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妖魔大戦  作者: 香織
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番外編①


夏休みも終盤に差し掛かった頃、2人で会う約束をした茉莉花と潤。



そんな2人のデート編の前に、そもそもなぜ連絡先をちゃっかり交換していたのか。



……それは夏休みが始まる少し前のこと。



…………



………………







キーンコーンカーンコーン…



終礼のチャイムが鳴り響く。



「みやびー。茉莉花ちゃんの連絡先持ってる?」



ショーコが荷物をまとめているみやびに寄ってくる。



「あー、持ってるけどぉ。なんで?」



「ほら、夏休みが終わったらすぐに文化祭があるじゃない?連絡をすぐにまわせるように、クラスのグループチャットを作っておきたくて。」



「なるほど。さすがショーコやな!でも、本人に聞くのが1番手っ取り早いんやないの?」



「それがね……」



困ったように手を頬に当てる。



「茉莉花ちゃん、終礼が終わったら秒速で帰っちゃうのよ。授業の合間はいつも本を読んでいるから話しかけにくくて。」



みやびが茉莉花の席を確認すると、彼女はすでにいなくなっていた。…まだ終礼直後だというのに。



「なるほどなぁ。彼女、読書を邪魔されるとめっちゃ睨んでくるもんねぇ。」



苦笑いをする2人の間にノノとコータが入り込む。



「なんかさ!茉莉花ちゃんの連絡先ってすごくプレミア感あるよね!」



「それな〜。1年の時一緒のクラスだった奴、誰も持ってないらしいぜ。だけど、この前の体育祭効果で連絡先を交換したい人は急増しているっていう。」



みやびはそれを聞いてドヤ顔になる。



「つまりウチは、そのプレミアな連絡先を持ってるってわけやな!…潤はええの〜?茉莉花ちゃんの連絡先、今人気らしいで。」



「……そのうち聞く。」



急に話を振られた潤は動揺しながら、小声で呟いた。



「陽道君も持っていないのね。…やっぱり高嶺の花ってことよねぇ。」



「たしかに。連絡先聞いても、バッサリ断られそうだよなぁ。」



ショーコとコータの言葉を聞いた月城が鼻で笑う。



「はっ、、高嶺の花というより、二階堂がシンプルに人付き合いが苦手なだけだろ。コミュ障というか。」



「…月城くぅん。何、本人のいないとこで悪口言ってんの?」



「……!」



その場の空気が一瞬で凍りつく。



いつの間にか、月城の後ろで背後霊のように茉莉花が立っていた。



「ま、茉莉花ちゃん!帰ったんやなかったの?」



みやびがアタフタと聞く。



「忘れ物。本を引き出しに入れたままにしちゃってね。……で、なんの話してたわけ?」



「二階堂の連絡先を知りたいやつがいるらしいぞ。とんだ物好きだよな。」



相変わらず、月城は茉莉花に毒を吐き続ける。

その場にいた全員が、月城のメンタルに脱帽した瞬間だった。



「はぁ。私の連絡先?別にいいけど。誰が交換したいの?」



茉莉花がスマホを取り出す。すると、クラスの人がぞろぞろと集まりだした。



「え、いいの!?」

「すぐに断られると思ってた!今、チャンスじゃない?」

「俺とも交換して欲しい!」



「……え。」



予想外に大勢の反応があり、茉莉花は1歩引いてしまう。



そんな茉莉花の前にサラッとナギが立ち塞がる。



「ダメだよ、茉莉花ちゃん困ってるし。それにそんな大勢と交換しちゃったら、プレミアじゃなくなっちゃうでしょ?」



「え、ナギは持ってるん…?」



みやびが意外そうに驚く。



ナギとは妖怪が出るマンションで連携をとるために連絡先を交換したが、それ以降もちょくちょくメッセージが送られてきていた。



「うん、持ってるよ〜。たまに、チャットで勉強を教えてもらったりしてる。」



ナギはチラッと潤の方を見た。



潤はジト目でナギを睨み、見えない火花が散る。



「………なんか、やっぱり面倒くさそうだから帰るね。」



何となく変な空気を察知して、茉莉花は逃げるように帰っていった。



「あ、ちょっ……!そんなぁ……。」



恐ろしい逃げ足の速さにショーコはガックリと肩を落とす。



「まぁ、断固拒否される感じやなさそうやし、明日また聞けばええんちゃう?………ってそういえば、潤もおらんくなってるやん。」



いつの間にか潤も姿を消している。



「……余計な事言っちゃったな。無駄に焚き付けちゃったかも。」



ナギがボソッと呟く。



「ん?なんか言った?」



ノノが聞き返すが、ナギはニコリと笑って首を振った。



「…ううん。なんでもない。」















「茉莉花!」



校門の前で、呼び止められる。



振り返ると潤が走ってきていた。



「潤?どうしたの?」



「……これ。」



潤が本を手渡す。そうだ、さっきの動揺で本を取りに戻ったの、忘れてた。



「そうだった…!何のために戻ったんだか。ありがとう。」



「ああ。……それと、その、俺も連絡先、聞いていい、か?」



「……。え!?あっ、もちろん、ハイ、ええと、どうぞ。」



一瞬、彼の言葉を理解することに時間がかかった。



少女漫画のヒロインのような展開だ。イケメンから連絡先を聞かれるなんて、ときめかないはずがない。



茉莉花は先程よりもさらに動揺しながらスマホを差し出した。



「ふっ、慌てすぎ…。」



潤が吹き出したように笑った。



「ハハ、ホントだね。何でだろ…。」



2人ともクスッと笑いながら、出会って3ヶ月少し、ようやく連絡先を交換したのだった。

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