体育大会の裏事情③
目の前には見覚えのある顔。ピアスとか髪がチャラチャラしているくせに、体操服姿なのが何ともアンバランス。
「あなた、マンションにいたチャラ男!?」
チャラ男はムッとした顔になる。
「なんだよ、その呼び方!俺は成瀬瑠偉って名前があんの。しかも、お前、制服のリボンの色からして2年だろ。俺は3年だから成瀬先輩と呼べ。」
女子の着るセーラー服のリボンは学年カラーになっている。私の学年は青色、ひとつ上は赤色、ひとつ下は緑色である。
というか学年とか、どうでもいい。
質問したいことが山ほどあるのだ。
「あのー、成瀬先輩。小野さんと何がしたいんです?小野さんは陰陽師を殺すと言ってましたが、何か得でもあるんですか?」
すると、成瀬先輩は腕組みをして、私を睨む。
「…………それよりー…この前のこと謝ってほしいなあー。」
……ああ。そういえば、ハクと協力して先輩の急所、蹴ったんだっけ。
「……。あれはー、しょうがないと思います。忠告はしましたよね?」
私も持ち前の目つきの悪い顔で先輩を睨みかえす。
先輩は私の顔を見て少し顔がひきつる。……ってちょっとそれは失礼ではないか!?
「ぐっ……!…まぁ、いいよ。
てか、お前何者なんだ!?よくよく考えたら陰の気がえげつねーし。」
今更かい!
「……えーと。妖魔師です。鬼門院って知ってます?」
「あー。妖魔師最強の家系の?」
「それ、私の中二までの名字です。」
「へー。…………ええ!?お前!めっちゃエリートじゃん!」
先輩は目を丸くして驚く。…なんか思っているより単細胞って感じだな。
「今は二階堂ですけどね。それに、妖魔師として大した実力はありませんよ。……で、そろそろ目的、教えてください。」
いい加減、さっさと差し入れに向かいたいところだ。
「……。」
先輩はちょっと黙った後に、話し始めた。
「んー。そもそも、鬼門院のお前が今の妖魔師の現状を知らないのが不思議ではあるんだけどなー。……今はな、ここ数百年の中で、陰陽師と妖魔師の関係は最悪なんだよ。」
妖怪を召喚する妖魔師と妖怪を祓う陰陽師。
相反する職業の両者はどの時代でも敵対関係にあった。しかし、どうやら、現在はもっとやばい状況らしい。
「最悪……というのは?」
「今、陰陽師の間で«妖魔師狩り»が行われているんだよ。」
「妖魔師狩り!?」
なんて物騒なワードなんだ。
「八岐大蛇復活の懸念がされる中で、危険要素は少しでも排除したいらしい。ひっそりと、でもコツコツと各地で妖魔師は消されているんだ。俺は死にたくねーから、陰陽師殺害をもくろんでる小野に協力してやってんの。」
「……ほう。陰陽師殺害は自衛のためだと。」
うーん。難しい問題だなぁ。
成瀬先輩は真面目な顔になって私に言う。
「ああ。……なんなら、お前も協力しねーか?鬼門院なんて余計に危ねぇんじゃねーの。」
「…………………………はあああ!?」
今、おっそろしい勧誘受けなかった?私。




