第四洞窟の悪いイメージ
まさかココが私の追い求めた天女の生まれ変わりなのか?
あり得ないことじゃない。ミコトがそうであったようにココも。
一度は疑ったが確証もなければはっきり否定もしてない。
まずはココの存在を確定して次に進むのがいいだろう。
「なあ君は天女の生まれ変わりなのか? 」
「いえ…… ただの案内役です。何なりとお申し付けください」
しっかりしてるな。見た目は幼いのにニュウニュウは意外にも大きい。
おっと…… つい胸にばかり視線が行ってしまう。どうしても止められない。
ミコトを失ってから自分がもう分からなくなっている。
このままここでの生活も悪くないと…… 前島では思った。
でもココがいてもここは無理だ。ロクな食いものがない。
さすがに食は大事。一番と言ってもいいだろう。
多くの人はたくさんあるメニューから一つを選ぶ訳だ。
老若男女関係なく美味いものか安いものか食いたいものを選ぶ。
しかしこの中島ではどうか?
いくら世間から隔絶された南の島でも虫がメインだからな。
栄養だって偏る。そもそも虫でたんぱく質が補えるものか。
いくら長年博士のお供でフィールドワークを経験していてもここまで酷くはない。
まるで罪人。閉じ込められたような感覚がある。
「では天女の生まれ変わりはどこにいると? 」
「何度も聞かれましても…… それはあなた自身が見つけることではないかと。
穴を見つけるのと同じです。これ以上余計なことを言えば叱られてしまう」
ココも協力したいが教えたら意味がないと。
どうやらここの者は天女の生まれ変わりが誰か知っているのだろう。
するとやはりナガレたちも何も言えない…… 一体どこまで知っている?
前回来た時にどのような経験をしたのか。
私と同じようにこの中島に来て穴を探し生まれ変わりを見つけたはずだ。
しかしどうだろう? 彼は財宝を見つけられずこの島に留まった。
そこで真実を聞かされた? だとすれば彼は奴らからすれば相当な危険人物。
どのような目的があったにせよナガレにここまで導かせたのも謎。
分からない。どうしてこうも謎に迫ろうとすると違う方向に行くのか?
まったく想像のつかない答えが待っている。それは真実と呼べるのか。
おかしい。どんどん迷路に迷い込んでいる気がしてならない。
「行きましょうご主人様。次は第四の洞窟ですよ」
張り切るココだが人前ではできればその呼び方はやめて欲しい。
まるで私が求めているようじゃないか。私はそれほど偉くないぞ。
何と言っても助手だからな。
夜のお店で社長とか先生と言われて喜んでいる奴と一緒にされたくない。
ちなみに博士はそのタイプだ。常にちやほやされたいんだろうな。
「では何と? 」
「アキラでいい。アキラさんと呼んでくれればいいさ」
「はあ…… では行きますよアキラさん」
ココが促す。迷いを捨ててついて行く。と言ってもすぐそこなんだけどね。
泥団子を投げた奴ら。それが第四の洞窟の者たちのイメージ。
第一印象が強烈なだけにそれを覆すかもっと凄い衝撃を与えない限りこのまま。
どうしてそのようなことをしたのか? 意味が分からない。
まずは…… おっと泥が飛んできそうだ。
ここはナガレを盾にかわそう。
十個ほど投げられて終わりかと思い前に飛び出そうとする。
だがどうもおかしいと再び隠れる。当然ナガレは不満爆発。
余計な言動は慎むよう言われてるからただ怒りの表情を見せる。
いや…… 悪いなとは思うがやってるのは奴らの方だから。
私はただ可哀想だと思うだけ。
手招きされてようやく訪問を許される。
第四の洞窟。
いきなりコウモリの大群のお出迎え。泥団子にコウモリとはどれだけヘビーか。
相当嫌われてるんだろうな。見知らぬ観光客を受け入れるほど心は広くない。
「ほらどっかに行っちまいな! 」
うわ…… 拒絶。そこまでする?
誰も信じられなくなりそうだ。
「ほら邪魔だって! 」
てっきり我々に言ってるのかと思いきやコウモリたちに。
羽を広げ威嚇するから不気味な喚き声が合わさって恐怖が増幅されていく。
ここはどうやら泉に近くコウモリたちにとっては理想的な環境。
ココによれば今日はここに泊まるらしいがどう考えても歓迎されてない。
本当に大丈夫かな。
「そこで突っ立ってないで! 入って来な! 歓迎するよ! 」
そんなこと言って今度は泥団子ではなく槍で串刺しにするつもりだろう。
もう絶対に騙されないからな。
とにかく第四の洞窟へ。穴探しを開始する。
まずは薄暗い洞窟内をナガレを先に行かせる。
もしもの場合の安全策。渋々歩き出す。
入れと歓迎されたのにまるでナガレを囮にするように慎重に一歩ずつ。
やり過ぎに見えるがこれくらいでちょうどいい。
ここの連中は何を考えてるか分からないからな。
「うわ! 」
突然転がるナガレ。まさか攻撃を受けたのか?
こんな狭い中で狂ってしまえば大変なことになるぞ。
私は閉所恐怖症ではないが限度がある。これではパニックになりかねない。
それにしてもココがいないのは寂しい 我々だけでは危険過ぎる。
「悪い。その辺は濡れてるから気をつけな」
転んでから言うことではない。わざとじゃないのか?
危うく巻き込まれるところだった。
どうしてくれるんだ? おっと文句言ってる暇はない。
ついて行かないと本当に迷子になるぞ。
「あの…… まだですか? 」
洞窟探索じゃないんだからこれ以上は奥に行きたくない。
進むにつれて道は狭くなるし僅かな光を頼りに歩くのも限界がある。
これで道でも分かれていたら帰って来れなくなる。
仕方ない。ここは安全策としておかしでも置いておくか。
でもおかしはこの島に来た時に没収されたから別のに。
第一洞窟でご馳走になった虫スペシャルのあまり。
「おお! 凄いぞ! 外の者は豪勢だな。食いものを捨てて行きやがる」
そう言ってすぐ後ろから回収に向かう子供ではなくいい大人。
何を考えてるんだ? まさか匂いに反応した? ただ夜目が効くのか?
とんでもないところへ来てしまった予感。
まさかここに本気で泊まるのか? 冗談じゃない。勘弁してよ。
続く




