終わらない夏祭り⑪
「鬼門院琉音ねぇ…。たまたま名前が一緒だったりして。」
茉莉花が言うと、御堂は頷く。
「その可能性も、もちろんあります。ですが、鬼…鬼門院…洗脳……、これらのキーワードが偶然並んだとも思えません。」
「それは…そうだね。」
確かに、小野さんを洗脳していたのは煙丸で、その煙丸と協力関係を築いているのが鬼門院だ。
この世界は剣人が関わっている疑いがあり、またお面をつけられた人々は洗脳されているかのようにコントロールされている。……そしてこの世界の主の名前が鬼門院家の一員の名前と一致している。
偶然にしてはできすぎている気がするな。
「なぁ、いったいなんの話をしてんだ?あんたら、ルネ様の知り合いなのか?」
陽太は意味がわからない、といいたげな顔だ。
「あー、こっちの話。それで、そのルネ様という人はどういう目的でこの世界に人を集めているの?」
「んー、目的はよくわかんねぇ。だけど、事実としてこの世界に連れてこられた人の運命は2つ。妖怪を生み出すための生贄になるか、ルネ様の奴隷になるかだ。」
「生贄か奴隷…。」
どちらにしろ悲しい末路を辿るのだろう。酷いことをするものだ。
「面をつけて連れてこられた人間はずっと牢屋の中に閉じ込められるんだ。そして、ある日一気に20人から30人くらいが地下の実験室に呼ばれる。そして、妖怪を生み出す実験とかいって、全員残虐な殺され方をする。」
「……それが生贄ですか。そして、今生きているってことは陽太さんは…。」
御堂くんは怒りが抑えきれないのか、声が震えている。
「そう。俺は幸か不幸か、奴隷に選ばれた。牢屋に入った後、面はポロッと外れるんだ。その時に、その、ルネ様に気に入られた者は忠誠を誓うことと引き換えに牢屋から出してもらえる。」
気に入られた、、ね。おそらく、容姿のことだろう。陽太の顔も整っているからなぁ。
「奴隷はどんなことをさせられるの?」
茉莉花が聞くと、陽太の顔は暗くなった。
「まず、一通りの武術と剣術を叩き込まれる。その後は……生贄の管理とか、ルネ様の身の回りのお世話とか…。」
「生贄の管理って、まさか…!」
陽太は拳をギュッと握り締めた。
「ああ。食事を与えたり、脱走する者を捕らえたり…。最終的には処刑も奴隷の手で行われる。」
そんなことまで奴隷にやらせるとは、ルネ様はよっぽどの人でなしらしい。
「俺は奴隷の中でもルネ様に気に入られているほうだから、処刑の仕事はまだやった事がない。……だけど、代わりに、
…そ、その……。………………せ、性的な部類の、ほ、奉仕を、、」
陽太は汗をダラダラと流し、苦虫を噛み潰したような顔になった。
「もういいよ。皆まで言わないで。」
茉莉花は彼の背中をトントンと叩いた。
話を聞いているだけで苦しくなる。
それを3年間続けた彼らは、どんなに辛かっただろう。
「もう、腹が立って仕方がないです。今すぐにでも、ルネって奴の首をとりましょう。」
怒り心頭に達した御堂くんは今すぐ城へ乗り込もうとする勢いだ。意外と感情的に動いちゃうタイプみたい。
「ちょ、ちょっと冷静になって。とりあえず作戦を考えよ。相手があの、鬼門院だとしたら、簡単に倒せる相手じゃないと思う。」
「……。」
「俺もそう思う。あの人は警戒心が強い。簡単にのりこんでやっつけれる相手じゃないのは痛いほどわかってる。」
2人の説得で、なんとか御堂くんを思いとどませることができたようだ。
「作戦のことなんだけど、ここは俺の仲間の警備巡回ルートになってるから、少し場所を変えたほうがいい。俺に付いてきてくれ。」
こうして陽太の後をついていくことになった。




