第五洞窟は特別
第五洞窟。
不思議な姉妹と出会った。
トワナとマキナ。三歳違いの姉妹。
ついどうしようもない感情に支配され強引に近づいてしまった。
しかしココによればこれはタブーを侵す大変危険で野蛮な行為だと。
知らなかったとは言え決して許されるものではない。
ははは…… 第一印象最悪だな。
私は一体何をやっているのか?
それにしてもトワナの突然の告白が気になる。
ドキッとしたと言うより意味不明でまるで現実感がない。
呆然としたまま洞窟の中へ。
うん? ニュウニュウが一杯。
いやこれまでもニュウニュウで溢れていたことはあった。
大体ココので充分満足してるからそれについては特別な感慨はない。
だが異常…… 異様なのは全員が女性であることだ。
まるでニュウニュウの塊がここには押し込まれてるかのよう。
「ココ…… 」
「いいから中に入りますよ。アキラさんってばやり過ぎですよ」
どうやら先ほどの件について言ってるのだろう。
確かに今思えば自分でもやり過ぎたと反省している。おかしいなとさえ。
だがつい懐かしくなった。無邪気な女の子が話かけられすぐに人見知りする。
その光景はとてもかわいらしいものに映った。姉に至っては睨みつける始末。
「大丈夫。ココだって充分かわいいよ」
ご主人様と慕うココは失えない。だが果たしてフォローできてたかと言うと微妙。
ココは魅力的な女の子。しかも従順で素直。文句のつけようがない。
対象があの姉妹でない限り私はココの味方だ。
「はいはい。いいですからお先に」
洞窟の入口から狭い道を通って内部へ。突っ立っていると邪魔だと急かすココ。
いや誰か来ない限りそんなことはないと思うが。どうも不機嫌だ。
姉妹の出現でココにも嫉妬心が生まれたのだろう。
それがよく分からずに戸惑ってるところなどまだまだ子供だな。
「ココ…… 」
これ以上褒めても逆効果。今は言われた通りついて行こう。
狭く長い道を抜けると再びのニュウニュウ。まるで歓迎されてるかのように。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ」
イスだ。何と驚いた。この島にもイスがあるらしい。
もっと原始的な生活をしていると思ったが。
「体が悪いので座ったまま失礼する。私がここのトップの穴だ。ようこそ」
第五洞窟に入って早々に念願の穴との挨拶を果たす。
これでもう用件は済んだがどうしても気になることがある。
「ここはニュウニュウ…… 女性しか見当たらないのですが男性はお出かけに?」
年は六十を遥かに超える老女。随分老けて見える。
何しろ化粧もおしろいも何もないのだから。自然のまま。
「いや初めからここは女性のみだよ」
「すると子供は…… 」
「必然的に子供はここには存在しない。それで…… 」
「申し訳ありません! 連れて来るべきではなかった。大変失礼を! 」
ココが私の代わりに頭を下げる。これはどうしたことか?
そう言えば第五洞窟だけ随分離れた場所にある。
第六洞窟を見てないので何とも言えないがここは隔離された場所?
「いいんだよ。島長に認められた者は特別さ」
そう穴は言うがどうして私は常に忌み嫌われるのか?
一体よそ者がこの島で何をしたと言うんだ?
「ではお許しになると? 失態も? 」
ココは恐れている。そう言えば洞窟の中までついて来るのは珍しい。
いつもは洞窟前でナガレたちと待機してるのに。
そのナガレはどこに? 見当たらないな。
「そうです。彼は何も知らないのでしょう? あなたがあえて教えなかった」
穴がズバズバ言うのでココはただ畏まるのみ。すべてお見通し。
だが私にはいまいちこの状況が理解できてない。一体どう言うことだ?
「ここは男子禁制なのです。第五洞窟に入れる男子は穴たちと大穴のみ。
それから島長に限られます。あなたは選ばし特別な存在。
ですが勝手に動いてあのようにからかったりしたら……
私はご主人様の味方ですから構いませんが穴たちはお怒りになられるでしょう」
ココの言い方だと私は大罪を犯したことになる。それほどのことか?
「ああ…… あの子たちと会ったんだね。それで魅力に憑りつかれた? 」
「ハイ残念ながら。決して彼は相応しくありません」
ココは結局どっちの味方なんだろう? もっとうまく言ってくれよ。
ご主人様のピンチに勇敢に立ち向かうのがココの役目だろう?
「まあよい。中を案内したあげよう。ほれ誰か? 」
ここで一番若いネレルがついた。
ネレルは話好きでココと他愛ない会話を楽しむ。
案内役にしてはあまりに軽くお喋りが過ぎる。
果たして相応しいか微妙。
「この部屋は寝室です。五人から十人一緒に寝ています」
広い空間には今は何も置かれてない。
この部屋は他に比べると比較的涼しい気もする。
「隣も同じでこれが五部屋ほど」
今は誰もいないと。体調が悪い者もいないと。
「では次は…… 」
ネレルの後ろ姿を見て違和感がする。なぜかここでは後ろが……
どうやら大人子供に男女の区別のないスタイルで過ごすらしい。
即ち数枚の葉っぱで隠してるだけ。ほぼ丸見え。
まあ今はスタイルの変化には目をつぶろう。
島長の紹介でいけたようなもの。あまり細かく見る必要はないさ。
「では続いて食堂。全員で一緒に食べます。隣は炊事場。
その隣はテレビ室」
ここではテレビが見れると。
世間から隔絶された島でその中でも独特の変化を遂げた中島にテレビとは想定外。
ただ見れるのは僅か三チャンネルのみ。しかも画質は最悪。
音もよくない。砂嵐が見える。
「どうです? 寛いで行きませんか? 」
勧めるが丁重のお断りする。いやそんなことしてる時間ないんだって。
「あれお兄ちゃんまだいたの? 」
姉妹の妹の方が姿を見せる。
「マキナ様! 勝手にこのような得体の知れない者に近づいてはなりません! 」
ネレルが叱ると周りにいた者も加わる。
「でもお兄ちゃんは…… 」
「行けません! どのような理由があろうといけないのです」
厳しい。ここでは無闇に男に近づいてはいけないらしい。
続く




