ココは生まれ変わり?
夜遅く。島の者の言いつけを守らずに外へ。
寒さや暗さだけでない。徘徊して喰らう化け物の存在が不気味。
迷うリスクもありながらココを探しに泉へ。
運よくすぐ会え喉の渇きも解消されたので一安心。
「どうしたんですか? 」
「いや大した用じゃないんだ。ただ遅かったから迎えに来た。
君がご主人様と慕ってくれるからつい保護者面して余計なことをした」
「気になさらずに。ご主人様はご主人様ですから。どうです聖水は? 」
「ああ美味いよ。それで聖水とは? 」
聖水とは一体何だろう? 普通に考えれば神聖な水ってことだよな。
でももし隠語や島独特の表現だった場合は逆に危険だ。
だがココがそんなものを飲ますとは思えない。だから一気に飲み干した。
「この泉は実は天女様が作られた奇跡の泉と言われるもの。
と言ってもただの伝説に過ぎませんが。まだ奥の方にも別に泉がありまして。
そこでは天女様が降臨したと言われてます。機会があればぜひ一度。
天女様は実は龍の子ではないかと噂されてます。水を司る存在。
ただ天より降臨した時に衣を失くされ留まってるとも言われてるんです」
暗くて顔がよく見えないものだからどうしても疑ってしまう。
これもまた観光客をからかってるだけ?
「龍の子? うーん。ドラコとか? 」
「ふふふ…… 何ですかそれ」
ココに笑われる。でも私の知る限り龍の子と言えばドラコしか思い浮かばない。
「いや…… ドラゴンの子供だからドラコとか?
ドラコって言うのはかわいらしい女の子で…… 」
まずい。ついおかしな話をしてしまう。どうにかなったと思われてないか?
「アキラさんの故郷ではそのようなお話があると? 」
「うん。そうなんだけど…… 」
ダメだ。世界観が違い過ぎて理解されない。ごめんよドラコ。
「面白そうですね。ですが今はこの島に伝わる天女伝説。お間違いのないように」
釘を刺される。まあ確かに私の知ってる話と関係あるはずないか。
「それで…… 天女様は君のニュウニュウと関連があると? 」
ついふざけてココを困らせる。これではご主人様失格だな。
「どうでしょう? 」
何を肯定してるんだココ? ここは完全否定すべきところだろう。
まずいな。つい興奮してしまう。
「実はココにその辺のことについてもっと教えてもらいたいんだ。
天女様の生まれ変わりについてなんだが」
「生まれ変わり? 確かそんな話を聞いことがあるようなないような…… 」
はっきりしないココ。当たり前か。知っていても言えるはずがない。
中島だけではない。ミハマ島全体の秘密なのだから。
ほとんど何も分かっておらずベールに包まれている。
下手に聞けば島の者にボコボコにされてもおかしくない。
「無理しなくていい。それで君はその生まれ変わりなのか? 」
一応は聞く。この中島に来たのは天女の生まれ変わりを見つけ出すため。
どこにいるかまで具体的には突き止められなかった。
「何を言うんですアキラさん? 私が天女の生まれ変わり? あり得ません!
この太陽に焼けた肌を見てください。この体が天女の生まれ変わりだと?
確か言い伝えでは肌は透き通っているそうです」
どうやらそう言うことらしい。人間とはそもそも次元が違うと。
「分かったよ。だったらオヤスと言うことはないの? 」
「だから違いますって! そもそも第一洞窟にはいません。
恐らくここにも。今まで訪ねた洞窟には恐らくいないでしょう」
我慢できずにペラペラと島の秘密を漏らす。大丈夫か? 心配になって来る。
「もう戻りましょう。ここにいては危険な上に疑われますよ」
何とか説得できたと息を吐くココ。どうやら天女の生まれ変わりではないらしい。
だとすれば天女の生まれ変わりは誰だと言うのか?
見ない限り納得できない。言い伝えなど適当でいい加減なものなのだから。
翌日・中島三日目。
残すは第五と第六。ここに必ず天女の生まれ変わりと呼ばれる女性がいる。
それが少女なのか女性なのか老婆なのかさえ不明。
透き通ってれば老婆でも構わないはず。天女様に年齢は関係ない。
そもそも長い間天女様であり続ける以上その可能性が高い。
見た目は別として中身は百歳を超えた老婆だろう。
現実的な感覚では悲しいことにそうなる。
「急いでください! 間もなく第七洞窟です」
朝早くココの声で目が覚めた。ミハマ島に来てから随分早起きになったな。
ただ夜明け前に叩き起こされるのは勘弁して欲しい。
朝って言うのは朝陽が昇ってからでしょう? これでは未明だ。
眠い目を擦ってココの後ろ姿を眺める。
まだ幼いと言うのにお尻は引き締まっていて魅力的。
どこかのモデルでも通用しそう。海外ではお尻がでかい方が人気が高いが……
まずい。余計なことを考えてるとつい尻にばかり目が行ってしまう。
「きれいなお尻だね」
また余計なことを言ってしまう。これは引かれたか?
つい見惚れてしまい自然と言葉が出る。
「もうアキラさん! きちんとついて来て下さい! 」
そう言って振り返るとニュウニュウを見せつける。
もし自分もココたちのように服を着ずに自然なままでいられたらな。
それだとアダムとイブになるのか?
そんなおかしなことを考えながらココの横に。
これ以上お尻もニュウニュウも見ないぞ。我慢の限界も近い。
「あれです。第七洞窟です。ほらよく見てください。まだ完成されてません」
ココによる第七洞窟見学ツワー。
何か意図があるのかなと警戒してると突然男どもに囲まれる。
いやそれ以上近づかないでくれ。その滴る汗と体臭が不快だ。
いきなり裸にされると同じ格好を強要される。
これはあまりにも強引な展開。どうしてこうなる?
ココを見ると笑ってる。いや恥ずかしい。
ご主人様と慕ってくれるココの前で哀れな姿を見せたくない。
「あの…… どのような用件でしょうか? 」
フィールドワーク経験豊富なのでこれくらいのことには対処できる。
ただ言われた通り動くだけ。決して拒否してはいけない。
彼らは私を見極めようとしてるはずだからな。
そう言えば同行していたナガレがいない。先に行っててくれと。
まさかここで脱落? 嘘だろう?
一人っきりになると何だか急に寂しくなる。
続く




