終わらない夏祭り⑩
「さあ、あなたは何者?何をしていたんです?目的は?すぐに答えてください。」
御堂くんの可愛い顔からはとても想像できないような気迫に青年は萎縮している。
「……ま、待ってくれ。とりあえず、このよくわからない拘束を解いてくれないか。なんかすごく圧迫されてて苦しいんだよ。」
あらま。ちょっとやりすぎたかな。
「解いても、、いいのかな?」
茉莉花はビクビクしながら、気迫と殺気に満ち溢れたおっかない陰陽師に目線を送った。
「……。」
御堂くんは青年を黙ったまま睨みつける。
すると、青年は縛られたまま頭を地面に擦り付け、土下座した。
「さっきは君たちを試したんだ。すまなかった!」
「ちょ、ちょっとどうしたの!?顔を上げて?」
茉莉花は慌てて拘束を解いた。
「試したとは、どういうことです?」
御堂くんが聞くと、青年はゆっくりと立ち上がった。
「君たちが救いか否か知るためさ。俺も君たちや面をつけた人たちと同じこの世界に囚われた被害者だ。ずっと助けてくれる人を待っていたんだ。」
「……んで?僕らはあなたからして救い足りうる存在なんですか?」
青年はすこし考えた後、頷いた。
「……おそらく。君たちならこの世界の人を救える、、いや、どうか助けてくれ。お願いだ。」
彼は再び頭を垂れた。
茉莉花は御堂とアイコンタクトをとり、手をさしだした。
「いいよ、もともとその予定だったし。私は二階堂茉莉花。高校2年生。んで、隣にいるのが御堂理斗。私の一個下。よろしくね。」
「よろしくな…。俺は安藤陽太。二階堂さんと同い年だ、と思う。」
「茉莉花でいいよ。それより、なんで自分の年齢の認識が曖昧なの?」
「……実は俺、この世界に来て約3年経ってんだ。だから、精神的にはハタチなのかもな。だけど、この世界は歳を取らないみたいで、ずっと17歳の見た目のまんまなんだ。」
「3年前……。あの鬼が失踪した時期と重なりますね。陽太サンはこの世界ができたばっかりの時に連れてこられたみたいですね。」
「ああ。俺は1年目の被害者だ。この世界の主は1年に1度、縁日の日だけ人々を誘拐する。だから、2年目の被害者、3年目の被害者もいる。そして、君たちが4年目の被害者だ。」
彼の言うこの世界の主とは、やはりヤマトが気にかけていた剣人なんだろうか。
「この世界の主っていうのは…?」
「ルネ様だ。したたかで傲慢な女だよ。」
「!男じゃないのか……?」
御堂くんが呟いた。彼の言うとおり、ヤマトから話を聞いた感じ、剣人は男のはずだ。
「見た目は30代くらい。化粧がケバくて、目つきがキリッとしてる。……そういえば、茉莉花とちょっと似てんな。特に目もとが。」
「うわ、全然嬉しくない。」
「……この人と似てる…?」
落ち込む茉莉花の隣で、御堂はその言葉を聞き深刻そうな顔をした。
「鬼門院……ルネ…。」
「ん?御堂くん、どうしたの?」
茉莉花は眉間に皺を寄せる御堂を見つめた。
「……。鬼門院の中にいるんですよ。琉音って名前の人間が。」




