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妖魔大戦  作者: 香織
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終わらない夏祭り⑭


「なにこの光景…。」



思わず独り言を呟いてしまう。



理斗や陽太と別れた後、茉莉花は瑠璃の目を使い、高い場所から陰の気の濃いスポットを探した。



すると、ある1箇所に陰の気が集中しているのが分かったため、そこに向かうことにした。



そして、そこで彼女が見た光景は目を疑うものだった。



基本、この世界にある屋台は無人である。



しかし、その陰の気が集まる地点だけは、妖怪が屋台を切り盛りしていた。



更に、その屋台に訪れる客もみんな妖怪。



もはや、妖怪ばかりで人間である自分は疎外感すら感じる。



そりゃあ、こんなに妖怪がいたら陰の気も濃くなるよね。



なんとなく、プラプラと屋台を見てまわっていると、妙な名前の店を見つけた。



「新聞屋……?」



こんな屋台聞いた事がない。



新聞?妖怪がそんなもの必要なのか?



お店の様子をチラチラと見ていると、後ろから男性の声が聞こえた。



「やあ、お嬢さん。私のお店に何か用ですかな?」



「……!」



茉莉花が振り向くと、そこには首から上がない紳士服を着た男性が立っていた。



見知らぬ妖怪に話しかけられるのは、かなり心臓に悪い。



「失敬。驚かせてしまったようだね。私はそこのお店の店主だよ。ちょうど新商品を入荷した所でね。」



そう言う彼の手には新品の新聞があった。



「そのー、、新聞屋って珍しいですね。」



「ほう、気になってくれているのかい。嬉しいねぇ。じゃあ、特別に本店へ案内してあげよう。屋台じゃ、品数も少ないしね。」



紳士の妖怪が指をパチン、と鳴らすとまるで老舗の本屋さんの様な場所に移動した。

しかし、置いてある物は本ではなく、全て新聞である。



「すごい…!これ、おじさんの術ですか?」



「そうだよ。収納の術っていって、物を制限なく収納できる術をもっていてね。今私達がいるのはその収納空間の中さ。」



「へぇ。いったいいくつあるんですか?」



「はは。どうだろうね。欧米化で日本でも新聞が作られはじめたときから集めているからね。」



「!それでこんなにある訳ですね。……でもいったい何故?」



「生前は新聞を編集する仕事をしていたんだけどね、だんだん情報が規制される時代になったんだよ。それでも、私は事実を皆に伝えたくてね。頑なに政府を叩くような記事を作っていたら、警察に捕まって死刑さ。」



「ちょうど第二次世界大戦前後の時代ですね。」



茉莉花が言うと、紳士の妖怪はグッジョブ、と親指をたてた。



「よく勉強しているね。とにかく新聞に固執した人生を送った私は、気がつけば妖怪になっても新聞をコレクションし続けていたんだよ。」



「でも、新聞屋、って言ってましたよね?そんな大事なコレクション、売ってしまっても大丈夫なんでしょうか?」



「ふふ、いいのだよ。必要としている者に必要な新聞が手に渡るのなら。情報は時として武器となり、救いともなる。私としては、誰かの役にたちたいからね。」



「……優しいんですね。では、少し記事を拝見してもいいですか?」



どんな過去の新聞も読めるなんて、活字が大好きな私にとっては夢のようだ。



「勿論。じゃあ、特別に新聞を探しやすくしてあげましょう。」



彼が先程のようにパチン、と指を鳴らすと、いくつかの新聞が蝶のようにヒラヒラと茉莉花のほうへ寄ってきた。



「なんですか!?これ?」



「新聞に陰の気を込めたのだよ。すると、お客様に読まれたがっている新聞が自分から近づいてくれるようになる。」



ほぼ魔法じゃん、それ。



茉莉花は1番自己主張の強い新聞を手に取った。



「どれどれ、…………。」



茉莉花の表情はみるみるうちに固くなった。



〈鬼門院夫婦殺人事件、犯人への糸口見つからず〉



これは、、3年前のお父さんとお母さんの事件の記事だ。



やはり、警察じゃ捕まえられないような人間が殺したんだろう。



記事を読んでいくと、ひとつ気になる文章があった。



〈事件の数分前、村の住人ではない女の目撃証言があったが、目撃者もあまり詳細なことは覚えてないとのことであり、警察は……〉



……女、ね。



鬼門院家に、他にも女性はいるんだろうけど、今回鬼門院瑠音が近くにいるんだとすれば聞き出したいところだ。



理斗が先走って、殺さなければいいんだけど…。



他にも、自分の周りを飛んでいる新聞達を読みあさるが、同じ事件の同じ内容ばかりだった。



「……では購入する新聞はお決まりかな?」



紳士は茉莉花に声をかける。



「はい。……あれ?」



なんか、足元でモジモジしている新聞がいる。



「どうやら、お嬢さんに見られたいけど見られなくないコみたいだね。」



「は、はぁ。」



そんなツンデレな新聞(?)もいるんだ。



茉莉花は優しくその新聞を手に取り、見出しから読み始めた。どうやら3年前の記事のようだ。



〈行方不明女子高生の遺体見つかる〉



「……!」



〈3日前から行方不明となっていた御堂玲奈(みどう れな)さん(17)が遺体となって発見された。遺体の側には同じく行方不明となっていた弟の理斗君(13)が意識不明の重体で見つかった。現在理斗君は治療中であり……〉



なぜか、その新聞には理斗の名前が載っていた。

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