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妖魔大戦  作者: 香織
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死のカウントダウンは突然に⑨


「…ああ……そうか……ああ。……了解。」



ピッ。



潤はスマートフォンをポケットにいれた。



「みやび、どうって?」



茉莉花は緊張した面持ちで潤を見た。



「……死印はとれたみたいだ。徐々に元気も回復しているらしい。」



「はぁぁぁぁぁぁ。……疲れた。」



茉莉花は安心してへたり、としゃがみこんだ。



「茉莉花のおかげで助かった。本当にありがとう。」



潤は優しく笑った。



どきっ。



また、心拍数が上がった気がする。これは潤がイケメンなのが悪い。そう、そういう事にしておこう。



「あ、そうだ。潤ははやく、みやび達のもとへ戻った方がいいんじゃない?」



「茉莉花は戻らないのか…?」



潤は首を傾げた。



「今回の件と今までの小野さんの件は全て鬼門院が関わっていたって事だよね?戻ったらそのことについて話し合うんだろうけど、そんな場に鬼門院の私がいたら、話しにくいこともあるでしょ。」



「……そうか。じゃあ、気をつけて帰れよ。あと、、、」



潤は小野さんを見る。



「茉莉花とのやり取りを見る感じ、君は操られていたんだろ?……だったら悪い様にはしないから安心してくれ。」



「……。」



小野さんは無言のまま、こくりと頷いた。

















潤は学校に戻り、私と小野さんは2人きりとなった。



「……じゃ、私たちも帰ろうか。」



「ええ……。そうね。」



……なんか、気まずい。



空気に耐えかねたのか、いつの間にかハクがいなくなっている。…どこまでも薄情な妖怪だ。



2人は見事に崩壊したマンション跡地から出た。



「……私ね、陰陽師って嫌いなの。」



小野さんが急に喋りだした。



「え……。どうして?」



「私の父と兄を殺したの。」



茉莉花は手を口にあて、驚く。



「……。」



「今年の1月。急に、2人とも職場に行ったっきり戻ってこなくなった。警察に捜索届けをだしたけど、音沙汰はなし。1ヶ月後、差出人不明の1枚の写真が届いた。」



……嫌ーな予感。



小野さんは拳を握りしめて言った。



「2人とも死んでいる写真だった。全身ズタズタに引き裂かれて、本当に無惨な状態で。……その写真の裏には『妖魔師は死すべし。』って書かれていて、すぐに陰陽師の仕業だってわかったわ。」



「陰陽師の仕業って、なんでわかったの?」



「妖魔師の間では有名な話よ。最近、陰陽師の中に、妖魔師抹殺思想が生まれていて、その人達の仕業で今年既に、多くの妖魔師が命を落としているんだもの。」



成瀬先輩も言ってたけど、今ってそんなに陰陽師と妖魔師の仲が悪いんだ。



「だから、私は陰陽師に復讐したいって気持ちがあったわ。まさか、それを洗脳で利用されるとは思わなかったけど。」



「!そこで煙丸と出会ったのね。」



「そうよ。ムシャクシャしてた時にアイツから声をかけられた。そしたら、復讐の気持ちがフツフツと膨れ上がってきて…。別に陽道君や百寺さん、月城君を殺したいなんて思っていなかったわ。彼らがその件に関係ないのは、何となくわかるもの。でも、気がついたら、暴走していたみたい。」



「なるほど…。つまり、洗脳には2つ条件があるんだね。1つ目は、心にスキがある状態じゃないと効果は発揮されない。そして2つ目は多分だけど、洗脳を実行した者の名前を言うことで、洗脳は解かれる。」



……だから成瀬先輩は洗脳されなかったんだろう。あの人、別に重い過去とか持ってなさそうだし。それとも、洗脳するほど、、実力もなかったからか???



「おそらく、それで合っていると思うわ。あなたが私の洗脳をアイツの仕業だと見破った瞬間に、頭がクリアになったもの。」



「そっか。うーーん……。」



鬼門院家や煙丸は洗脳までして、何がしたいのか。そして、煙丸はお父さんの何を知っているのか。鬼門院家とお父さんの間に何があったのか。



正直、だいぶ気になってはきた。



「……ねぇ、話は変わるんだけど、どうして私の洗脳に気づいたわけ?何も知らないあなたが、急に洗脳なんてキーワード、思いつくかしら?」



実を言うと、まさか、本当に洗脳されているなんて思ってなかったんだけど…。



「いやぁ、マインドコントロール的なことされてるんじゃないかって直感で思ったんだよね。……だって私、小野さんのこと少し尊敬してたからさ。」



小野さんは狐につままれたような顔になる。



「……尊敬?私を?」



「うん。1年前、高校1年生だった時ね、廊下を歩いてたら、卵焼きが落ちていたの。」



お昼休みの後だったから、誰かの弁当から落ちたものがそのまま放置されたんだってわかる。



しかし、廊下を通る人は皆それに気づかない。



……違う。気づかないフリをしていた。



…………私も含めて。



「ゴミをわざわざ拾って捨てるのでさえ面倒臭いのに、生ゴミだからだれも触りたがらない。…でも、小野さんは違った。ポケットからティッシュを取り出して当たり前のように拾って、捨てに行ってた。……すごいなぁ、って思ったよ。」



「……別に大した事じゃないわ。」



小野さんは少し照れているのか、茉莉花から目線をそらした。



「いーや。こういう事を当たり前にできる人って正直、ひと握りしかいないんじゃないかな。だからさ、そんな人が、いきなり陰陽師を殺す、だなんて、ちょっと違和感があったの。……きっと、復讐したいって気持ちがあっても、行動には移せない。それが小野さんの本来の性格なんじゃない?」



「……。」



小野さんは黙ってしまった。



なんか、変なこと言っちゃったかな…?



「ええと…小野、さん?」



「…………でいいわよ。」



ん、めっちゃ小声。



「え、なんて?」



「百合でいいわよ!もう!あなたといると何だか恥ずかしくなるわ!もう家、すぐだから!さようなら!」



そう言うと小野さんはスタスタと早歩きをして、道の曲がり角を曲がっていった。



あれは、ツン、デレってやつ…か……?



茉莉花はしばらく固まったまま、小野さんの背中を見送っていた。

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