姉妹
第七洞窟予定地。
まだ未完成の第七洞窟に多くの島民が集まっていた。
彼らは朝のこの時間に作業しているそう。
こんな朝早くからご苦労なことだと気を抜いてると男たちに囲まれ裸にされる。
作業着に着替えろと言うことらしい。
意外にもその辺は律儀だとプラス思考で考える。
ココに情けなくて恥ずかしいところを見せてしまったかな。
ご主人様と慕ってくれるココを失望させたかもしれない。
でも彼女は笑っているみたいで一安心。でもそれはないよ。
「ほれこの土を運べ! ゆっくりだぞ! 」
二人一組で土を運ぶ。何だかよく分からずに真夏の運搬作業開始。
開始早々汗が噴き出して喉も乾きぶっ倒れそう。
きちんと水分補給しておけばよかった。
朝起きたらすぐにここに連れて来られたからな。
フィールドワークでその辺の奴よりは体力も力もあると思うが自信はない。
現地では本当にちょこっと手伝うだけでもういいですよと労われるから。
恐らく足手まといになると判断してのことだったと思う。
でも今は違う。人口も僅かで人手不足だから私みたいなものでも数に入る。
そう言う意味では役に立ったのかなと。仲間入りできたかなと勝手に考えてる。
とにかく夏にやることじゃない。今日で充分。それが分かっただけでも収穫かな。
「あの熱中症が…… 」
「ああん? 何を言ってるんだお前? 」
朝とは言え三十度は超えてる。風は生温いし足元の砂だって熱いぐらいだ。
ぶっ倒れる前に知らせようとしたのに信じてくれない。
確かに今さっき始めたけどもう限界さ。早めに言うのが大人だろう?
絶対に無理はできない。ここは医者もいなそうだし薬もないだろうから。
前島が懐かしい。とんでもないところに来てしまった実感がある。
前島がハードモードだとすると中島はスーパーハードモード。
いや超スーパーハードモード? それくらいしんどい世界だ。
これでは後島はもっときついのかもしれないな。
「はあ…… これを洞窟に? 」
「そうだ。あと五往復するからな。ノロノロするな! 」
そう言って無理やり土運びを手伝わされる。
もしかしたらナガレは消えたのでもなくただ逃走したのかもしれない。
嵌められた? するとココも仲間?
常に人手不足でちょうどいいと思ったんだろう。
確かに洞窟完成前の作業を手伝えたのは貴重な経験だから否定するつもりはない。
でもそれはフィールドワークでこの島に来た場合だ。
今回は違う。金銀財宝が当初の目的。少なくてもただ手伝いに来たのでない。
どうにか運んでられるがそれももう限界。
「よしラスト一往復! 」
「ハイ! 」
こうして土運びを終える。五分休憩後に内部の手伝いまで。
どうやらこれが今日ののプランらしい。でも私はこんなツアーに参加してない。
ココが用意してくれた聖水をがぶ飲みしどうにか耐える。
いや耐えるレベルにない。もうやってられない。
本当にすごいと思うぜこいつら。
とんでもなくタフでどこかイカレてるぐらい感覚が鈍っている。
それが慣れと言うのかもしれないが本当に恐ろしいものだ。
それから三時間後。ようやく本日の作業終了。
男たちはよくやったと褒めてくれた。
逆に言えばただそれだけ。もう少し労ってくれてもいい。
彼らにとって使えない奴が一人増えたに過ぎないのだろう。
もう少し体力をつけて臨むべきだった。財宝発掘にも力も体力もいるからな。
ラボにあるトレーニング室で力をつけておくべきだった。
あるいは家の近くのジムでもいい。今更後悔しても遅いけどね。
「お疲れ様ですご主人様! 」
「ココ! それって嫌味だろ? 普通に呼んでくれよ」
「ここが第七洞窟ですよアキラさん。今は穴はいませんが」
何を今更。到着したばかりでもあるまいし。
穴がいない? それはそうだろうさ。まだ完成されてないんだから。
その未完成の第七洞窟に何しに来たんだ?
ただ手伝わされただけ。ココの奴め。ご主人様を舐めやがって!
「では急いで第五洞窟へ向かいましょう」
ココの後ろにはナガレの姿があった。
すべて分かった上での行動だと思うとなぜ教えてくれないと恨む気持ちにも。
どうやら明日以降もこの第七洞窟を手伝わされるぞ。嫌になるぜまったく。
洞窟は数あれど天女の生まれ変わりに出会うことはない。
まさか彼らはあえて隠してないか?
よそ者を歓迎する立派な島民と思っていたがここに来て三日以上が経ってる。
あまりに余計なところに立ち寄り過ぎてる気がする。
トロトロしてれば時間が無くなり強制退去せざるを得なくなるかもしれない。
この島に来て三日経ったと言うことは一週間の約半分が過ぎたことになる。
相手の動きも見てだがどうもこちらから積極的に動く必要がありそう。
こうならないためにもナガレを連れて来たんだが今は無理。
夜に人がいなくなってからしか口を開かない。
手伝いだって付き合おうともしない。これだとあまり当てにならない。
さあここからどうするかだ。
ぼうっとココのお尻を眺めてると視線を感じたのか振り返りニュウニュウ披露。
いい加減見慣れて大して感情は動かないはずだが体は正直だ。
「もうアキラさん? 」
「いや悪い。つい見惚れていたよ。君の体を見るとどうも落ち着くらしい」
素直な感情をぶつけるとココがおかしいと。
どうやらまだその手の感情は生まれてないらしい。
自然に生じるとばかり思っていたが相手が私ではそうはならないのだろう。
「もうふざけてないで! 着きましたよ」
案内役のココは呆れた様子。
第五洞窟到着!
すると外で洗い物をする姉妹を発見。
うわ…… 何だこれは? 姉妹揃って透き通るような肌。
中島であれだけ日に当てればそのような体を保てるはずがない。
まあでも姉妹で同じならそれは遺伝かもしれないが。
「お兄ちゃん誰? 」
妹と見られる少女が姉の後ろに隠れるように警戒しながら話しかける。
顔を出さず声だけでコミュニケーションを図ろうとする。
この島に来てこのような警戒心の強い女の子は初めてだ。
ココぐらいのはずだけど判断できるのは見た目とニュウニュウぐらいなもの。
うーん。ココよりは…… あれ大きいな。すると姉は年上かな?
妹はきちんと見せてくれないから分からない。
まさかこの姉妹がニュウニュウ…… ではなく天女の生まれ変わり?
いやそれはないか。天女の生まれ変わりは一人のはず。
ならばこの透き通った肌は遺伝によるものと結論づけていい。
続く




