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妖魔大戦  作者: 香織
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終わらない夏祭り⑬


「くっそ、どうして僕がこんな目に…!」



後ろ手に縛られた理斗が不満をブツブツ言う。



「まーまー。男だろ?覚悟を決めねーとな。」



陽太はそんな彼の肩をバン、と叩いた。



2人の目の前には、天守閣まである立派な城がそびえたっている。



「男とか女とかそういうの古いんですよ。……はぁ、潜入とはいえ、こんな格好…。はぁ。」



「お前ってけっこう面倒臭いんだな。せっかく元気づけようとしたのに。…おっと、ここからは演技しろよ。理斗は俺に捕まって連れてこられた、って設定だからな。」



「わかってますよ…。」



2人は城の入口へと進む。



すると、陽太と同じ藍色の袴を来た青年が前から現れた。



「ヨウタじゃん、お疲れー。誰そいつ?」



「あー、コウか。こいつな、道中で面が外れたみたいでさー。逃げようとしてたから、捕まえた。」



陽太は自然な演技をする。



「へぇ、面が外れることなんてあるんだな。……ってか、かなりルネ様好みの顔してんな。たぶん生き残れるぞ。ちょっとこっちこい!さっき近くにいらっしゃったから媚びを売りに行こうぜ!」



そう言い、青年は城の中に入っていった。



理斗は無駄に前向きな青年に圧倒される。



「…割と奴隷の方たちも、この世界の生活に適応しているんですね。」



「そりゃあ、コウも俺と同じ1年目の被害者だしな。3年も生活すりゃあ、嫌でも慣れてくんだよ。ほら、チャンスなんだから、さっさと行くぞ。」



こうして2人は城の中に足を踏み入れた。











「ルネ様!ちょうど今、眉目秀麗な男子が迷い込んできたんですよ。少し見ていかれません?」



先程のコウと呼ばれていた青年が、まるで目玉商品を売りつける商人のように、長身ですらっとした女性に声をかけた。



「……へぇ。どの子かしら。」



「こいつなんですけど…ほら、さっさと来い!」



青年が苛立ったように理斗を呼ぶ。



隣にいた陽太も、ルネ様の方向へ彼を突き飛ばした。



「………。」



理斗は危うく、舌打ちをしそうになる。



そう、彼らはもちろん演技をしているわけだが、プライドの高い理斗には耐え難い仕打ちだった。



突き飛ばされた体は、手が縛られているためバランスがとれず、崩れ落ちる。



ルネ様は理斗の顔をじろりと見て、口角を上げる。



「ふふふ!可愛い子じゃない!私の好みだわ。その反抗している目もいいわねぇ。……コウ、ヨウタ、今すぐこの子を仕立てなさい。」



ルネ様は上機嫌に、倒れた理斗の頭を優しくなでた。



『……わかりました。』



コウと陽太はニヤッと笑って返事をした。
















「おー。結構似合ってんじゃん。」



理斗は個室につれてこられ、陽太とお揃いの藍色の袴を着ることになった。



ちなみに、コウは警備の当番がある為、先程持ち場に戻って行った。



「…。なんですか、この格好。」



「奴隷の制服だよ。若い男に好みの和服を着せて、周りに置いておくのがルネ様の趣味だからな。ちなみに、長髪もルネ様の好みなんだよ。もともとは俺、短髪だったんだけどな。」



それを聞いて、理斗はおえっ、と吐きそうな顔をする。



「ホント、最低最悪な趣味ですね。実際に会ってみると、香水はキツいし、若作りしてるし、更に気分が悪くなりました。そして、あの鋭い眼光で見られると、鳥肌がおさまらなくなりますし。」



「こら。個室といえど、誰が聞いてんのか分からないんだぞ。奴隷の中にもルネ様を慕う奴もいるからな。」



「ええ……そんな人いるんですかぁ。」



「意外といるぞ?……確かに、全て諦めてルネ様に心酔していたほうが、楽だしな。」



陽太も何度かこの現状を受け入れようとした事があるのだろう。

陽太の表情に陰りが見えた。



3年もここで生きているのだから、精神的にもそうなるのかもしれない。



「…………僕がすぐにこんな世界終わらせますよ。」



理斗が言うと、陽太は少し笑顔になり、頭をポン、と叩いた。



「理斗には、茉莉花もいるし、俺もついてる。協力して成し遂げよう、な?」



「……ハイ。」



理斗の目には、一瞬亡き姉の姿が陽太に重なって見えた。

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