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ミハマシマシマ 天女の棲む島  作者: グミさん
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底なし沼の伝説

ナガレが寄越したパンフレット。

何が書いてあるかと思えばどうでもいいことばかり。

この島の特産のミビ茶の紹介だったりマスコットキャラのミビちゃんだったり。

「これは我が村と言うか島の紹介の一部さ。

少しは我が島を理解できたんじゃないか。と言っても俺もよそ者だけどね」

どうやら彼も私と同様この島に何らかの研究で来てそのまま居ついたらしい。

「はい。自由でいい加減でふざけている! 」

もう我慢の限界。このおっさんは貴重な時間を奪おうとしてるに違いない。

まさかここまでと考えるとこの島の重鎮か? それくらいふざけている。

「ははは…… 怒らせたか? よしではこの島に伝わる沼の伝説を教えよう」

ようやくまともに教える気になったがまだ信用できない。


「もう先生は悪ふざけが過ぎますよ。ほほほ…… 」

上品に笑うサザナミ。何がほほほ…… だよ。ふざけやがって。

でも冷静に。あっちは焦らしわざと怒らせようともしている。

時間稼ぎだろうさ。理由をつけ一週間後の船に乗せ追い返すに違ない。

それだけは避けなければ天女伝説にも財宝にもたどり着きはしない。

今回だけは失敗は許されない。この私が長年の博士の夢を代わりに叶えるんだ。

もちろん独り占めする気満々だがそれはそれでいい。


「以上だ! 何か発見できたらいいのだが」

一応は学者らしい物言い。当麻博士よりは立派に思える。

底なし沼の近くに一人で住む風変わりな男によって伝説が語られた。

果たして史実なのか?


底なし沼の伝説。

ある時沼に靴を落とした若者が取り戻そうとしてると突然ピカッと光が差す。

そこから男の精霊が現れた。当然それは見た目であって精霊に男も女もない。

精霊が話しやすいようにと人間の姿に。それがたまたま男だったに過ぎない。

普通女ではと驚きを隠せずにいると見た目で判断するなと靴を投げ返したそう。

その靴は形見だったので大喜び。若者はその体験をつい隣の者に話してしまう。

そして隣の男は案の定と言うか邪な心で靴を落とす。

精霊が現れこれを落としたかと聞くが首を振りそれではないと嘘を吐く。

どうやら隣の男はもっと凄いものを求めていたのだろう。それこそ金銀など。

しかし面倒に思った精霊は自分で確かめろと男を引き摺り込んだそう。

その後男がどうなったかは誰も知らない。


これがこの土地に伝わる底なし沼伝説。

ナガレと名乗る学者崩れの男が興奮気味に解説してくれた。

うーん。どうでもいい。引き止めたいのは分かるがだからってこれはない。

フィールドワークをしてればこの手の作り話の一つや二つある。

大体が事実を思いっきり誇張してできあがったもの。そのせいか現実感がない。

これも恐らくは同じことをした隣の男が何の反応を示さないことに腹を立てた。

ただ精霊を陥れようと姑息な真似しただけ。

だからこの手の話をまともに受け取っては行けない。

そもそも精霊とは? 果たして実在するのかさえあやふや。

それを言えばこの島に伝わる天女伝説さえ怪しいものだが。

それはいると仮定して進めている。疑えばキリがないからな。


「それであなたは? 」

「この辺で底なし沼の研究と島の伝説の調査をしている学者だ。

マスコットキャラのミビちゃんを作ったのは何を隠そうこの俺さ」

ロクなことしない博士で学者。彼もよそから移住して来たようで変わり者の学者。

底なし沼の研究しても意味ないって。それは断言できるぞ。


この島で出会った三番目の男。それがナガレだ。

「ちょっと外してくれないかな? 学者同士で真面目な話がしたいんだ」

そう言ってサザナミを追い払う。

気を利かせ少しの間外を歩いて来ますと二人っきりにしてくれた。

反対しないと言うことはこれも予定通り? 何だか嫌な予感がするな。

どんなに抵抗しようとあちらの思い通り進まざるを得ない。

私はゲストでありショーであらかじめ決められた役を演じるしかなさそう。

それにしてもまだ私はこの男を完全に信用した訳ではないぞ。

マスコットキャラを作っただけの学者崩れで島に居ついただけの変わり者だから。


「うん。もう行ったかな? 」

どうやら彼女には知られたくないらしい。しかしどうも当てにならない。

大丈夫かなこの人? わざとやってる気がするんだよね。

「アキラ君だったね。君は恐らく島の者を本質的に信用してない。違うかな? 」

急に真面目な話をし出す。どう言うことだ? この変わりよう。

いやそれはあんたもだってとは言えない。

「はい。この島の者はどうも信用できない。まるで監視されててるみたい」

正直に思ったことを。この選択が正しいか分かるのはことが起きてからだろう。

それまではただモヤモヤするだけ。解決策などあるはずないんだから。

「そう監視してる。当然君を見極めようとしているのさ。

だからって島の者を信用できなくなったらお終いだ。

一週間は少なくても帰れない。経験者だから君の気持ちも苦しみもよく分かる。

実は君と同じように天女伝説を調査しに来た。

その時の記憶が残ってる。たまに思い出してしまう。でも君ならきっと大丈夫だ」

どうやら先輩らしい。だとすれば信頼できるのか? 

それとも島の者に骨抜きにされていて裏切ったと垂れ込むつもりか?

その見極めは今の私には難しいだろう。いやできるはずがない。


「はあ…… 」

「それで君は恐らく天女伝説について知りたいんだろう? 」

「はい…… いえそれだけでなく…… 」

歯切れ悪く答える。できる限り情報を引き出すにはこうするしかない。

「うん? まさか財宝かい? でもそれは難しいと思うよ」

この男すべてを知っているな。これなら手掛かりぐらいすぐに見つかる。


「それで天女はどこに? 」

「焦らない。天女は普通の人に見えない。許された者以外見えない仕組みなのさ」

どうやら天女の気分次第。これは本当に困ったぞ。会わなければ始まらないのに。


                 続く

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