妖怪の住むマンション⑤
2階。ナギサイド。
202号室に彼女らはいた。
「ノノ!お願いだからやめて!」
「……!」
清水野乃は狂ったように身体を掻きむしっており、田村翔子はそれを必死に止めている。
ナギは急いで茉莉花に電話をかけようとする。
「まて、ナギ。この程度じゃったら儂でもやれるわ。」
肩にいるネコの妖怪がシッポをユラユラ振って、自信満々に言う。
「そうなの?だったら、よろしく。」
「任せるんじゃ!」
すると、ネコはナギの肩からおりて、10倍くらいの大きさになる。
「で、でかい……!」
ネコは清水野乃に取り憑いている、ガリガリの犬の妖怪を引き剥がし、壁に叩きつける。
「きゃああああ!!!」
壁が少し崩れたため、田村翔子は悲鳴をあげる。清水野乃は気絶しているようだ。
「とりあえず、この子についとった妖怪は祓ったから、安心せい。」
「ありがとう!ネコさん。」
ネコは徐々にもとの大きさに戻り、のそのそとナギの肩へ戻っていく。
「……ノノ!ノノ!起きて!!」
田村翔子は震えながら清水野乃を揺さぶる。
「………………………………」
清水野乃はゆっくりと目を開け、そのあと、ポロポロと涙を流す。
「…………ごめん、ショーコ。私が肝試ししたいとかいったから。」
「よかった……!目が覚めて。3人で行くって決めたんだからみんな同罪よ。私も悪かったの。」
2人を見て、ナギもホッと安心する。
「よかったよ。2人とも無事で。
ここは危険だから、急いでここを出た方が良い。」
そう。清水野乃に取り憑いた妖怪は祓ったものの、2階には1階と比べ物にならないくらい、妖怪がウヨウヨといるのだ。だから、決して今、安全というわけではない。
「わかった。ありがとう、ナギ。」
田村翔子と清水野乃はゆっくりと立ち上がり、部屋を出ようとする。
ナギは小声でネコに言う。
「ネコさん、あの二人に妖怪が寄ってこないように守ってあげて。僕は茉莉花ちゃんと合流するよ。」
「わかった。気をつけるんじゃぞ。」
「うん!」
バタン。扉が閉まる音がする。
……よし、3階の茉莉花ちゃんに、2人の安否を伝えなくちゃ。
ナギがスマホを取り出したそのときだった。
再び、扉が開閉する音がした。
「……茉莉花、ちゃん?」
しかし、扉の前にたっているのは、どこかで見た事のある糸目の女子だった。
「はあ。ほんと迷惑。もう少しで殺せたのに。」
「君は、、、隣のクラスの小野さん!?」
なんと、この怪しい女子は茉莉花たちの隣のクラスの学級委員長、小野百合だったのだ。




