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ミハマシマシマ 天女の棲む島  作者: グミさん
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ミエン

伝説の天女様をこの目で見て浮かれているところに邪魔が入る。

もううるさいな。美しい思い出を穢さないでくれよ。

どうせそんなことを言っても無駄なんだろうが。

「あんた見かけない顔だね。観光客かい? 」

ついに人の姿が。この島に来て二人目。

ここの者は恥ずかしがり屋なのか中々姿を見せない。さすがにやり過ぎでは?

ただお婆さんだからか積極的。警戒心が薄いようだ。

「はい。昨日船で…… 」

「そうかい。私はミエンと言うんだ。よろしくね。

ここではどこの馬の骨とも知らない男の品定めをするのが主な仕事さ」

そんな風に笑う。もちろん冗談だとは思うが念の為に詳しく話を聞くことに。


「悪く思わないでくれな。天女様に会わせるのにろくでなしはまずいだろう? 」

「ろくでなし? それってもしかして自分のことでしょうか? 」

一応は礼儀を守る。しかし昨日もそうだったけど人は僅かなんだよな。

それでいてよそから来た観光客には手厳しい。当然と言えば当然か。

「まあそう言うことだね。得体のしれない都会者は皆ろくでなしさ」

どうやら問答無用でろくでなし認定するらしい。


「申し遅れました。私は東京方面から参りました。伝説等の研究をしております」

ムッとするがここは冷静に下手に出る。そうすれば天女の居所が判明するだろう。

まあ実際伝説等の研究をしているのは当麻博士で私はただの共同研究者。

ほぼ助手だから詳しいことはまったく分からない。

まさか島の者が詳細を聞きたがるとも思えないが聞かれた時は適当に誤魔化そう。

「何だいやっぱり天女様を探しに来たろくでなしじゃないか! 困った人だね」

どうやら警戒されてるらしい。でもまだ何もしてないんだけど。


「ミエンさんは天女伝説を知ってるんですか? 」

「ちょと歩こうか? 」

朝の散歩に誘われてしまう。サザナミが待っているがこれも手掛かりを掴む為さ。

海が荒れ始めた。これは何か悪いことが起こる前触れ? 

「それであんた名前は? 何か掴んだのかい? 」

ミエンさんは逆に質問をして追及を逃れようとする。

そっちもだろうがこっちだってあまり情報を与えたくない。

一つも与えずに情報を得るのがベスト。そううまくはいかないだろうが。

そうでなければ同等程度の情報交換するのがいいだろう。

「申し遅れました。アキラと申します。まだ何も。だからあなたに頼るんです」

正直に現状を伝える。早く何とかしないと一週間後に理由をつけ帰らさられる。

そうなる前に抵抗できるだけのものを掴んでおく必要がある。

だからゆっくりはしてられない。お婆さんのお世話も相手もしてられない。


「教えてやったっていいけどあんたが信頼できる男か証明してごらんよ」

どうやら条件付き。信頼に値する人物かどうかその目で確かめるそう。

当然だよな。立場が同じなら自分だって同じように振る舞うさ。

いきなり島を訪問してきた得体の知れない人物に変わりないのだから。

言い訳も適当に誤魔化すことも難しいだろう。

「各地の伝説を集めておりまして現在フィールドワーク中です」

「フィールドワーク? おかしなこと抜かすな! 」

どうやらよく分からない横文字にイラついたらしい。危ない。

ただでさえ田舎で閉ざされた島。僅かな者で人間関係が構築されてるのだから。

おかしな言葉も者も受け入れられはしないだろう。

それくらいは現地調査時に当麻博士から口を酸っぱくして言われている。

「要するに現地で調査して新たな発見する仕事です」

「ほお…… それは立派だ。よし一ついいことを教えてあげよう」

うわ…… ラッキー! 初めて出会ったお婆さんが意外にも協力的。

やはり隠さずにきちんと対応したのが好印象だったのだろう。

だけど大丈夫か? いい加減なんだよな。でも信頼しなければ始まらないし……

ここはギブアンドテイクの精神を受け継ぐべきだ。


「天女はいるよ。正体は不明だがね。この島に古くから伝わる伝承さ」

詳しい内容は伏せてその存在を肯定した。

おお…… これは凄い。やはり天女様はいるんだ。これは一歩も二歩も前進だ。

ワクワクしてきたぞ。当麻博士には悪いが財宝にも近づいた訳だ。

博士の回復を待たずに世紀の大発見と行きますか。

そしてこの後の歴史に華々しく名を刻む。

気がかりは博士のライバル学者。もうとっくに当たりをつけてるはずだ。

彼らから天女様も財宝も遠ざけないといけない。

何と言っても天女伝説にも財宝調査にも相当な時間が掛かるだろうからな。


「天女がいるとのことですがついさっきまで踊っていたのはその天女だと? 」

興奮が隠せない。どうしても見てみたいし会ってみたいし確認だってしたい。

間近で見てこその天女様。

「ほお…… 驚いた。あんたは天女を見たのかい。それはどこで? 」

「ちょうど今さっきあの灯台島で見かけました。とても美しい方でした」

「ああ見ちまったのかい。それならもう虜だね。会いたくて仕方ないだろう? 」

「はい。正直に言いますとその通りです。今すぐにでも会いたい」

「うーん。私はどう見える? 」

「はい。ハキハキとしていて若く見えます」

「うーん。そうかいそうかい。正直に答えるのは立派さ。気分がいいよ。

よしではもう一つとっておきの秘密を話そう」

そう言って詳しく語る。


「分かったね? 」

「ハイ」

それは天女様に違いないと断言する。

それにしても観光客にベラベラ喋っていていいのだろうか?

こっちが心配するほど結構な情報を垂れ流している。

お婆さんによればこの島の伝説は昔からあったそう。

それがつい最近復活したようなことを言う。


「えっと…… 」

なるべく引っ張り出そうと口ごもる。これでいいのかはこの際どうでもいい。

「それで天女様には四人もの守り人がいるのさ」

「四人? 守り人ですか? 」

「まあ正確には会ったことがないので断定はできないよ。

だけど聞いた話では天女には四人の美女が仕えるってことさ。

詳細は不明だが彼女たちに出会えればもしかしたら……

どうだい興味惹かれただろう? 

天女様だけでも充分だと言うのに四人の美女だからこれはもう堪らないさ」


まさかからかっているのか? だとしてももっとましなやり方がるはずだ。

すると…… 天女伝説も四人の守り人も本当のこと? 実在する?

だとしたら益々興味が湧く。

まずはその四人の守り人の方を探すのがいいだろう。

ミエンの戯言を聞きながら頭を巡らせる。


                 続く

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