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第五洞窟の怪

第五洞窟。

彷徨い歩いてたはずなのにいつの間にか戻って来たらしい。

どうやら倒れていたところを助けられたらしいがよく分からない。


目を覚ますとかわいい女の子が目の前に。

何だか運命を感じるがそれは彼女がその運命の人に近いからだろう。

間違っても彼女を運命の人と勘違いしてはいけない。私にはさすがに若過ぎる。

「そうだ。マキナちゃんはいくつ? 」

「十五才」

そう言えばトワナが三歳違いの姉妹だと言ってたっけ。


もう少し話したいがココたちを早く安心させなければ。

急いで立ち上がろうとするがクラっとくる。

疲れがまだ取れてないのだろう。何だか足も痛いしな。

「危ないですよ」

そう言うと体を支えてくれる。

どうやら二人っきりだと思っていたがまだ控えていたらしい。

これは恥ずかしいところを見られたか? 

あれではマキナに迫ってるように思われても仕方がない。

私の人間性が疑われかねない事態だ。

「大丈夫ですから。それよりもココをお願いします」

「ああその方でしたらお部屋に。男の方はお泊めできないので外にいるかと」

どうやらココもナガレも無事らしい。

それもそうか。私が勝手に外に探索に行っただけだからな。


「あの私は…… 」

「はい。男の方は通常はお泊めしない決まりです。

ですが怪我人を放置できませんのでそのままここでお休みください」

そう言うとマキナを伴い出て行く。

まずはココに無事を伝える。

今日はもう遅いからお言葉に甘えて一晩泊まって行くことに。

夕食はロクなものが出ないと分かってるので食べずにさっさと眠る。

明日の朝には完全回復できるようにきちんと寝ておこう。

しかしこの島は本当にロクな食いものがないから困るよな。


一時間ほど寝ただろうか? 突然人の気配が。

誰かと確認しようにも目さえ開けられない。

金縛りにでもあったように体が動かない。まるでロープで固定されたかのよう。

おい誰か…… ダメだ。声も出ない。いくら口を動かしても無駄。

ふふふ…… 女性の声。しかも若い。するとまさか……


「寝てるの? 」

そう言っていきなり髪の毛を掴まれたと思ったら顔を近づけてくる。

近いよ。恥ずかしいぞ。一体私に何をする気だ? やめろ! やめてくれ!

そもそも誰なんだ? 私が寝てるところに忍び込んだ不届き者。

そんなろくでもない女の言いなりになるものか。

髪を慈しむように撫でると今度はおでこの上に手を乗せる。


どうやら何か悩んでるか気になってるかしてるな。

まずい。これ以上は。鼓動が激しい。ようやく目が機能し始めた。

「起きてる? そんな訳ないか。まだ熱は引いてないみたいだし」

勝手に人の体に触れて何を言ってるんだろう? これもおもてなしの一つか。

かなり独特のおもてなし。でもできるなら許可を取ってからにしてもらいたい。

ようやく見えるようになったが今度は緊張で顔が見られない。

仕方なく視線を彷徨わせる。

うわ…… ニュウニュウが無造作に出てるものだから興奮が止まらない。

これではすぐにバレそうだがどうやら鈍感のよう。ギリギリセーフだ。

おでこにおでこが触れる。もうどうしようもないほど興奮して我慢できない。


「いけない…… 高熱に」

慌てた様子の女性。急いで人を呼ぶ。

これにて二人っきりの甘い時間は終了。

残念だがもう一度眠りにつくか。でも興奮してとてもではないが眠れそうにない。

一体彼女は何者? 声は聞こえたがきちんと顔まで見なかった。

ニュウニュウも見たには見たが特徴を捉える前に目を逸らしてしまった。

さすがに凝視する度胸はない。

 

うん…… いつの間にか寝てしまったらしい。

その間おかしな夢を見ていた気がする。

姉…… 恐らくトワナと体を重ねた。まずい。自分がどうにかなったらしい。

初めて会った男にそのような無防備なことをするはずがないだろう。

だが夢で見たのだから似たようなことがあった可能性もある。


「大丈夫かいアキラ君」

ココとナガレが無理をしないようにと気遣う。

しかしのんびりしてられない。博士を犠牲にしてまで来たんだ。

「そうだナガレさんにココ。この辺に橋ってどこか分かる」

ナガレに聞いたのはついで。詳しいココが知らなければナガレは知る由もない。

「橋ですか…… 私は見たことないです。中島に橋があったとは思えないんです。

中島はそこまで大きくないんです。そんなところに橋を架けても意味ないかと」

ココは橋自体をあまり理解できてないようにも感じるが言ってることは正しい。

そう。橋はその性質上架け橋であり繋ぐもの。離島の中島には相応しくないもの。


「ナガレさんはどう思う? 」

ココは地元の者としての意見を。ナガレには経験者だけでなく学者の立場として。

「そう言われても…… 橋なら後島にあったような。しかしここは中島だし。

まさか夢だとかじゃないのか? 橋が仮にあってもただ見えたとか?

なぜならここからだって橋のある後島が見える訳だから…… 」

そう言いながらもナガレは何だか落ち着かない感じ。

さっきから貧乏ゆすりが激しくなってるのが分かる。

ナガレはどうもこの第五洞窟に来てから少し変だ。

何だか私に伝えたいことがあるかのよう。

でもきっとそれを言えばナガレは次の日には姿を消すことに。

それが彼自身も分かっているから沈黙を保っている。


「後島に? 」

「いや…… それは次の時の楽しみに取っていてくれ。

とにかくここにはないと思うぞ」

ナガレがそう言うなら嘘でもないのだろう。今から探しに行くこともない。

「それで橋が何か? 」

ココは興味を示すが逆にナガレは次に行こうと焦っている様子。

明らかに何かあるな。でも今追及してもただはぐらかすだけな気もする。


「夢の話はもういい。それよりも今日はどうする気だい? 」

今は監視役を含め誰もいないのでナガレも多少積極的だ。

「トワナとマキナに会おうと思いまして。

大事な話があるので。終わり次第最後の第六洞窟へ向かおうかと」


これですべての洞窟を回ることになる。

まだ大穴が誰かは不明だが第六洞窟にいる可能性が高い。

後は天女の生まれ変わりを見つければそれでお終いなんだが……

うーん。どうやらそう簡単でもなさそうだ。

ナガレがひた隠しにしているものが分からなければ先には進めそうにない。


              続く

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