表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖魔大戦  作者: 香織
41/101

呪いの村⑩


翌日。



例の祠に向かう道中。



「ふぁあ……。」



成瀬先輩が大あくびをする。



大山先生は成瀬先輩の背中をパンパンと叩く。



「もー。元気だしていくよ〜!」



「元気だせるかっつーの。本来なら休日だったっていうのに、こんなド田舎の村に泊まらせられてよー、おまけに陰陽師のお手伝いかよ。」



まあ、先輩が不貞腐れるのも無理もないけど。



「あ、そうそう。先輩の言葉でちょっと思い出したんだけど……。」



茉莉花はみやび達を見る。



「前々から思ってたけど、先生はともかく、みんなって陰陽師の中でも若い方でしょ?なんでこんな大変そうな任務を任されるの?」



「言っておくけど、先生、まだ28だよ…?」



大山先生は慌てた表情をする。



「いや、若くはないだろ。……確かに言われてみれば、こういう厄介そうなことを学生に解決させるなんて、陰陽師界もブラックだよなぁ。」



成瀬先輩もうんうん、と頷く。



「それはなぁ、これのせいや。」



みやびがボワン、と光る鎖をだした。



「これは、自分の陽の気を体外に抽出して、武器の形にしたもの、だよね?」



「そうそう、陽の気=生命エネルギーっていうのは教えたやろ?生命エネルギーが1番高い時期は生まれた時なんや。そして寿命が近づくにつれて生命エネルギーは減っていく。」



茉莉花は納得したように手を叩いた。



「なるほど。若ければ若いだけ、陽の気が扱える。そして、任務遂行に必要な知能、体力を考えると…高校生が実戦において1番適齢期というわけだね。」



大山先生は不服そうに答える。



「……まあ、そういうこと。先生はもう、体外に出せるほど密度の濃い陽の気は出せない。」



それを聞くと成瀬先輩は首を傾げる。



「んー、でも、陰陽師の大半は大山先生以上の歳なんだから、その、すげー力は使えないんでしょ?じゃあ、そいつらはどうやって戦うんです?」



「そうだね。確かに陽の気の武器は妖怪に対して強い効果を発揮する。だけど、妖怪を祓う方法なら他にもあるんだな。」



そう言うと、大山先生は小型ナイフと御札を取り出した。



「このちっちゃいナイフは、陽の気が込められている。もちろん、陽の気で作られたものに比べると威力は劣るけど、急所に当てれば、ちゃんと妖怪を祓える。」



成瀬先輩はナイフを見てボソッとつぶやく。



「なんか頼りないなぁ、この武器。」



それを聞き、月城は苦笑する。



「……まぁ、陽の気がこもってる武器は希少なんですよ。もちろん、立派な矛とか剣とかありますけど、そんな代物は上層部にしか扱えないので。」



先生って、本当に陰陽師界では下っ端なんだな。……なんか可哀想になってきた。



「へぇー、なるほどねぇ。しかし、本当にこのナイフ、特別なナイフなんですかね。見た目は安っぽいフルーツナイフって感じ……うわっ!」



そのナイフに成瀬先輩が触れた瞬間、パチッと静電気のような音がした。



「ははは、お前に溜まってる陰の気に反応したんだろうね。これでこのナイフが特別な物っていうのがわかっただろ?」



大山先生は嘲笑うように言った。



茉莉花はその様子を見て、少し好奇心が沸いた。



「……私が触っても反発が起きるのかな。」



ゆっくりナイフに手を伸ばす。



しかし、ナイフに手が届く寸前でパシッと腕を掴まれた。



「……っ!?潤?」



どうして急に?



「茉莉花は陰の気が強いから、反発が強くて危険、だと思う……。」



「あ、そっか…。ありがとう。」



「あらぁ、そのまま手、繋いじゃったら?」



みやびがニンマリと笑う。



「……うるさい。」



潤は耳を赤くして茉莉花の腕を離した。



「へー、アオハルかい。いいねぇ〜。」



あーあ。みやびのせいで大山先生が勘違いしちゃった。



「はー、先生まで……。潤が困ってるので止めてあげてください。…それで、先生がナイフと一緒に持っている、その御札はなんなんです?」



「あー、これ?伍壱護符(ごいちごふ)って言うんだけどね、これは妖怪一体に対して5枚、この伍壱護符を貼ればその妖怪を祓うことができる。5枚1組の武器ってやつだ。」



「なるほど。陰陽師っぽい感じですけど……他の武器より非効率じゃないですか?」



みやびは首を振って言う。



「そんなこともないで。結局、物は使いようや。稀にサイズの大きい妖怪や、複雑な術を使ってくる妖怪がいるんやけど、そういったのは魂の破壊が難しくなるんや。伍壱護符は直接魂を破壊しなくていいぶん、そういった相手には有利に働くこともあるんよ。」



「ほう。すごいなぁ…………あっ。」



「どうしたんや?」



「あれ、例の祠じゃない?」



「ほんとやな!」



「……はぁ。やっとついたか。どんだけ山道を歩かせんだよ。」



成瀬先輩が言うように、私達は村から離れ、獣道みたいな道を1時間弱進み続けた。



そうして、ようやく千代ばあさんが月に1度通っていた祠へとたどり着いたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ