呪いの村②
険しい山道を登ること1時間。ようやく車が止まる。辺りはのどかな村の風景が広がっていた。
「ついたぞー。」
「…………。」
到着した頃には茉莉花も成瀬も人形のようにピクリとも動かなくなっていた。
「あれー?どしたの?」
「……どうもこうもないですよ……おえっ…」
茉莉花は口元をおさえ、車を降りる。
「揺れる山道、先生の雑な運転、そして車に染み付いたタバコの匂い…これで酔わない奴なんかいないっすよ……うぷ…」
成瀬も口元をおさえ、車から逃げ出すように降りた。
大山先生はそんな事は全く気にせず、手をパンパン、と叩く。
「もー元気だしてー。ほらほら新メンバーも紹介するから。」
「新メンバー?」
すると、ザッザッと砂利石の上を歩く音が後ろから聞こえる。
茉莉花と成瀬が後ろを振り向くと、そこには前髪で目が隠れた、怪しい男子が立っていた。
「超優秀な陰陽師、御堂理斗君でーす。なかよくしてやってねー。」
「超優秀?」
なんか、ただよう空気感がどんよりしていてそんな風には見えない。
「うん。潤に匹敵する強さだよ。そう言えばだけど、君らと同じ学校なんだよ。」
「ええ?あったことないですけど。」
「だろうね、二階堂の1つ下の学年だし、今は休学してるし。」
「休学してるんですか!?」
どうりで1度も見かけないわけだ。
「うん。あんまし身体の調子が良くないんだよ。今回は戦力が欲しいから無理を言って来てもらったんだけど。」
「それ、大丈夫なんですか……。」
この先生やっぱ、強引なとこあるよなぁ。
「ふーん。まぁ、どーでもいいわ。よろしくなー、御堂。」
成瀬が御堂に握手をしようとした瞬間だった。
パシッ!!!
ずっと黙っていた御堂が成瀬の手を払った。
「…って!な、なにすんだ!」
「…………触んな。妖魔師。僕はアンタらと馴れ合うつもりはない。」
成瀬先輩は放心状態になる。
なんだか、すごい尖ってる後輩だ。
「それって、、私とも?」
御堂君は私の方を向いてしばらく黙った後、冷ややかな声で言った。
「……鬼門院なんて特に大嫌いだ。今にも殺したいくらいにね。」
「……。」
とてつもない殺気を感じる。二の腕には鳥肌が出来ていた。
この酷い空気に対して大山先生は諦めたようにため息をついた。
「はぁ。やっぱり仲良くはなれないかー。
おふたりさん、理斗はね、ちょいとばかし妖魔師に因縁があるんだよ。許してやってちょうだい。」
「ふーん。……あっそ。」
成瀬先輩は少し機嫌が悪そうに返事した。
私は鬼門院という名字のせいで初対面の陰陽師にはまず間違いなく、敵対視されてきたので、もういい加減なれっこだ。
大山先生は居心地が悪そうに咳払いをする。
「ごほん、じゃあ、メンツも集まった所で、3人を探しに……」
「あら、大山先生やん!どうしたんや?
それに茉莉花ちゃんと成瀬先輩と…理斗もおるし!」
「……え。」
うーん。すごく聞き覚えのある声。
向こうからはみやびを筆頭にピンピンとした3人がこちらに歩いてきていた。




