられてまして、どうも慣れなかったものですから。先程の妖怪から着物を剥がせていただきました。」



そういえば大正の生まれって言ってたもんなぁ。



「先程の妖怪…。あ!そういえば大丈夫でした?あの後。」



茉莉花はバッと体を起こした。



「はぁ。それはこっちのセリフですよ。助けていただいたのは本当に感謝してますが、なかなか意識が戻らないから心配したんですよ。」



「えっ…。私、どれくらい寝てました?」



「おそらく、1日は経ってます。」



「1日!?そんな!」



せいぜい1時間だと思ってた。御堂くん、生きてるよね…?



「確か茉莉花さんの仲間の方も潜入していらっしゃるんてすよね。もしかして、あそこですか?」



剣人は縁日の先にあるお城を指さした。

……嫌な予感。



「…はい。私が寝ている間に何かありましたか?」



「実は、先程少し大きな音が聞こえまして。何か建物の一部が崩れたような。」



もしかして、いや、もしかしなくても御堂くんが何か行動を起こしたに違いない。

彼が強いのは知ってるけど、鬼門院を相手に1人はかなり心配だ。



「…今すぐ向かいましょう。」



「動いても大丈夫なんですか!?」



「はい、まだ痛みは残りますが、動けないほどじゃないので。ついてきてください。」



「は、はい!」



茉莉花と剣人は急いで走りだした。











……



バァン!バァン!



扉の向こうの敵が鍵の破壊をしようとしている。



「くそ、あの人はいったい何をしてんだ!」



理斗は今にも開きそうな扉を陽太と一緒に押さえつけていた。



「茉莉花のことか。もう1日は音沙汰ないな。」




「こっちは絶体絶命だってのに…!」



今、彼らは訳あって地下の実験室、言い換えれば妖怪を生み出すための処刑場に立てこもっている。そして、すぐそこまで追っ手が迫っている状況だ。



事の発端は10分前。



カンカン、と鐘の音が急に鳴りだした。



「!」



その瞬間、陽太の顔が凍りつく。



「……どうしたんです?」



陽太と一緒に城の掃除をしていた理斗が不思議そうに顔を覗き込んだ。



「この音は実験開始の合図、だ。」



「実験、、、あっ!」



捕まった人間は奴隷か生贄になる。



おそらく実験とは生贄の虐殺のことだろう。

今まで犠牲になった人は救えないが、助けに来た以上、1人たりとも犠牲にする訳にはいかない。



「陽太さん、地下の実験ってどこですか!」



「案内する!」



そういう訳で、2人は急いで地下に向かい、実験室の扉を開けた。



バン!



「!?」



扉の先には後ろ手に縛られ目隠しと耳栓をされた20人くらいの若者と、それを取り囲む5人の藍の着物を着た青年がいた。



その中には城に潜入する時に知り合ったコウもいた。



「なぁんだ、ヨウタか。そんなに勢いよくドアを開けんなよな〜。驚いたぜ。」



コウ達はヘラヘラ笑う。



陽太はそんな仲間達にいたって真面目に話す。



「……みんな、俺は今日コイツと、囚われたすべての人をこの世界から解放する。もちろん、お前らもだ。」



「は、、?何言って…!」



いきなりの事に5人は戸惑う。



「もう逃げる算段はついてる。だから、とりあえず逃げてくれ。俺らは生贄の方を逃がすから。」



逃げる算段はついてる、というのは大嘘だけど。



茉莉花がなんとかするのを信じるしかない。



「…………わかった。だが、俺はヨウタの方について行くからな、心配だし。他のみんなは先に外に出ておいてくれ。」



コウがそう言うと4人は部屋から出ていった。



「……さて、どうする。今部屋にいる人達以外にも生贄はたくさんいるんだぞ。こんな大人数、どうやったら安全なとこまで逃がせる?」



陽太はコソッと理斗に言った。

確かに、急な決定だったから何の作戦もたてていない。正直無謀に近い行動はしている。



「悔しいですけど、あの人が何とかすることにかけるしかないですよね。とりあえず、陽太さんが他の仲間にもこの事を伝えつつ、協力を得ながら、生贄を出来るだけ城から離れさせることが今僕達にできることでしょう。」



「了解。じゃあ、まずは生贄の手の縄をほどかなくちゃ……わっ!」



急に陽太の着物を理斗が引っ張った。



すると、陽太の体のすぐ近くを木刀が素早く横切る。



「な、なんだ!?」



陽太が後ろを振り向くと無表情のコウが振り下ろした木刀を持って佇んでいた。

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