表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/97

アナログ

ついに第四洞窟までやって来た。

ここの者は野蛮で周りとの対立関係激化から私にまで敵意を剥き出し。

今にも襲い出しかねない勢い。

勘違いとは言え集団で泥団子を投げつける異常性がある。

それにコウモリの大群のおまけつきだからやる気も削がれる。

そんな危険な場所で一泊するそう。まったく信じられないこと。

 

「おいそこの兄ちゃん! 」

妙に馴れ馴れしくて軽い感じの男が話しかけて来た。

これは気をつけないと。この手の輩は何を考えてるか分からない。

いつでも嵌めてやろうと近づいて来るんだから。特に都会では要注意。

「はあ…… 穴にお会いしに来たんですが」

素直に用件を言うが今までのパターンから簡単には会わせてくれないだろうさ。

一工夫しないと。有益な情報を与えて役に立つことを示さないとな。

「そうか。ならその部屋に入っとれ! 」

そう言うと行ってしまった。一応彼もここを守る立派な戦士なのだろう。

気さくで話しやすいが胡散臭いところがある。ではお言葉に甘えてお邪魔しよう。


あれ…… 部屋に入れと言ったが二つあるぞ。どっちだ?

ナガレを見るが首を振る。ならばと部屋を開け再び様子を見るが反応がない。

続けてもう一方。左の部屋を開けると今度はただ笑うのみ。ココも反応しない。

信頼の置ける仲間だと思ってたのに悲しいよ。ああどうしてこうなのか?

また笑ったナガレ。だったら左の部屋に入るとしよう。

だが付き添いに過ぎないナガレとココは遠慮するらしい。まったく面倒だな。

一緒に入ってくれてもいいと思うんだけどな。


おお…… 中にはきちんとイスが用意されている。うんこっちには箱が。

箱には何か書いてあるぞ。好きなものをお取りくださいかな。

この島は訛りはないが文字が独特で読めない。

ミコトやナガレに島長たちから基本的な文字は習ったがこれは読めない。

たぶんご自由にどうぞあたりだろう。適当だがそれ以外あり得ない。

ここは泉にも近いし水も食糧も豊富だから比較的自由。窮屈ではないのだ。


ではお言葉に甘えて中身を確認させてもらいますか。

箱を開くと蛇が大量に湧く。冗談だと思ってるのでおもちゃの蛇を動かす。

だが舌がちょろちょろするわ触感は気持ち悪いで熱は伝わるわでまるで本物……

いや待てよ。どうして彼らがが精巧な蛇のおもちゃを作る必要がある。

主が悪ふざけが好きで驚くのを見るのが大好きな困ったタイプの可能性もある。

だがまずあり得ない。するとこの蛇はおもちゃではなくて本物?


うわあああ!

ついに大声上げて持っていた蛇を投げ捨てる。

こいつは本物の蛇だ。もしかして私はやはり歓迎されてないのか。

考えれば当然のこと。よそから来た得体の知れない者だからな。

うまく招いて秘密裏に処分するのがいいと考えてるに違いない。

泥団子にコウモリに大量の蛇とあってはその悪意を実感せざるを得ない。

堪らずに大声を上げ騒いでいたところに主らしき人物が姿を見せる。


「おいおいそこにいたのか? 子供部屋で何をしてる」

生意気にも子供部屋まで存在するのか。

するとこれはその子供が取って来たものでペットみたいなものか。

うわ…… 手はヌメヌメして気持ち悪いし臭いも酷い。

どこかで手を洗うか拭くかしないと。


壺を発見。中には水が入ってる。これでいいや。

「バカ止めないか! それは聖水だ! ちなみにそこの蛇は無毒だから問題ない」

さすがに毒はなく安全なのだろうが首に巻きつかれたら終わり。

大人の目が届いてると言っても蛇は蛇。だから注意書きがある訳だ。

するとこの箱に書かれているのは触れるな危険かな?

確認をするとそうだと教えてくれた。ははは…… やっぱりって笑えない。

さあこれくらいにして移るとしよう。すると外ではナガレがまだ笑っていた。

これは喜びではなく恐怖の笑みだったのか誤解するようなことするなよ。


右の部屋へ。

「済まん済まん。手違いがあったらしいな。私がこの洞窟の穴だ。

アナログと言うものだ。以後よろしく」

随分と変わった昔風の名前。このアナログと穴には何か関係があるのかな。


自己紹介を済まし本題に入る。

「ほうここで一泊すると。しかしあるのはブラウン管テレビのみだぞ」

ふざけてるのだろうがどうも本気っぽくも聞こえる。

まさかこの穴さんは島を出たことがあるのか?

だから私みたいなよそ者にも関心を示し丁寧に対応してくれたのか。

「中島に…… ミハマ島にテレビあるんですか? 」

「ははは! 当り前さ。一体我々をどんな風に見てるんだ? 」

そう言って大笑い。余裕があって懐も深そう。これは信頼できそうだ。

「未だに裸で文明の利器を扱えない原始人」

問われたので本音で返してもいいだろう。

ムッとするでもなくただ笑う。さすがは大物。穴だけあって堂々としている。


「ははは! 愉快だ愉快。しかし何も分かってないな君は。

ここは観光客など誰もいない。だから格好はどうでもいいのさ。

それに私はたまに島長に会いに前島にも行く。

月に一回は外の空気を吸うために島の外に。

島長は長い間体を壊されていたようだがどうだった? 」

ここ数か月会ってないと。体を壊されてから訪問を控えてるよう。

当然島の外には出かけているらしい。


「そうですか。あなたみたいな方がいるとは思いませんでした。

ねえナガレさん」

いつの間にかナガレとココもご招待。

このアナログ人間は彼らの帯同を許した。

本来これが当たり前だが自分たちの秘密を知られるのを極端に嫌がるからな。

とは言えナガレは反応しない。ココと大人しくしている。

島に飼われている従順なナガレ。やはり信頼の置ける仲間ではないのだろう。

残念だがそれが真実。あまり当てにしない方がいい。

いつ裏切ってもおかしくない存在。

だが迷ってはいるよう。その苦悩する姿が何だか痛々しい。


「そうかナガレも立派な島男になったな。仕方がないんだ彼には彼の役割がある。

それは君には測りしれないものさ。島の掟に従う」

意外にも我々と同じような感覚を持った者が穴に存在。

これは大いなるメリット。きっと助けになってくれるだろう。


アナログはとにかく昔の書物等を集めるのが好きで書物で溢れ返っていた。

そこには恐らく天女伝説も財宝に関連した書物もあるだろう。

「そうそうこれだ」

一冊の本を取り出すアナログ。

ホコリだらけで吸うとむせる。うわ最悪だ。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ