大胆なマキナちゃん
第七洞窟の奥にできた穴に吸い込まれるように落下。
「大丈夫かマキナ? 怪我してないか? 狭くて悪いが我慢してくれ」
紳士に対応する。それが私のやり方。
落ち着いて接することでマキナも安心するはずだ。
もし大人の私まで冷静さを失えばパニックになりかねない。
特にマキナはそう言う一面がある。だからなるべく冷静に。
ははは…… マキナの何を知っていると言うのか?
「大丈夫だよ。マキナは平気。苦しくない」
健気と言うかあまり考えてないんだろうな。それは羨ましい限り。
とにかく二人とも無事なのは安心材料。
もし怪我でもしていれば脱出の足枷となる。
早いところ解決策を見つけなければ命取りになるぞ。
「暑いだろう? 」
「うん。ちょっとだけ。暑苦しいよお兄ちゃん」
ズバッと言ってみせる。マキナの何気ない一言が心に突き刺さる。
それはさすがに言っちゃだめだって。悲しくなるだろうが。
冗談だと思いたいがマキナが嘘をつく訳ない。
訳の分からないことは言うけど嘘は吐かない子だ。
そのニュウニュウを見れば分かるさ。
「お兄ちゃん何だかとってもいやらしい目してるよ」
「マキナが前を向くからだ。後ろを向いてろって! 」
おかしなことを言ってるなと自覚がある。
しかしこの距離で理性を失えばどうにもならなくなる。
マキナは簡単に考えてるが止める者がいない今相当危険な状況。
もしこのままここにずっといるようなことがあれば決断することもある。
その前に何として無事に生還したいが果たして何人の者が捜索に当たることか。
「もしかしてお兄ちゃんはお尻が好きなの? 」
「そうそう。穴だけにな。ははは…… って違う!
いいかマキナ? お前のニュウニュウがどうしても気になって仕方がない。
この距離では触れない訳にも行かないだろう? 」
狭いのを理由に触れようとする私はひょっとすると最低な人間かもしれない。
一応は断りを入れたからニュウニュウにしろお尻にしろ触れても文句ないだろう。
「いいから早くお話! 」
痺れを切らしたマキナが暴れる。
「だったら後ろを向いてろ! 」
つい強い口調で命令してしまう。悪いなと思いながらも仕方ない。
きちんと言っておかなければとんでもないことになる。
その前に未然に防ぐ。それが男さ。
「お兄ちゃんはお尻が好きなんでしょう? 」
「勘違いするな。まだ尻なら見れると言う程度だ。お前はまだまだだからな」
つい発育具合について言及してしまう。デリカシーなかったか?
「ハーイ! 」
「だから早く後ろを向け! 話辛いと言ってるだろうが! 」
「いいから早くお話」
「分かった。話すから。でもそれが終わったらマキナの番だからな」
「もう早く! 早く! 」
どうにか約束を取り付ける。しかしすぐに忘れそうなので心配だ。
「私は東京方面から来た高名な学者だ。主に外国でフィールドワークしている。
その土地の文化と歴史と伝説に伝承等を現地の者に聞き回って発掘もしている。
要するに格好いい探検家だな。分かったか? 」
多少大げさに助手であることは隠す。舐められてはいけないので。
「フィールドワークって何? この島の何を調べてるの? 」
「フィールドワークってのは文化人類学で簡単に言うと現地に行き一緒に生活。
彼らの生活から学び吸収してそれを文書にまとめ…… 」
「ふんふん。それでそれで」
どうせ聞いてる振りしてるだけだろう。マキナに分かるはずがない。
それにしてもすぐ振り向いてニュウニュウをさらけ出すから困る。
なるべく横を向いてろよな。目が行きすぎて話もロクにできない。
「ふう…… 喉が渇いた。マキナ飲みもの! 」
つい癖で。仲も深まったので軽率な行動を取ってしまう。
あるはずもないのに口にする。これでは単に我慢ができなくなるだけ。
「いや冗談。でも喉は渇いてるんだよな。ははは…… 」
「だったらマキナのを飲む? 」
そのためにあるんだと豪語する。
いや嬉しいができれば下品なことは避けて欲しいな。
マキナは少なくても天女の生まれ変わりの噂があるのだから。
冗談でもやってはいけないし言ってもいけない。それが常識ではないのか?
「飲まないのお兄ちゃん? 自分だと飲みにくい。吸って飲ましてよ」
とんでもないことを言い出すマキナ。男の私でも言い辛いことをスラスラと。
もはやついて行けないだけでなく理性が吹っ飛びそうになる。
ダメだぞ落ち着け! これはマキナの悪ふざけじゃないか。見て分かるだろう?
今は冷静さを保つべきだ。
「聞きたくなければ耳を塞げ。今から話すことは決して楽しいものではない」
前島の件を話してやる。前島でナガレや島長たちと会ったこと。
天女の生まれ変わりと呼ばれるミコトに会い親しくなったことを伝える。
そして前島地区でミコトが崖から落ちたことを伝える。
その間マキナは耳を塞ぐこともなく笑顔のまま。大丈夫かと心配になるほど。
「本当に大丈夫か? 無理するな」
「うん。きっと大丈夫だよ。翼があったから飛んで行ったんだよきっと。
そうだとマキナは思うな」
マキナは素直だが状況を理解できてない。でも励ましてくれてるのは分かる。
しかしもう少し現実的だと嬉しんだけどな。
それではマキナじゃないか? その辺はきちんと本人も理解してるのだろう。
「ありがとうマキナ。そう言ってくれるだけでも心が晴れた気がするよ」
感謝の言葉を述べるがどうもマキナは軽く考えてるだけにも思えて来た。
そんなに深く考えられないのかもな。
「それでお前たちは何者だ? 」
マキナが知るはずもないが念のため。知っていたらラッキー程度。
「マキナだよ」
「いやお前たち姉妹について聞いてるんだ」
暇と言うのもあるがここはズバズバと聞いていい時だろう。
こっちがある程度情報を与えたのだからそっちだって有力な情報を渡すべき。
それが人間と言うものさ。マキナには悪いがすべて裸にしたい。それが願望。
「マキナはマキナだよ! 」
そう言って向き直りニュウニュウを見せつけるから危うく引き込まれそうになる。
危ない危ない。これも作戦だろう。
まあいいさ。答えたくないこともある。
続く




