呪いの村④
「うわぁ!思ったよりでかいんやなぁ!」
村のはずれにある一軒家。まだ家主が死んで間もないからか、庭もきれいに整備されている。
「もう家に入る許可は取っているんだろうな?」
大山先生は三人衆を見る。
「もちろんです。」
潤が答える。
「よーし。じゃあ入ろっか。」
大山先生は玄関の扉をゆっくりと開けた。
「おーい!成瀬!そっちの荷物全部運んでおけ!」
「えええええ……そっちもっすかぁ!?」
さっきから成瀬先輩が可哀想になるくらいにこき使われている。
「なーんか、先生が人に命令している姿は慣れんよなぁ。」
みやびはダンボールの中の遺品を調べながら言った。
茉莉花はそれを聞いて首を傾げる。
「別に先生だし、私はそんなに違和感ないけど。」
「茉莉花ちゃんはあの人の"先生"としての姿しか知らへんからな。
……あの人、陰陽師界でなんて呼ばれてるか、教えたろか。」
茉莉花はゴクリと唾を飲む。
タンスの中をあさっていた月城が先生を見て言った。
「……陰陽師の犬。」
「い、ぬ……?」
いぬって、あの犬……?
大山先生がいつものようにのほほんとした雰囲気で近づいてきた。
「誰ー?先生のこと呼んだの。」
うわ。本人公認なんかい。
「なんで、陰陽師の犬なんて呼ばれてるんですか。」
それに関してはみやびが苦笑いしながら説明する。
「それはやな、この人、陰陽師の上層部の言うことならなんでも聞くんよ。昔っから、ずっと上層部にこき使われててなー。」
「……なんでも?」
「そう、なんでも。うちらにとって、大山先生はどんな命令にも必ず従う忠犬ってイメージやな。なんと、教員免許も上層部の命令を受けて、わざわざ取得したんやで。」
……なかなかやばい人なんだな。大山先生。
茉莉花はこんな不名誉な説明をされても何とも思ってなさそうな大山先生をまじまじと見た。
「……本当になんでもするんですか。もし、靴を舐めろ、とか言われても?」
そう言うと、大山先生は真剣な表情になる。
「うーん。今まで2回……いや?……3回舐めたかなぁ。」
「…………。」
その場にいる全員が凍りついた。
大山先生のもともと少ない人望が地に落ちた瞬間だった。
しばらく皆黙ったままだったが、空気を読んだのか読んでないのか、その沈黙を破ったのは潤だった。
「……そんなことより、少し気になるものを見つけたんだが。」
彼の手にあったのは、2年前のカレンダー。
「なになにー?それがどうしたー?」
先生は潤の所へ駆け寄る。
大山先生、鋼のメンタルどころじゃない……。
「このカレンダー、毎月4日に丸がついているんです。なんの日なんですかね。」
「うーーん……。」
先生は成瀬を見る。
成瀬は何かを察して思わず声が漏れる。
「げっ……!」
「なるせ〜。聞き込み、よろしく!」
「……陰陽師の犬のくせに、俺には命令するのかよ。」
成瀬はボソッと不満をつぶやく。
「んー?そりゃあ、これは罰だからな。先生が陰陽師の犬だったら、成瀬はその雑用係だから、、、犬以下だね!」
大山先生は憎たらしい顔で皮肉を言う。
その皮肉に成瀬は撃沈した。
「くそぉ…。わかりましたよ。行けばいいんでしょ!」
そう言いながら、とぼとぼと部屋を出ていった。
その姿を見て、茉莉花は少し鼻で笑う。
「お前、、本当に性格悪いな。」
「月城君こそ、口角が上がってますけど?」
そんな性格の悪い2人を見て、みやびは呆れ顔をするのであった。




