体育大会の裏事情⑤
あーあ。どうしようかな。
成瀬先輩のブロックに勝てば、陰陽師三人衆が危険な目にあわなくなるんだから、勝ちたいっちゃ勝ちたいんだけれども。
体育大会で点数が高いのは、応援団とチアが行う応援合戦と、最終種目のブロック対抗リレーぐらいだもんなあ。
私が死ぬほど綱引きを頑張って勝ったとて、大した点数にはならないのだ。
うん、私にできることは何も無いな。
応援合戦をみやびや潤に頑張ってもらおう。
そうこう考えているうちに、体育館についた。
入口からそっと中をのぞき込む。
中では応援団がちょうど休憩をとっていた。
……しかし、私はなかなか中に入るタイミングを見いだせないでいる。だって、シャイでコミュ障なんだもん。あんなワイワイしてる集団に特攻できるほどのメンタルは持っていないのだ。
しばらくオロオロしていると、後ろから声が聞こえた。
「……茉莉花?」
振り返ると、そこには潤が立っていた。
ナイスタイミング!
そして相変わらず顔が整っていらっしゃる。
「あ、これ!届けに来たの。」
ビニール袋を掲げてみせる。
「……ああ。田村さんが頼んでいた差し入れか。ありがとう。」
潤はサッと私が持っていたビニール袋を持つ。
おお、紳士だ…。月城にも少しはこういう気遣いのできる機能を搭載して欲しいものだ。
「練習は順調?」
「……まあまあな。」
なんか潤が大声で応援する姿なんて想像つかないや。彼も慣れないことをしているからなのか心なしか、げっそりして見える。
「まあ、頑張ってね。うちのブロックが優勝したら、いい事あるかもよ?」
潤は首を傾げ、じっと私を見る。
「…………どういうことだ?」
「それがですね……」
私はさっきの出来事を話した。
「……なるほどな、それなら、優勝するに越したことはないが……。」
潤の言いたいことはわかる。別に成瀬先輩から狙われなくなっても安心はできない。
なんなら、マンションで出会った妖魔師のうち、小野さんの方が手強そうだし。
「まあ、成瀬先輩、あんまり大したことない妖魔師だもんね。」
「あー!茉莉花ちゃん!」
体育館の中から明るい声が聞こえる。
ナギがこっちに走ってきている。
「ああ、ナギ。お疲れ様ー。」
「おつかれー!茉莉花ちゃんは何しに来たの?」
私は潤が持っているビニール袋を指さす。
「私と月城が差し入れを買ってきてあげたのだよ。感謝しなさい。」
「うわあ!ちょうど喉乾いてたんだ〜!ありがとう!」
ナギは目を輝かせる。これくらい喜んでくれると差し入れのしがいがあるってもんだ。
「じゃ、君らでこれらの缶ジュース配っておいてよ。私は家に帰るから。」
「おっけ!潤君、行こう!」
「……ああ。」
…なんか潤、機嫌悪くなってない?眉間にシワがうっすらとできてるんだけど。
まあ、いっか。早く帰ろう。
この2週間後、ついに体育大会がスタートしたのである。
投稿遅くなっちゃってすみません!
もう少し投稿頻度をあげれるよう努力します!




