呪いの村⑬
「ここがその洞窟なんですね…。」
茉莉花はごくりと唾を飲む。
「んじゃあ、さっそく入ろーぜー。」
成瀬先輩は友達の家に入るようなテンションで洞窟に入ろうとする。
「まあ、待て。」
「ん?どうしたんですか、先生。」
成瀬先輩は大山先生を見る。
「洞窟に入る前に、ちょっとやる事がある。」
「やる事?」
すると、大山先生はズボンのポケットから四角い箱を取り出した。
「……はぁ。」
月城は呆れたようにため息をもらす。
あ、あれは……。
「へへ、ちょっとね!集中力切れてきたから、元気になるお薬をだね、、」
そう言って、タバコに火をつける。
ここに来て何度も思うが、大山先生って本当に教師なのだろうか。
「ホント、ヘビースモーカーよなぁ。そんなんやったら早死にすんで?」
みやびも困ったように眉を下げる。
「はあ…。もう先生は放っておいて先行こうぜー。俺、早く帰りたいし。」
そう言って成瀬先輩は洞窟の中に入っていく。
「私も早く帰りたいので、先行きますね。」
茉莉花も成瀬先輩についていくことにした。
「あ、ちょっとおふたりさん!?」
みやび達も後ろをついてくる。
「……なにあれ?」
洞窟に入って20メートル先には青く光る魔法陣(?)みたいなものが地面にある。
成瀬先輩はその魔法陣みたいなものの上を何も気にせずに歩いた。
すると、魔法陣(?)はより青く光り輝き、地面がガタガタと揺れだした。
「な、なんだ!?うわっ!!!」
揺れが収まるのと同時に10メートル先にいた成瀬先輩の姿が消える。
「え、成瀬先輩!?」
茉莉花が成瀬先輩のいたであろう場所に近づくと、綺麗な大穴があいていた。
これは……落とし穴?
「どうしたんや?なんかすごい揺れたけど……ってなんやねん!?この穴!」
みやび達も後を追ってきた。
「成瀬先輩がこの穴に落っこちたっぽい。」
「え、成瀬先輩、大丈夫なん!?」
みやびは大きな穴を見て、心配そうな表情をする。
「はっ、馬鹿な男よ。」
天女さんは相変わらず毒舌だ。
「暗くて穴の深さもよくわかんないから、元気そうかもよくわかんないしなー。」
「……ちょっと聞いてみるか。」
月城が大穴を覗き込み、成瀬先輩に呼びかけた。
「先輩ー!大丈夫なんですかー?」
その呼び掛けの5秒後、先輩の声がかえってきた。
「おう!ぶつけたとこくそ痛いけど、生きてるぞー!」
とりあえず元気そうでよかった。
「しかし、どうしてあんな見え見えの罠に引っかかったんです?あの魔法陣みたいなの、明らかに踏んじゃマズイ空気がでてたじゃないですか。」
茉莉花は成瀬先輩に聞く。
「……?そんなのあったっけ?」
なんと、思いもよらない返答がかえってきた。
「へ?地面にへんな模様が青く光ってたじゃないですか!」
「……確かに言われてみれば地面が少し青かったか、も、、?」
嘘。だって、あんなに眩しく光り輝いていたのに、気づかないはずがない。
少し後ろをついてきていたみやび達も見えていたはずだ。
「みやびは見えた?青い光。」
「……んー。そんなのなかったと思うけどなぁ。」
「ええ……。」
茉莉花は慌てて、月城や潤を見るが、2人とも首を振る。
「私の見間違い…かな?」
茉莉花が腕を組んでうーん、と唸っていると、タバコを吸い終わった先生がようやく茉莉花達に追いついた。
「もう。先生を置いてさっさと先に行くからそうなるんだよー。」
「す、すんません…。」
ぐうの音もでない先輩の反省の声が穴から聞こえてくる。
「先生はどう思います?茉莉花ちゃんに見えた青い光について。」
みやびが事情を説明して先生に聞く。
「ああ。それに関しては大方予測がついてるよ。」
大山先生は得意げに笑った。




