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ミコトを乗り越えて

第五洞窟で再びマキナに出会う。

厳しく躾けられてるようで不用意に男に近づいてはだめらしい。

もちろんこちらからもご法度。タブーだと。

知らなったこととは言えタブーを破ってしまった。

もう二度とこんな愚かな真似…… いやそれは不可能か。


「あの…… 少しぐらい我がままを聞いてあげてもよいのでは? 」

ついマキナの味方しようとお節介にも口を挟んでしまう。

フィールドワークではタブー視されている余計な口出し。

よそ者が口を挟めば不快に思われ最悪非協力的になるだけでは済まない。

だからずっと我慢していたがつい子供のことだと思い余計なことをしてしまう。

どうしたんだろう? 自分がもうよく分からない。

そこまで子供に興味がなかったのに。マキナだけは何だか特別な気がする。


マキナは小さくて子供っぽくて理想の女の子だけど実際は姉と三つ違い。

想像よりも幼く見えるのは喋り方や仕草に嘘泣き等がそう感じさせるのだろう。

マキナ本人には自覚はないだろうが意外にも頭がいいのかもしれない。

指摘すれば動揺したりして。マキナのあれはわざと? 自然?


マキナか…… ついに私もミコトを乗り越えたのかもな。

いやあり得ないか。だが元々ミコトにもそこまで入れ込んでいた訳じゃない。

ミコトの方が積極的だったからつい気を許してしまった。

そしていつの間にかお互いが意識し合うようになって……

結局ミコトは味方だったのか敵だったのかさえ不確かだ。

ナガレにも心配と迷惑を掛けたがついに私は吹っ切れたのかもしれないな。


二人と出会って安心感と言うか心が満たされた気がしたんだよな。

トワナとマキナの姉妹に会ってようやく落ち着いた。

仲のいい姉妹って感じで微笑ましく見てたがマキナ単独だとどうも危なっかしい。

「ダメです! 彼女は神聖な存在なのです。それはトワナ様も同じ」

甘えは一切許さないよう。神聖な存在などなるものじゃないな。

ココとは随分扱いが違う。自由にさせてると言うよりは手伝わせてるようだが。

どちらの境遇がいいとは正直言えない。

そのココは姿を見せないがきっと近くで様子を窺ってるに違いない。


「いや! お兄ちゃんと遊ぶ! 」

駄々をこねだすマキナ。

どうやら挨拶を済ましたのでマキナの中ではもう私は敵ではないらしい。

一切人見知りすることもない。それはそれで寂しい気持ちもある。

かわいいマキナをどうしても放したくないが他者の手前これ以上はダメだ。

「済みません。マキナ様が我がままを言って。

いつもはきちんと言うことを聞く立派な方なのですが」

ネレルは不手際を謝る。しかしそれはいくらなんでもマキナが可哀想。


「ではこちらに。客室となっています。しばらくの間こちらでお寛ぎください」

洞窟内を見て回ったがどうやらこれ以上はだめだと。秘密があるに違いない。

それはきっとマキナたちに関することだろう。

もうここまで来れば彼女たちが生まれ変わりなのは間違いない。

マキナたちはここでは相当丁寧に扱われているようだ。

私もそれくらい丁重に扱われるといいんだが。


「それでは今夜はこちらでお泊り下さい。お供の方もどうぞ」

そう言うとナガレとココが姿を見せる。

まだ昼過ぎ。もう少し探りたいがここは外を見て回ろう。

この第五洞窟だけはまるで隔離されてるかのように他の洞窟と離れている。

そんな感じ。しかしなぜここまで? 何かある?

ここには女性だけ。何か隔離しておかないとならないことがあるのだろう。


少しだけ外に。ナガレは険しい表情を見せる。

何かを悟られないようにとわざとしているようにも見える。

とにかく今は外へ。


「悪いが一人になりたい」

ココとナガレと離れて一人っきりで歩くことに。

すると何だか突然寂しくなる。勝手だよな。一人きりなりたくて頼んだのに。

フィールドワークではもちろんずっと博士と行動を共にする。

それがいい悪いではなく日常だから。

ココもナガレにも役割もあるだろう。私の方から離れてやるのもいいかも。


中島ではほぼ日中は中で過ごす。子供に付き合うか洗濯するか水汲みの時だけ。

いやここでは洗濯も水汲みも中でいい。

泉は一つではない。隠れ泉が存在する。それがこの第五洞窟にはあるらしい。

その泉の水を飲めば長寿と美と健康がもたらされると噂。

泉を枯らさないように管理してるのが彼女たち第五の守護者たち。

大げさだがそのような噂が中島だけでなくミシマ島全体で噂されいる。

ほぼ間違いない事実。


ふう…… それにしても暑い。常夏とは言え湿度を抑えないと倒れてしまう。

ここもよく言う南の島の一つ。だから勝手な誤解と言うか幻想を抱く。

うわ! 突風! まさかの砂嵐? 

転んでうつ伏せのまま過ぎ去るのを待つ。でも本当に過ぎ去るのか?

この暑さと息苦しさと火傷するなほどの砂を考えると急いで何とかしないと。

それからうつ伏せと体をくるくる回転させ暑さと熱を凌ぐ。


こうして体感約三十分で砂嵐は去って行った。いきなりのことにもうびっくり。

今何時だ? 時計もこの島に着く前に取り上げられたからな。

フィールドワーク用の荷物さえあれば立て直せるのだが……

ほぼ無装備の状態だからな。ライターやマッチに水筒さえない。


ここはどこだ? 一体どこなんだ?

砂嵐が過ぎ去ったと思ったら目の前には見覚えのない光景が広がっていた。

そうか…… すべてが砂に埋まり目の前の世界を塗り替えてしまったんだ。

これはまずいぞ。遭難するか? 急いで何とかしなくてはまずい。

だがどっちに進めば? 真っすぐか? 後退すればいいのか? 右か左か?

方向を見失い今ここがどこか分からない。とにかく思った方に進むしかない。

ゆっくり歩けば体力が奪われるだけ。ここは急いで洞窟を探さないと。

体力が尽き遭難する前にマキナたちのいる第五洞窟へ。


                続く

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